初めての再会(3)
おれが座った席の隣には、めがねをかけたエリートサラリーマン風な男がいた。
おォ!?いいオトコ。
・・・って。
「上野じゃん」
「遅い!」
上野は不機嫌丸出しで腕組してる。
「ゴメン、仕事が片付かなくてさ」
「そうじゃない。監督たちへの挨拶も大事だがな、まずはおれンとこに来いよ」
なんだそりゃ。
「子供みたいなコト言うなよ」
「子供はお前だろう!もう30にも手が届くってのに、なんだその格好は!時間は守らんし。だいたいなァ・・・」
はいはい。スンマセンでした。
おれは謝る代わりに耳に指を突っ込んだ。
ひとしきりまくしたてた上野が落ち着くと、おれはスポンと耳から指を引き抜いた。
「そんなにヘンかなァ。チャラくないし」
「十分チャラいわ!」
「もう、上野先輩ったら。それくらいにしてくださいよ」
根岸さんが止めに入ってくれた。
そうだそうだ。
いい大人が大声を出すモンじゃないぞ~。
「さ、上野も落ち着いたことだし。再会を祝して乾杯だ!」
監督がグラスを上げた。
おれたちもグラスを上げた。
「な、お前、シルバーアクセサリー作ってるんだろ?」
ビールを一気にあおった上野が言ってきた。
「う、うん」
それは根岸さんから聞いてるはずだ。
なんだろ。
あらたまって。
「お前に頼みがあるんだが・・・」
ほォ。
「なによ」
「指輪を作ってもらいたいんだ。もちろん、金はちゃんと払う。これは正式な注文だ」
「指輪なら、ウチにあるよ?HPもあるし」
「いや、オーダーでお願いしたいんだ。二つ」
「なんだ、結婚指輪か?」
おれはふざけて言ってみたんだけど・・・。
「・・・そ、そうだ」
・・・・・・。
「誰とよ」
上野は目だけを動かした。
その先にいるのは。
「根岸、さん?」
「ああ」
「本人の同意は得てるのか?」
「当たり前だろう!」
「声、大きいぞ」
「す、すまん。今回のOB会に合わせて、あいつのご両親に会いに行くつもりだ」
上野は東京のスポーツジムで働いてるらしい。
めったに休暇も取れないから、この都合に全部やってしまおうと考えたんだと。
「おめでとう」
「サンキュー。で、やってくれるのか?」
「もちろん。承るよ」
「そうか。よろしく頼む」
上野はほっとしたのか、ビールをあおった。




