7.フロイライン邸へご招待
よく知らない偉い人に会うのってバチクソ緊張しますよね。
「・・・・・・・・・⁉」
俺は、トーニャにほぼ無理矢理連れられるカタチで彼女の自宅に連れてこられた。
「どうしました?」
「いや、これ、自宅っていうか・・・。」
トーニャの御自宅からメイド服を着た女性が出てきた。
「お帰りなさいませ、トーニャお嬢様。」
「ただいま。ああ、この人は私のお客様よ。」
「では、そのようにご案内いたします。」
「え、あ、ちょ・・・。」
その女性はそそくさと御自宅いや、屋敷だ。ここは屋敷だ。屋敷に戻っていった。
「な、なぁトーニャ・・・。」
「何でしょう?」
「お前のフルネームって・・・。」
「トーニャ・フロイライン。フロイライン男爵の娘です。」
男、爵・・・。
「そう言えば、今日はお父様が珍しく帰ってきている日だったはずです。」
おいおいおい、平民の俺がそうおいそれとあっていいものなんか⁉断るべきか?いや、もうここまで来たら逆に断るのが無礼なんじゃ・・・?
「?ほら、早く来てくださいよ。」
トーニャはこっちの内心なんて露知らず。俺は彼女についていくことしかできなかった。屋敷の内装は慣れない豪華さだ。少し目が眩む・・・。
「ここで待っていて下さい。」
「お、おう・・・。」
応接室(だと思う)に通された。おお、このソファ、フカフカだ。
「・・・いや違う。そうじゃない。」
どうしよう・・・。恐らく俺は男爵に会うことになる。だが何を言われるかなんて分からない。関わることはないと考えていたから、『この貴族は〇〇だ』とかがない。人となりの全く分からん人物に会う。
「ダンジョンより緊張するな・・・。」
リーロットの気分は面接に行った時の奴とほぼ同じですね、ハイ。