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ついうっかりとしっかり漏らす

前回までのロリ滅は

おっきく区切るぞ


貞操を守る為にエステーザに出てきた

魔法バレしてお金貯めて妹と兄を田舎から連れ出した

戦争が始まって致命傷をうけたりジャイアントに因縁付けられたりした


んで前回は


弟子取りした

仕事中考え事した

元赤に話しかけられた



ザックリ言ってこんな感じ。

 「そうか。とてもちょっとというような様子に見えないが、私には言えない事もあるのだろう。」



 そう言うと、元赤は黙ってお茶に口を付ける。確かに仕事中ずっと無言だったし、ちょっと不愛想だったかもしれない。そんなんだから、いつもと比べるとおかしく見えるよね。



 意外だけど元赤も魔法使いの素質、あるんだよね。しかも多分この世界基準でも大魔法使いに手が届くかもしれないレベルで。もしかしたら、邪神と交渉して神の槍を手に入れたって言うご先祖様辺りが大魔法使いだったのかも。


 そうじゃなくても、高位貴族や王族にはそれなりに優秀な魔法使いの血が彼方此方から入ってきている影響で、貴種に魔法使いが比較的多いのは純然たる事実だし。


 比較的、なのは身内に魔法使いがいるからと言ってその兄妹や子供達が魔法使いになれる可能性はそれほど高くないのよね。一般家庭よりは確率が高いって話位に受け止めてくれればわかりやすいかな。


 ま、私の兄妹に魔法使いの卵が多いのは、単に分霊わたしの影響をうけたせいのイレギュラーだと思うけど。




 なんで魔法使いになる為の修業をしなかったのだろうか、元赤は。王族に生まれついたのだから、早いうちに資質の検査は受けている筈なんだよね。この前手に入れたこの世界の魔法に関する知識から判断するとさ。


 彼に大きな才能が眠っている事は、彼自身わかっている筈なんだけど。



 ……まぁ、想像つくけどさ。


 槍の使い手になる事が運命づけられていたのだから、一人前になるのに時間のかかる魔法使いの修業を諦めた、っていう線かもね。


 槍を出来るだけ使いこなせるようになる為、むやみに槍の力を引き出さない為に下地の肉体を鍛えていく必要もあっただろうし、多分、彼の弟たちも元赤と同じように自分の希望なぞそっちのけで槍を使いこなせるように体を鍛えているのかもしれない。



 憐れではある。



 シリルとの件が無かったとしても、何とかしてやりたいから、助けるのは問題ないんだけど、失敗して槍を喪失してしまった場合だよね、問題は。弁償するにも手持ちに同じような槍は無いし、一から作るのはちょっと時間がかかり過ぎる。


 元赤に私の魔法を伝授するって言うのはどうだろう?


 彼ほどの潜在魔力があれば、補助の魔道具を用意してやれば砲台代わりになれるだろうし、無くなった槍の代わり位にはなるだろうから。




 「何故君は私を憐れむような目で見ているのかな?」



 「いやさ、特に他意は無いんだけれどさ。何かこうやって暖炉で温まっている部屋でノンビリお茶を飲んでいるあんたを見ていたらさ、枯れてるなぁとか思っちゃったわけよ。」



 「なるほど、喧嘩を売っていると解釈しても良いのだな。手加減してくれるなら、買ってみるのもやぶさかではないのだが。」



 「情けない物言いしなさんな。そこは面白れぇ、買ってやるからかかって来な、くらい威勢が良い方がかっこいいでしょうに。」



 「かっこよさの為にただでさえ残り少ない人生を無駄に捨てるつもりは無い。」



 きっぱりと言い切る元赤。でも考えてみれば、情けなく聞こえても彼が保身を選択するのは、当然だしそれは何も自分の命が大事だからって訳でもない。


 自分が早く死んでしまえば、次は弟さんか妹さんが槍の犠牲者に選ばれる。それが解っていれば、可能な限り長い間、自分が槍の所有者であろうと考える、よね。



 弟さんの立場で考えればどうだろう。いつか訪れる神の槍の所有者と言う名の生贄の順番。もしかしたら、夜、ベッドで横になる度に恐怖に襲われているかもしれない。


 毎朝、目が覚める度に自分の身に何も無い事を感謝して涙を流しているかもしれない。


 それとも、とうに諦めて運命を受け入れている?



