21章 1つへ・・・(2)
昨日の部屋とは違って、豪華な部屋だった。
さすが社長ご令息ともなると、こーなるのか。
妙なところで感心しちゃった。
けど、無機質。
なにが無機質か。
そこにいる人物が、すべてを「無」にしてしまってる。
ガイ。
ベッドから体を起こし、窓の外を見てる。
見てるってより、顔を向けてるだけ。
表情が「無」だ。
おれが入っても、見向きもしない。
「ガイ、気分はどう?」
いいワケがない。
分かってるなら、聞くなよ。
「・・・・・・」
やっぱり返事はない。
沈黙が耳に痛い。
けど、おれは気長に待つことにした。
窓の外へ遠い目を向けるガイに、おれの知る面影はなかった。
おれは勝手にイスを引っ張り出し、ベッドの横に座った。
「お久しぶり。果物持ってきたんだ。食べようよ」
先生から忠告を受けた。
差し入れは構わないが、刃物や食器類は持ち込まないようにと。
だからおれは、果物をカットしてプラ容器に入れて持ってきた。
「えっとね~。リンゴにバナナ、キウイ、オレンジ。メロンもあるよ~」
おどけて言ってみたけど、反応なし。
構うもんか。
「・・・・・・来たんだよ」
振り向きもせず、ガイはつぶやいた。
ため息交じりの声は、疲れ果てていた。
「ん?」
「なにしに来たんだよ」
「お見舞いだよ?」
「お前が助けてくれたらしいな。・・・なんで、助けたりしたんだよ」
「・・・・・・」
「なんで死なせてくれなかったんだよ」
力のない背中が、ガイを更に小さくさせた。
「・・・助けてくれって、聞こえたから」
「言ってねェよ。余計なこと、すンなよ」
「でも、聞こえたんだ」
そう。
最後に会ったときにも、言ってたんだ。
それに気づいてあげられなかった。
「それで、助けてやったから、恩に着ろって?」
自虐的な笑いも、どこか他人事のようだ。
「そんなんじゃないよ」
「じゃあなんだよ。笑いに来たのか?お前を捨てた男が、こんなになって。いい気分だろ」
「・・・・・・」
なんと言われてもいい。
それがおれの償いだから。




