リセット(4)
「で、最近は活動してないの?」
シンの言葉に、おれは睨んで返した。
「・・・したのか?」
やれやれといった感じで、言い直した。
それでいい。
「してないよ」
「元カレ再会計画はどーなってンだよ」
シンはおれがガイと再会するために頑張ってることを知ってる。
「ん~、もう動いてもいいレベルにはなってるとは思うんだけどさ・・・」
なんか足りないよーな気がする。
おれが満足するレベルじゃないんだ。
望めば、ガイの行動は知ることができる。
この世界は広いようで狭い。
一人知り合いを増やせば、コミュニティは倍以上に拡大するんだ。
けど、それはフェアじゃない。
ストーカーみたいだしさ。
どうすれば、ガイと会えるんだろ。
掲示板に伝言残しても、返事なんてないだろうし。
おれは頭を抱えた。
─────────
ガイと車の中で4時間じゃべり続けた。
送別会だと言って出てきたから、すぐには帰られなかった。
それもあるけど・・・。
ガイとのおじゃべりは楽しかった。
そして、ちょっぴり寂しかった。
外見が変わったとはいえ、気づいてくれなかったことが。
「ゴメンね、遅くまで付き合ってもらって」
別れ際におれは言った。
「いいよ。おれも楽しかったし。また会おうよ」
「うん。今日はありがとね」
そして家に帰ると、すぐにパソコンを起こした。
「MTR」の活動状況を調べるために。
検索ワードに「MTR」と「中沢雅樹」を入力。
すぐにヒットした。
それを見て、おれはガイ=中沢だと再び確信した。
東京に出て3年ほどで「MTR」は活動を停止。
インディーズチャートでも上昇中で、メジャーデビューも近いと言われてたらしい。
活動停止の理由は、ボーカルの中沢雅樹の脱退。
情報は更に詳しく書いてあった。
中沢の父親が倒れた。
とある。 あのお父さんが。
一度しか見てないけど、丈夫そうに見えた人が。
おれはネットを切断した。
デスクトップ画面を見ながら、おれはため息。
胸に締め付けられるような痛み。
・・・ゴメン、中沢。 知らなかった。
お前がこんなことになってるなんて。




