表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

111/131

魔法剣を作ってみた

前回のロリ滅は


明日、ショートソードに手を入れようっと

うぁ、シリル何でヤキモチ焼いてん?

あ、指輪ね。うん、違うよ?


左手の薬指に着けなくてよかったね。

てか、この世界でも左手の薬指ってそういう意味だったんね。

 いつもよりも少し早い朝食を済ませて、元赤が来るのを待ってから、いつもの様に弟子共に瞑想からスタートしてもらう。


 今気が付いたけど、元赤って言い方、元彼って言い方に何となく似ているな。え!?全然似てない?元の部分だけ同じなだけ?


 いやさ、なんかこう、なんて言うのか駄目な男を見下す感覚?いや、元赤が駄目な男って訳じゃないんだけどさ。手間のかかる奴って感じはするし、ほおっておけないって思えちゃう辺りさ。


 あぁ、意地を張って突っ張って姉に素直に甘える事の出来ない弟を面倒見る感じ?だとしたら元彼とかイメージちゃうか。



 一瞬、そんな感じがしたのは何でだろうね。きっと朝っぱらからのシリルとのやり取りがまだ私を動揺させているのかもしれない。あのライトニングの指輪を、婚約指輪とか恋人として元赤から送られた物とかと誤解した件。


 完全に意識外からの攻撃だったから、面と向かいながら不意打ちを食らった気分だったよ。



 「さて、既に自己の魔力の感知を終えてコントロールに入っている我が兄妹達は最初の内は他の皆を見てあげてね。


 後、アリヤさんと元赤は焦らなくても良いから。この段階は普通なら数年かかってもおかしくない部分だし、今のアンタたちの進み具合から見れば私がフォローしなくても一年かからずに達成できるはず。


 二人も、もう既に普通の修行者たちの数歩先にいるんだから焦る必要は無いよ?


 この部分の訓練は自分たちで達成するのが目的じゃなく、魔力の修業に関しての感覚を身に着ける為の修行だからね。


 進みが遅くても今月中、年内には少々強引だけど魔力の感知が出来るようにしてあげる。


 要は自分の中を覗く感覚を身に着けて欲しいのよ。」



 そこを押さえてもらえれば、後は外から手を加えても問題ないでしょ。補助具を使って魔法を使った実感を持ってもらう。達成感を得てもらってからが先が長いけどね。延々と魔力増大の訓練と魔力のコントロールの訓練。そして術式への理解の勉強と展開の訓練。


 しかも勉強させられるのがこの世界用にデチューンされたある意味間違っており、ある意味正しいというややこしい術式。



 私から見るとなにやら精神的な拷問に見えなくもない。だからこそ最初の一歩を歩き終えた時位、彼等にいい思い出を作ってほしいじゃない。



 因みに、元赤にはこの修業が開始された初日から、ちゃんと魂の部分を鍛える為に負担にならない程度の負荷を掛け続けている。自分の魂を観測できる能力を持っている人でも、負荷を掛けられている事に気が付かない程度の軽い負荷だけど、最初はこれで十分。



 思い思いに返事を返した弟子達が、自分なりの方法で自分自身に没入し始める。





 さて、その間に昨日酷使したショートソードを取り出して作業台に置く。「永続光コンティニュアルライト」を付与した石っころを除けば、今世初になるマジックアイテムの作成に挑戦するのだ。


 既に必要な知識は先日の素材発注の際に取得済みだし、技術の方も最初に取得した「魔道具作成1」で十分対応可能な範囲だ。



 一口に魔道具を作ると言っても本当に色々と種類や方法がある。本当に色々だ。世界によっても変わってくるし、たとえ同じ世界の中でも国や文化の違いでも変わってくる。


 例えば呪符も紙一枚に墨で術式を書いて発動させるものだけど、あれもある意味魔道具であるには違いない。世界によっては、本当に普通の紙に普通のインクや墨、果てはコピー用紙でコピーするだけでも効果を発揮する場合もあれば、そこに術者の魔力を付与する必要がある場合もある。



 もちろん、普通の紙やインクでは効果を発揮しない世界もあるから、世界間を移動した際はその世界の法則をある程度理解してからでないと魔道具を作るどころか、別世界から持ってきた魔道具をストレージの外に出す事すら危険だったりするのだ。



 これは一部の科学で作られた機械類も同じだったりする。その世界に存在しえない、何とか粒子に依存している装置を、その粒子が存在しない世界に何も考え無しで取り出したら、それだけで大惨事になりかねない。