 元赤の弟さんが何歳かは知らないけど、同じお母さんから産まれたとしたら、元赤よりも2~3歳くらい年下かな。ルーイ兄ちゃんやイリエ兄ちゃんと同じくらいか。


 その位の年の男の子が、人生を諦めて理不尽を受け入れて死んだような表情で毎朝ベッドから起き出してくる。


 もちろん、私の勝手な想像だけどさ。とてもまともには見ていられないわよね。だからさ、つい言うつもりのなかった言葉が漏れ出した。



 「残り少ない、ね。ま、そう悲観なさんなってさ。約束はできないし、上に伝えたりして騒いでもらっちゃ困るんだけどさ、私としても戦友を指をくわえたまま見捨てるつもりは無いんよ?


 あんたにはせっかく色々とネタを仕込んだんだし、私も理不尽はあんまり好きじゃないからさ。


 これからの研究次第だとは思うけど、出来るだけ早く何とかしてあげるから、捨て鉢にだけはならない方が良いと思うよ?」



 変化は驚くほど無かった。硬直もしなかったし、表情も変化は全くなかった。ただ、何事もなく黙ってお茶を飲んだだけ。


 単なる気まぐれな神、若しくは邪神のリップサービスだとでも思ったのか、それとも期待する事が怖いのか。ただ、なにがどうあれ、彼にとっては神か邪神と信じている私の、何とかする宣言を無視できるはずもない。



 それでも彼はただお茶を飲むだけだった。これ、もしかしたら私の言葉が元赤に染み込むのに時間がかかっているだけかもしれない。頭の中で、さっきエリーは何を言った?ってリフレインしているかもね。



 激烈な反応を求めていたわけじゃないけどさ、これじゃぁちょっと肩透かし、拍子抜けなんだけど。せめて聞き返すとかさ、少しくらい表情を変えるとか反応があれば、やりがいもあるってものなのに。




 諦めているにしても、頭が追いついていないにしても、この反応は頼りない。


 やっぱりこれじゃ元赤を放っては置けないよねぇ。弟子たちの指導にかまけて、元赤を助けるのが遅れるのは本意じゃないから、その辺も考えて指導プランを作っていかないとなぁ。



 魔法使用の為の補助魔道具、か。うん、その辺がキーになってくるかな。最初の成功体験に補助魔道具を持ってきて、勉強してもらうのはこの世界独特の術式か、この世界風にデチューンした術式。補助魔道具に組み込む術式は、必要魔力量は少なく調整して、効果の部分をこの世界の魔法に準拠させる。


 それで補助具を使わなくても魔法が使えるようになったら、補助具を回収する感じ?んで、才能のある子だけその先を教える、とかかな。


 補助具を使えなくなったとたん、戦力が激減しそうだけれど、その辺は後々状況を見て考えないとなぁ。


 んー、やっぱり技術漏洩がなぁ。その辺が一番ネックなんだよね。補助具に仕込んだ術式を探査されたら、アウトだしね。


 術式を探れないように色々と手を加えるべきだけど、何処までそれをやるべきか。それによって取得すべき技術と知識のグレードが変わってくる。貯めている経験値の消費量も変わってくるから、真剣に考えなくちゃ。


 やっぱりもう少しこの世界の魔法について調べる必要があるなぁ、これ。出来る事、出来ない事。得意な事、不得意な事。この世界での常識と勘違い、術式の穴なんかを調べておかないと、この先どうやって教えていくべきか、全然決まらないや。



