1.円満追放、そして・・・
今まで逆張りの穿った(作者目線)作品しか投稿していなかったため、ある種のテンプレ系の話を書こうと思い投稿しました。とは言え、現状『ざまぁ』は残念ながら予定していません。
はぁ・・・、どうしてもキャラクターを賢く書きたくなるのは性分なんですかね・・・。
「リーロット、お前は今日限りでこのパーティ『落陽の翼』から出て行ってもらう。」
「は?おいおい、いきなりどうしたんだよ、ランドー。冗談にしても笑えないぞ?」
「冗談のように見えるか?」
「・・・本気か?」
ランドーは静かに頷く。
「おいおいおい、何でだよ?俺たちは今まで一緒に頑張ってきただろ?」
「そうかもな。ただな?この『落陽の翼』はこれからAランクパーティになる。この間のダンジョンダイブの功績が評価されたからだ。これから先はよりキツイ戦いになる。」
ランドーは溜息を一つつく。
「〈アドバンスナイト〉の俺の『切断剣』、〈シューター〉のフリオの『必中弓』、〈プリーステス〉のアニーの『回復術式』。それでリーロット、お前のスキルは?」
「・・・『投げる』だ。」
「確かに、お前のスキルは結成当初はとても世話になった。アニーの回復の追加補助としてポーションを投げてくれたり、〈ビギナーアーチャー〉だった頃のフリオの放たれた矢を投げることで軌道修正して当てたりもしてくれた。だが、フリオも『必中弓』を手に入れたし、アニーの回復力も十分なまでに成長した。しかしリーロット、お前は?」
「・・・。」
何も言い返せなかった。パーティを結成してもう5年、ランドーもフリオもアニーも確かに成長した。だが俺は?サポーターとしてパーティに貢献してきたがスキルが成長することはなかった。
「リーロット、俺はお前とずっと戦ってきた。確かにお前に助けられたことだっていっぱいあった。とても感謝してるさ、あの二人だってそう思ってる。」
「・・・。」
「だが申し訳ない、リーロット。お前は・・・。」
「ああ、分かったよ。だよなぁ、最近は俺がいなくても全然何とかなってるもんな・・・。」
「本当に済まない・・・。一応、退職金として少ないかもしれないが、これを・・・。」
ランドーは俺の前に両手に乗るほどの袋を置いた。
「ああ、ありがたく頂戴する。」
その袋はとても重かった。中身以上に重かった。
「リーロット、これからどうするつもりだ?」
「んー、そうだな、これからも冒険者は続けるさ。ま、ソロでも攻略できるダンジョンでも潜って日銭稼ぎに勤しむことにするよ・・・。」
「そうか、頑張れよ・・・。」
「お互いにな・・・。」
そうして俺は、ランドーの部屋を出た。そこには泣きべそ掻いてる少年と顔を落としている少女がいた。フリオとアニーだ。
「う、ううぅ、リーロットさ"ぁ"ん"・・・。」
「やっぱりさみしいです・・・。」
「おいおい、お前らは相変わらずだな。大丈夫だって、お前らならこの先もやっていけるさ。ランドーのことも頼んだぞ・・・。」
そうして俺ことリーロットは5年間世話になったパーティ『落陽の翼』を円満追放されることになったのだった。
さてさてさて、ここで補足の説明をば、
リーロットのジョブはタイトル通り〈サポーター〉。そしてジョブにはいくつか段階があり、
〈ビギナー〉→〈冠名無し〉→〈アドバンス〉→〈プロ〉→〈上位職のビギナー〉→・・・
と成長します。〈シューター〉は〈アーチャー〉の上位職です。