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4.美月の過去(美月視点)

 


 わたしの両親はわたしが中学に入ってすぐの時に、事故で亡くなった。母はとても優しく、いつも笑顔で毎日幸せそうだった。父は厳しかったがその裏にわたしへの愛があることが分かっていた。話を聞いたところによると、横断歩道で信号が青になって渡っていたところ、そこに信号無視をしたトラックが突っ込んできたらしい。なんで、わたしの父と母がこんな目に合わなければいけないのかと何度も思った。そう思う度に涙が溢れ止まらなかった。


 そして、そんなわたしを追い詰めるかのごとく、新たな問題が発生した。それは誰がわたしを引き取るかだ。親族たちは「家には子供はいらない!」や「それはこっちも同じことだ!」などと言い争っており、とても揉めていた。結局、叔父と叔母の夫婦が渋々、引き取ってくれることになった。


 しかし、叔父と叔母はわたしの事がよほど邪魔だったのか、わたしを、今住んでいる部屋に押し込め、放任した。そのため、わたしは必然的に一人暮らしをすることになった。この頃にはわたしの心は完全に壊れていた。


 いつしか、わたしは毎日を無駄に生きるだけの人形になっていた。


 そんな私の様子に、学校のみんなは、「気分転換にどっか遊びにかない?」や「話、聞くよ?」と心配してくれる人や励まそうとしてくれた人までいた。しかし、わたしが何を言われても無機質な返事しか返さなかったからか、だんだんと離れていき、わたしは孤立していった。


 ある日、そんなわたしを変えたのが、テレビに映ったアイドルだった。


 画面の向こうにいるアイドルはとてもキラキラしていて、輝いていた。けど、私の目に留まったのは、そのアイドルだけではなく、それを取り巻く環境もだった。たくさんの人に愛され、大切にされている。そして、その中心にいるアイドル。


 それが、わたしには、なによりも羨ましかった。心は壊れていてもきっと、どこかで「誰かに愛されたい。」「必要とされたい。」と思っていたのだろう。それが分かった瞬間、「私もこんな風になってみたい」と強く思うと同時にいろんな人に謝らないといけないなと思った。


 現実的にはアイドルは無理でも、せめて、身だしなみにだけでも気を遣おうと思い、髪を整え、肌にも気を付けた。すると、わたしの急な変化にたくさんの人が驚いた。自慢をしているわけではないが、元々、わたしの両親は顔が整っていたので、遺伝的に私の容姿も整っていた。


 そして、わたしはたくさんの人に今までの事を謝罪し、その時の心情を話した。友人は、「つらかったね。」などと、たくさんの言葉をわたしに掛けてくれ、泣いてくれた。


 これをきっかけに、今まで以上に話しかけられることも多くなり、わたしから話すことも増えた。さらには、「好きです!付き合ってください!」と告白してくる人までいた。もちろん丁寧にお断りしたが。わたしは改めて、自分のしていたことの愚かさを実感した。


 話は変わり、わたしは、本来の目的であった「わたしもこんな風になってみたい」という目標を頑張ってみようと思った。しかし、アイドルは、ただでさえ叔父と叔母に嫌われているわたしには厳しかったし、なにより、あの人たちには頼りたくなかった。


 そうして、何かないか?と頭をひねらせて、思いついたのがVtuberだった。そうと決まれば、そこからのわたしは早かった。


 まず、Vtuberになるために必要な機材など諸々の準備をするのに、お金が必要だったので、バイトをすることにした。かなり癪だったが、こればっかりは許可もなしに勝手にやるわけにはいかないので、叔父叔母夫婦に頭を下げに行った。すると意外にも興味なさそうに、「勝手にすれば?」と投げやりに返ってきたので、なんだか拍子抜けした。