 「何を悩んでいるのかは知らんが、それがさっき言った事なら、そこまで君が悩む事でもない。王家の者は皆幼いうちに覚悟を決めているのだから。


 守るべき者を守って死ねるなら本望だ。守るべき者を見つけられない人生を送るよりは、余程幸せな生き方だと信じる。


 そんな事で君が辛い思いをするのであれば、そっちの方が私にとってみればつらいな。」



 あぁ、やっぱり、私の言葉が届いてないというよりも、諦めている、希望を持たないようにしているって事ね。



 「ん?あぁ、別にそんな事で悩んでいるんじゃないよ。槍に関しては半分私の趣味みたいなものだからね。気にする必要は無いさね。


 あ、考え事とは違うけどついでだから聞いておこうかな。


 一応、確認するんだけどさ、神の槍ってやっぱり無くなったり壊れたりしたらヤバいよね?呪いが解けても槍が無くなったら意味がない、とか言って怒られたりしないかな。」



 「フッそんな事、か。」



 思いがけない事を言われた、そんな表情をした後軽く微笑を浮かべる元赤。うーん、ハンサムがやると破壊力が半端ないね。



 「まぁ、この槍を壊す程度で呪いが解けるのなら、王家はとっくの昔にこの呪いから解放されているだろうな。


 何せ我が王家は今まで、何人もの大魔法使い様にお出まし願って、この槍の消滅を何度も試みたのだから。


 だから、まぁ、君が何をしたいのかは分からないが、その結果この槍が消滅するような事があったとしても、呪いが解けるのであれば王家も、もちろん私も感謝こそすれ文句をつけることは無いだろうな。」




 なんだ、それなら話は簡単ねって徐に神の槍の破壊に取り掛かっても良かったんだけど、そういうムーブは自ら固く戒めているので、没。


 代わって緊急事態の際の確認を先にやっておく、用意周到な私。



 「無くなっても文句は無いって言ってもさ、代償が必要だったとはいえ、その槍は何度も都市を救ったのでしょう?


 代償になる方としてはたまったものじゃないとしても、その槍は貴方達王家の、切り札じゃないの?」



 「切り札さ。出来れば切りたくない、な。そして槍に限らず王家には他にも色々と切り札はある。ダンジョンからもたらされた強力なマジックアイテムや、この槍に似たり寄ったりの邪悪な武具であっても、もっと代償の軽いものもな。


 それにこの槍が無くても、王族自体が修業を積み、実戦を切り抜けて行けば切り札になりうる血筋を持っている。」



 そう言うと、何処からか取り出した槍を憎々し気に睨む元赤。あぁ、じっくりと見たおかげで気が付けたけど、この神の槍って、普段は元赤の体にめり込む感じで、重なるように収納されているのね。


 その辺に捨てても勝手に帰って来そうで、ちょっとホラーだよね。



 「大魔法使い様、か。やっぱり元赤は自分に魔法使いの才能がある事、分かっているんだ。」



 苦いものを飲み込んだような表情で頷く元赤。



 「まぁ、な。この槍の呪いが無ければ、俺も君と同じように魔法使いとして活躍出来ていたかもしれないな。だが、どれほど才能があっても、俺自身が望んでも結局俺はただの槍使い。槍使いが悪いとは言わないが、どうしても、な。思う所はあるさ。


 奇跡が起きて今呪いが解けたとしても、今更魔法使いになれるわけでもないだろうし。単なる愚痴だな、これじゃ。忘れてくれるとありがたい。」



 自然とまた出てきた一人称、俺。


 ええ、もちろん忘れませんよ。



 これで、もしもの時には遠慮なしにがっつりと行けるね。槍が壊れたからって弁償しろとは言われないだろうし、私の心の枷が一つとれた。



 「あぁ、あの……その……、盛り上がっているところ悪いんだがね。そろそろ午後の診療を初めても良いですか、な?急患も何人か運ばれてきたみたいだしの。」



 不意に院長先生が、変な敬語交じりの言葉で声を掛けてくる。今まで必死に空気を演じていたみたいだけど、考え事と元赤との会話に夢中になっていて気が付かなかったよ。


 院長先生だから、色々と事情は分かっている人だし、何かあっても黙っていてくれるだろうから、ノーカンだよね。


 とりあえず、弟子たちの育成プランは大筋でまとまってきた。せっかくだから、本人の意向をガン無視して元赤も私の弟子に加えてあげる事にする。


 文句を言ってきたら、あんたは私に預けられた人質なんでしょうが、私の好きに使えって話だったんだから、今更文句なんか言うんじゃない。大人しく私の弟子達の当て馬になりなさいな。って煽る予定である。


 もう一人分、機材を用意しないといけないけど一応、予備で幾つか余分に買ってあるから問題は無い。



 さっきまでの考え事が全部片付いた様な気分になった私は、意気揚々と何故かテンションが低くなってしまっている元赤を引き連れて、午後の診療に赴くのであった。



 まさか、その少し後に、別の厄介事を院長先生から持ち込まれるなんて思いもしなかったけど。

読んでくださり、ありがとうございました。

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現時点で先週からストック増えていません。

真面目に今週何とか書かないと来週アウトの様相を呈してきました。後1.5話、なんとかせんと。


暫く充電期間と言う名の逃げに入らざるを得なくなりそう^^;

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