15章 初めての再会(1)
ユウさんとは、それが最後になった。
話を聞くと、彼は転勤するらしい。
海外。
つれて行きたいって言ってくれた。
けど、おれの事情も知ってくれてる。
いつ日本に帰ってこられるかも分からない。
だから、
二人とも、
新しい生き方を見つけようって。
その夜、
ユウさんはおれを何度も抱いた。
あれから7年。
ユウさん、元気にしてるんだろうか。
一度だけ、転勤先からメールがあった。
だいぶ落ち着いたと。
おれは、頑張ってください。と返事。
そしておれは一人になった。
けど、寂しくはなかった。
・・・ちょっと違う。
正確に言えば、ユウさんと別れても寂しくなかった。
ユウさん、ごめんね。
おれ、ユウさんのこと、好きだったよ。
でも、おれの中には中沢がいたんだ。
そして今も。
ユウさんからプレゼントされたリングは今もある。
シルバーは酸化すると黒く変色する。
1年たらずで、プレゼントされたときの輝きがなくなった。
おれはどうにかして、元の輝きを復活させたかった。
いろいろ調べた。
・・・ただ、磨くだけ。
けど、それがおれのシルバーアクセへの興味を深めた。
ユウさんはリングともう一つ、おれに未来をプレゼントしてくれた。
街の中を、そんなことを思いながら、おれは一人歩いた。
そして目的地についた。
洒落た感じの店。
そこがOB会の会場。
時間は19時20分。
ちょっと遅刻。
ドアを開けると、店員が案内してくれた。
団体客用の個室。
そこに入ると・・・。
「来たァー!」