 単純な物だったら、そこまで悲惨な結果にはならないけど、元赤の元ネタの世界の大きなロボットをこの世界に何の処置もしないで持ってきたら……。この世界に何とか粒子が存在し得ない影響で、ジェネレーター辺りでトラブルが発生して、最悪は核爆発。そうじゃなくとも放射性物質での汚染が起きてしまう可能性がある訳で。



 だからこそ、一度転生した世界の調査情報を神の端末同士が繋がれたネットワークでやり取りする事が重要だったりする。このネットワークがあるお陰で、他の端末が訪れた世界であれば問題なく活動できる。


 この世界も以前、他の端末だれかが訪れた事のある世界の様で、ネットワーク上にはちゃんと情報が上がっていた。そして分霊わたしは物好きにも、必要最低限の情報だけを取得した後は自力でこの世界を解析している。



 なんでも、まっさらな新しい世界に訪れた際に自力で世界を調査するための、今は訓練を積んでいる最中だそうで。



 ……同じような事を他の分霊わたし達がやっているから、そこから経験を拝借すればいいのではないかと思わなくもないのだけれども、本当にこの手の面倒くさい事が好きなんだよね。端末、分霊、個体(わたしたち)。うん、個体わたしも好きなんだよ、この手の作業。



 因みに以前この世界を訪れた事の有る他の端末さん達が、どの空間のどの時間軸で活躍したかは分からないけど他の端末(かれら)端末わたしが出会う事は無い。


 それは過去に他の端末(かれら)がここを訪れて今は居ないから、という単純な理由じゃなくて、たとえ同じ時間、同じ地名、同じ場所を選んだとしても、端末わたしたちがその世界に干渉し入り込んだ時点で、世界が分裂してしまうからで、その辺りの説明は長くなるから割愛させてもらうわね。



 えっ?ん、わかった、面倒臭いけどちょっとだけね。


 ……簡単に説明するとまず前提条件として、世界は外から見ると最初から最後まで原因と結果がすべて書き込まれた、一つの映像ディスクの様なものだと思ってほしい。もしくはPCかなんかで管理している画像ファイルでも良いよ。わかりやすい方で。



 で、外から転生者等の異物が入り込むと元の世界を維持できなくなって、元の世界と異物が入った世界に分裂するって事なんだけど。



 世界を外から見ると、DVDの様に任意の時間と場所を観測する事が出来る、という事はその世界は最初と最後が既に起きてしまった結果として記録されている、と言えばわかるかな。


 その世界の中にいるもの達は、まるでレコードの針の様で、時間を戻ったり先に飛んだりすることは出来ない。リアルなレコードは針が飛んでしまう事はあるけど、それはこの際置いておいて欲しい。時間を任意に移動する事が出来ない理由、何故なら全ての出来事は過去も未来も同時に存在しているから。過去も未来も同時に起きていて、同時に存在していて、世界にはそれが記録されている。



 それらは世界の中にいる間では観測する事が出来ない。世界の外に存在し得るものが観測する事によって初めてそれらを認識する事が出来る、という事なんだよね。



 だから、外から異物が入り込んだ時点で、元の世界は元の世界として完結してしまっているから、変質できず、入り込んだ異物によって変質した世界が新たに生まれてしまう、という事になる。




 という事は魔法を使っても時間の流れを止めたり戻したりできないのか、という質問には、貴方達は今迄時間停止物やタイムスリップ物の物語を見たことが無いのか?という質問がそのまま答えになる。


 時間を停止し、もしくは戻し、昔に戻り歴史を変える。未来に飛び結果を知り過去に戻り未来を変える、その全てが物語を見ている視聴者の視点では過去から現在に原因から結果に事象が流れて行っているではないか。


 結果、それら歴史の改編や時間の操作関係の全てがそうなるような世界の出来事として起き、そして結果が残り終結した物として世界は存在するのよ。



 うん、分かるよ?なにいってんだかわかんねぇって。だから説明するのをためらったんよ。正直分霊(わたし)も最初、端末わたしにレクチャーを受けた時にはさっぱりだったからね。




 だから時間の流れがどうなっているのかって質問は、世界の外に関しては端末わたしでもよく理解できていないみたいだけど、世界単位に限って言えば、さっき説明した通り世界を映像ディスクととらえてもらえればわかりやすいかも?



