3.Fランクダンジョン《ビギナーケイブ》
そろそろ覚醒かな?
「よっ!」
「ピギィッ!」
スライムが絶命し、その核だけが残る。
「やっぱり、ソロだとこういう戦法しか取れないんだよな・・・。」
これは俺のスキル『投げる』の性質だ。モンスターとか、当てる対象があるなら必中だ。ただ、小石とかポーション瓶とか手のひらに収まる範囲のものにしか適応されない。
それに戻ってくるわけでもないからナイフとかそれなりの物だと回収の手間もある。だからこうしてダンジョンで石を拾って、スライムに投げつけて戦っている。(武器代が掛からないのはまあ利点とも言えなくはないが、)
持てる物が限られるなら倒せるモンスターも弱いものに限られる。だから前衛職でない補助職にしたんだが・・・。
「そらっ!」
「ギェェッ!」
「おらっ!」
「ピキィッ!」
「・・・。」
「・・・。」
恐ろしく単調だ。冒険者を始めたころからランドーとのペアでやってたからソロがこんなに味気ないとは思わなかった。
「まぁ、1層ならこんなもんか。」
石を投げスライムを倒し、石を投げスライムを倒し、を繰り返す。《ビギナーケイブ》にはボスと呼べるモンスターはいない。だから、階層を下るのも苦じゃない。
「さて、第2層だ。」
ここからは少し変わる。今まではスライムが単騎で襲ってきたが、ここからはゴブリンだ。奴らは基本単独行動を避ける。つまり集団で襲ってくるということだ。冒険者はここの"ビギナーゴブリンスクワッド"を苦戦せずに倒せるかが第一歩と言っても過言ではない。ソロであれパーティであれだ。
「ま、ここでもやること自体は変わらないんだがな。」
お、丁度いいところに"ビギナーゴブリンペア"発見。小石を二個拾う。
「そらっ!」
「ギギッ!」「ギャギャッ!」
よし、ひるんだな。今のうちに・・・
「悪いな。」
「ギィッ!」「ゲェッ!」
ナイフで喉を掻っ切る。あ、言い忘れてたがナイフは一振り持っている。俺のスキルはあくまで遠距離、詰められたりしたらヤバいから持ってる。
「さてと、手斧に弓矢か・・・。」
斧と矢を頂く。そうしていると、
「キャアアアアアアアアア!!!!!」
女の子の悲鳴がした。
「ここから、そう遠くはないな?よし・・・!」
俺はすぐさま駆け出した。