 こうしてしばらく、バイトに明け暮れる日々が続いた。


「いらっしゃいませ!お好きな席どうぞ!」


「ご注文はいかがなさいますか?」


「お会計、1859円になります。2000円お預かりします。141円のお返しになります。またのご来店をお待ちしております!」


 わたしは一生懸命働いた。それこそ、店長にたくさん褒められるくらい。たまに友達が遊びに来て、

 そのとき、店長が融通を利かせてくれなんだが申し訳ない気持ちになった。


 こうして、一年くらいバイトを続けたら、いくらか余裕をもって機材をそろえることができた。


 そして、念願の初配信。


「皆さん初めまして!こんにちは!七雨 レイです!これから新人Vとして頑張っていこうと思いますので応援よろしくお願いします!」


 |よろしく!声かわいいな!

 |何か健気な感じ!応援したくなる!

 |これが俗に言う母性本能の目覚めか!


「ふふ、みんなありがとー!」


 最初なので、当然見てくれる人は少なかったが、それでも見てくれるだけで結構うれしかった。だいたいこんな感じで初配信は終わり、終わった後の達成感は半端じゃなかった。


 初配信から、一年半が経ったころにはわたしはすっかり世間でいう人気Vtuberの仲間入りを果たしていた。そんなある日、わたしはいつものように配信をしていた。


「あはは!また勝っちゃった!」


 |ナイス!強すぎ!

 |gg!最後のヤバッ!

 |強すぎ!チートかよ!


「そうなんだー。実はチート使ってるんだよね。なんちゃって!」


 |は?まじ?ガチで萎えたわ。

 |ふざけんな!チート使ってのかよ!

 |正直、そんな気はしてた。


 ちょっとした冗談のつもりだった。だが、視聴者は信じてしまった。そうして、わたしは瞬く間に炎上した。私の頭の中で、コツコツと積み上げてきたものが崩れ落ちる音がした。まさか、こんなくだらない冗談で自分の夢が終わるのかとも思わず、わたしは必死に弁明した。すぐに証拠映像をとり、その動画をアップした。だがすでに遅く、焼け石に水状態だった。


 そんな状態が一か月近く続き、諦めかけていたところ、ある一つのコメントがわたしの状況を一変させた。


 |≫ ハーゼン:普段の配信やこの動画を見ている限り、彼女がチートを使った痕跡なんてどこにも ない。それに、彼女の性格を考えるあたり、使う理由なんてどこにもないんじゃな いのか?


 その人はこのゲームで結構有名な人だった。彼はこのゲームの最上位勢で活躍しているトッププレイヤーの一人で、、配信はしておらず、動画がメインで有名になった人だった。


そんな人が「していない」と言ったのだ。それはそれは瞬く間に拡散され、わたしがチートを使用していなかったことが証明された。


 それと同時に、わたしの人気は徐々に戻っていき、自然と炎はだんだんと鎮火していった。


 ーーーーーーーーーーーー


 ある時、大手Vtuber会社からのお誘いメールがきた。わたしはそれを見た瞬間、とても舞い上がり、すぐに返事を返した。そして、とんとん拍子に話が進んでいき、あれよあれよという間にわたしは大手Vtuber会社の一員となった。


 そうして、いつしかわたしのイベントも開催されることになり、わたしはウキウキしながら、その会場に向かっていた。


 電車はとても混んでいた。そんな中、ふとお尻に違和感を感じた。それがわたしの手ではなく、誰かの手だと分かり、わたしはとても恐怖した。


「・・・・・・(誰か助けて!...)」


 あまりの怖さに声も出せなかった。そして、一縷の望みにかけ、わたしは顔を上げ、視線を動かした。そこで誰かと目が合った。その人は私と同じくらいの年頃だと思われる男の子だった。その男の子はとても優しい目をしていてた。


 そして、人をかき分け私に近づいてきた。この時わたしは、救われたと思った。だが、それは更なる悲劇への発展にしか過ぎないことをわたしは、まだ知らなかった。


「この人痴漢です!」


 どこからか、そんな声が聞こえた。大勢の視線がある一点に向かっていた。そこにはわたしを助け出そうとしてくれた男の子がいた。









『など』だから一応伏線回収になるのかな?

ちなみにベトナムの国花は...分かった人はいたかな?


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