表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうかご自愛を・・・  作者: かのい かずき
101/155

初めての再会(2)

いきなりの大声におれはびっくり。



「樋口せんぱ~い!」



えっらいキレイなおねーさんがおれに手を振ってる。



誰やねん。



「お、おう」



テキトーに返事。



彼女はおれのもとへと駆け寄った。



そして、



「先輩、誰だか分からないんでしょ?」



ギク。



「へへ、バレた?」



「もう、先輩ったら。根岸です」



・・・・・・。



「だって、根岸さんって、髪くくってたじゃん」



「いつの話をしてるんですか!」



「わりィ、キレイになったね」



「へへ。ありがとうございます」



お世辞じゃなかった。



彼女はきれいになってた。



「さ、こっちへ来てください。監督やコーチもいらっしゃってるんですよ」



根岸さんに案内され、おれは一番奥に座る監督と数年ぶりに再会した。



「お久しぶりです、監督。お元気そうで」



「おう。お前もずいぶんとご活躍だな。さっきから根岸がお前のことでうるさくてかなわん」



「だって、樋口先輩、今シルバーアクセサリーで売れてるデザイナーなんですよ~」



興奮すると語尾が延びる。



大人になってもそのかわいらしさは変わらないな。



「もう分かったから、かんべんしてくれ」



なごやかなフンイキだ。



けど、おれは言わなきゃいけないことがある。



「監督、大学を辞めたりして、すみませんでした」



深々と頭を下げた。



なんの相談もしなかった。



お世話になった人たちに。



それがおれの中でしこりになってた。



「ああ、事情は大学のヤツらから聞いた。お前も辛かっただろう。気にするな」



その優しさに、おれの目が熱くなった。



「わしは教え子に一生体操をやって欲しいとは思わん。続けてくれればうれしいが、生きる中で、共に経験したことが活かされるような生き方をして欲しい。それだけだ。お前はそれを立派になしとげた。だから、今、ここにいる。そうじゃないのか?」



「はい。監督のご指導は今でも助けてくれます」



「わしはそんなに立派じゃない。・・・お前も大きくなったな」



それは大人になったという意味じゃない。



言葉にしない部分を、おれは理解していた。



その言葉がうれしかった。



「ありがとうございます」



心から言えた。



そして、もう一人。



「お久しぶりです。吉井コーチ」



「お前、いくつになった?」



挨拶もすっ飛ばし、吉井コーチはなんだか不満顔。



「27歳ですけど」



「それでその若さか。どーやったらそんなに若さを維持できるんだ」



その秘訣、残念ながら教えてあげられない。



多分、ゲイであることが原因の一つだから。



推測だけど。



「吉井コーチ、今、副監督なさってるんですよ」



ヒョコっと顔を出した根岸さん。



あいかわらず、ちょこまかとよく動く。



「そうなんですか、おめでとうございます」



「いや、仕事も給料も変りゃしないんだから。ま、とにかく座れ。みんな、お前を待ってたんだぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