 元の世界は常に正常な状態で維持されるから、アクセスする際に自分で好きな時間、好きな場所に入り込めばいい。そこで余計なコストを支払えば個人を特定して入り込めたり性別を指定したりできるけど、そのコストが意外とえげつないから、やっている端末なかま達は殆どいないと思う。



 態々他の端末が入り込んだ世界に、同じ時間を指定して入り込む奴はあんまりいないけど、入り込んだとしても、他の端末には会えない。


 何故なら世界が分裂する際、神の端末(わたしたち)の様なあんまり魂の大きな異物は複製できないのよ。天然物の普通の転生者なら話は別だけどね。だから、新しく作られた世界には端末わたしたちの様な異物は存在しなくなるって事ね。



 んーあー……端末、分霊、個体(わたしたち)の様なオタク的に言えばもともと存在した世界が原作、異物が入り込んだ世界は二次創作。気に入った二次創作を見つけてそこに入り込んだら三次創作。だけど二次作家さんが絶対に許可を出してくれないからお気に入りの二次創作のキャラクターは使えないよって事よ。ちょっと違うけどまぁこんなもん。わかった?



 これ以上は本当に分かりにくくて面倒くさい説明になるから、興味があるならそのうち説明するかもしれない、程度で一つよろしく。






 ……失礼。


 盛大に横道にそれてしまったけど本道に戻るとすると、この世界での魔道具作成の主流は魔力を留め易い環境を作り、そこに魔力を留める性質に特に優れた術者が術式を固定する、というモノが基本になっている。


 要するに、被術物自体に魔法を発動させる為の機構を作ったりするよりも、個体わたしが石ころに「永続光コンティニュアルライト」を掛けるたりするやり方に近い作り方をしているって言えばいいのかな?


 一応、ちゃんと術式を書き込んだり、魔術的な機構を作ったりしていて、付与術師エンチャンターとは一線を画しているけれど、補助的な要素が強いみたい。


 本質的な部分では付与術師エンチャンターと変わらないみたいね。ただ、この世界では被術物に魔力を長期間留めておく事が難しい。結果、極一部の生れつきその特性を持つ者だけが魔道具を作れるという認識になっている様で。


 魔力のコントロールの訓練一つ、まともにやらないで魔法使いになるのだから、魔力を留めておく事が出来る人も殆どいないって訳ね。


 あーこの辺りもメンドっ。




 一応、取得した知識で確認したところ、分霊わたしの常識で魔道具を作る事も出来る事は分かっているから、今回はこの世界のやり方を踏襲しない。どの道、個体わたしが使い潰す予定のショートソードに手を加える訳だし、作成現場を押さえでもしない限り、後から解析してもこの世界の技術レベルじゃ作成法を探ることも出来ないでしょう。



 いそいそと昨日「世界樹」で手に入れた数種類の粉末と砂を取り出して、一つ一つ性質を再確認しながら、これも昨日買ってきた工具類の中から乳鉢を取り出して一定の割合で混ぜていく。


 この粉や砂の正体は、魔法植物の根っこだったり、竜種の血を乾燥させて粉にしたものだったり、希少鉱物、例えばオリハルコンやらミスリルが含まれている砂だったりする。


 握りこぶし程度の量で、信じられない位の値段が吹っ飛ぶ代物だから無駄遣いはあんまりよろしくない。


 それでも工具類も纏めて銀貨190枚で買えたのだから、約2200万くらいなんだよね。砂や粉だけなら多分銀貨100枚いかない位だね。凄いけど、今の私ならそれほど躊躇う値段じゃない。


 一回の作業で使い切る量、って訳でもないから、作った品物で商売をするつもりは今の所は無いけどこれで生計を立てるのも難しくはないはず。



 一応、魔力の伝導率が良い物を、取得した知識に合わせて組み合わせてみたのだけれども、実際に使ってみるのは初めてだから少しだけ緊張する。



 ある程度こなれてきたら今度はショートソードに細工を施す。本当なら剣を打つ際に手を加えたりした方が良い魔法武器を作れるんだけどね。先ずは簡単に先日の剣が受けたダメージを魔法で修復しておく。変形の魔法を駆使して微妙なゆがみも刃こぼれも均す。


 今の状態で鍛冶師までするつもりは無いのよ。槌打つ響きも嫌いじゃないんだけどね。いかんせんアレは時間を取り過ぎる。ゲームなんかでよく言う時間を盗まれるって奴だね。嵌ると危険なのだよ、鍛冶師は。


 この後ショートソードに作業を施すわけだけど、魔法陣を封入する前にやりやすいように補助線を入れておきたい。慣れればそんなものはいらないだろうけど、何せ初めてだからさ。



 先日買った魔法のペンで剣の金属部分に印をつけていく。この魔法のペンで書かれていくインク部分は魔力で出来ているから金属にも問題なく書き入れる事が出来たりする。便利だよね。この魔力を書き込む、といった性質はそのまま呪符魔術を使うときやスクロールを作る際に、物凄く役に立つのだよ。



 多分、物に魔力を留める事が出来ないこの世界の人達でも、このペンを使って、あと幾つかの手順を踏めば魔法のスクロールが作れてしまうくらいに便利で、可能性に溢れているのだけれども、まだ彼らはその可能性に気が付いていない。




 そもそも魔力に関しての解釈を、神様がどうのとか悪魔がどうのとか邪神がどうのという、本当かどうかあやふやな神話から根拠を持ってきてやっているから、本質から明後日の方向に向かってしまっている。


 魔力感知の修業も、最初にこの解釈を頭に叩き込んでから始めるから、なかなか上達できない。自分の中にある筈の魔力を感知する前に、必死に自分が信仰する神と交信する事に血道をあげる。なかなか捗らない筈だよね。



 手際よく、補助線を引き終わってから極々少量の調合したパウダーを薬品に溶かして剣の根本と他に何か所かに薄く塗りつける。ついで、魔力で術式を塗布部分に投射してそのまま内部に浸透させる。


 うん、お手軽やっつけマジックウェポンの完成である。効果は耐久性を大幅に上げるのと、気の通りをよくする為の術式を書き込んだ。切れ味に関しては、気を使って上昇させるから今の所は必要ないかな。次に手を加える時に考えよう。


 本当なら宝石を魔法石にして、色々と手を加えてみようと思っていたんだよね。あともうちょっと別の方式で作る予定だったけど、良い粉と薬品が手に入ったからさ。とりあえずはこっちを試してみた。



 別の方式?うん、あれだよ。変形の魔法で金属の刀身の内部に意図的に疎と密を作り出して先ずはそれで術式を書き込んでみたかったんだよね。後は、疎の部分に魔力を通して使うタイプの……、そう!それそれ!魔力を注いで使うタイプの魔剣とかさ、うん。


 後は、刀身の部分に彫金するタイプもやりたいよね。ルーンを掘ったり、簡略化した術式を入れてみたり。彫金はちょっとうるさいだろうから、皆の修業が終わってからかな。


 だってさ……。



 「すげっ。」「きれいだねぇ……。」「これほど手軽に魔法武器が作れるものなのか?前に聞いたのとかなり違うような気がするのだが。」「なんかさっき剣がグニグニ動かなかったか?」「え?これ魔法の剣になったの?うっそ……、魔法の剣って一番安いのでもとんでもない値段するような気がしたんだけど。」



 こんな具合に、比較的音を立てない静かな作業であっても、簡単に気を散らすお馬鹿な弟子達だからさ。キンキン音を立てたら絶対に修行にならないよね。変形の魔法でルーンをプリントするようなやり方は邪道だし。



 溜息一つ、一睨みして皆を散らしてから続きの作業に戻る。次はダガーと、古着屋で買ってきたローブの番だね。ダガーは切れ味を増す方向で、ローブは刺繍するタイプの方が好きなんだけど、今回は粉と薬品を利用して簡単に魔法処理をしてしまおう。


 一旦、これが終わったら次は下水用の装備だね。ギルドでラットの革を買えるだけ買っておかないと。やる事が結構あるから退屈しなくていいけど、好事魔多しって言うからね。フラグを立てたつもりは無いけど、気を抜かないようにしないと。

読んでくださり、ありがとうございました。

評価や感想をくださると私が喜びます。

いいね!を押してくれても嬉しいです!



ショートソードの最後の部分、あれは表面に塗布した混合物を薬品と一緒に魔法でショートソード内部に浸透させて術式を焼き付けるといった方法を取りました。


うん、魔法万能説が出てきてしまうようなやり方ですね。


魔法使わないでやろうとしたら彫金や魔法石を組み込むパターンとかですかね。

鍛冶からするのであれば、更に打てる手が増えますけど、今回はお手軽に行きました。



さて、余裕ぶっこいて来週分がこの時点で出来上がっていなかったら……ごめんなさいw


9月17日 7:56 追記 奇跡が起きて2週間分確保できました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