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嫉妬と指輪

前回のロリ滅は


世界樹でお買い物

最初の端末は最低男

個体って情報管理能力低くない?


元赤、機嫌なおしたかな?

 で、ね。補助具の材料、素材の注文をしたって事は当然必要な材料や代替材料についての知識を手に入れたという事で。


 もう少し粘りたかったんだけど時期的に微妙に予定が詰まっていたから、仕方なしにとりあえず魔道具に関する知識関係を材料発注に必要な分だけ試し試し取得しておいたのよ。ダンジョンに行く前にね。


 おかげで元赤のくそったれな槍に関してもある程度どういう物かがわかってきたのと、切り離しと槍の制御の目途が付きそうなのよ。この調子でいけば、のんびりやっていても後2~3年もあれば元赤の呪いを解除してついでに槍を便利なマジックウェポンとして活用できるようになるかもしれない。




 それなりに結構手を入れる必要があるとは思うけどね。



 で、その前段階という訳じゃないけど、昨日ダンジョンで馬鹿の様に酷使して、たった数時間の間に細かい刃こぼれや微妙なゆがみが出てしまったショートソードに手を入れてみようと考えた訳よ。


 気で強化していたつもりだったけど、まだまだ気の制御が追い付いていないのもあるし、ちょいとミスした所もあるから、この惨状は仕方ないかなと思っている。


 いまだにあの武器屋の研ぎ士のひきつった顔が忘れられないわ。帰ってから内部検査をしてみたけどいや、まるで過酷な戦場で数年酷使してきたような内部疲労を起こしていたよ。


 一昨日に買った際には中古だけどそれなりに状態が良かったはずなんだけどね。





 「ねぇ、おねーちゃん。昨日ジル様と二人で何処にお出かけしていたの?」



 昨日から不安げでちょっと機嫌の悪かったシリルがベッドで私に抱き着いたまま聞いてくる。まだ日が昇る少し前で、声には眠気が十分に残っている。昨日塒に帰ってから、皆にお土産を渡して今日の修行の進捗状況を確認してからずっと様子がおかしかったんだよね。


 何が気になっていたのか、何を聞きたかったのかはわかっていたけど、シリルが自分から聞いてくるのを待っていた。正直、まだまだ8歳の可愛い妹でいてほしいとは思うけど、この調子でいけば私とおんなじ年齢になった頃には魔法使いとしてある程度社会的地位を手に入れてしまうだろうし、こういう所から少しずつ大人になっていくのは彼女の為にもいいはず。




 なに、ちゃんと大人になってからでも十分子供帰りして甘えてくれる機会はあるだろうし?


 ま、シリルの方が成長は早いはずだから、絵面は立場逆転しちゃうかもしれないけど、シリルなら大人になっても魔法使い的に寿命がほぼなくなって長生きしても、長い時の果てで朽ち果てる寸前であっても、余裕で甘えさせてあげられるから、問題はない。



 「ん?そんなことを気にしていたの?」



 「だってさ、おねーちゃん、ジル様の事特別に思っていないって言っても、仲がいいしさ。二人でお出かけして、ご飯も二人だけで食べたんでしょ?


 それって、デートっていうんだよね?


 ジル様、偉い人みたいだし……、お嫁さんを沢山もらうんだろうなとはわかっているから、そこはいいんだけど。おねーちゃんがジル様のお嫁さんになっちゃったら、私絶対におねーちゃんには勝てないから。」



 「あぁ、だからそれはないって。ま、シリルと一緒にお嫁さんに行くっていうのは悪くはないけどさ。わたしゃ男は好きじゃないんだよ。」



 数人が余裕で眠れる特別製の大きなベッドの中で向きを変えてシリルと向き合う。私が抱っこしていたニカが今度は私の背中を抱っこして暖を取り始める。起こしちゃったね、ごめんよニカ。


 各寝室にはちゃんと暖炉があるし、薪もたっぷり用意してあるから寒いという事はないけど、やっぱり夜半を過ぎれば暖炉の火が弱くなるし起きるころには熾火になってしまっているので、お互いの体温が一番の防寒になるのだ。



 そのはず、なんだけれども今日は早いうちに暖炉の火が弱くなってしまって、少し部屋の中が冷えるかもしれない。えっと、火力は暖炉の炎程度、持続時間はまぁ、3時間も続けば問題ないかな?



 「炎の壁(ファイアーウォール)



 とたんに勢いを取り戻す暖炉の炎。同室の子たちが小さく驚きの声を上げるけど、ロナがその後に「お師匠様、ありがとうございます。」と茶目っ気を含めた口調でお礼を言ってきた。うん、修行の時間以外でお師匠様って呼ばれて関係性に一線を引かれるのを私が好んでいないことをちゃんと理解しているみたいで、ちゃんと冗談だよって分かるように言ってくれるのはうれしいわね。



 「朝方までは火は持つから、今日は暖かく起きれるはずよ。シリル、私は元赤を友達として見ることはあっても男性として、恋人としては見れないのよ。


 身分のある人は厄介だからあんまり近づきたくないっていうのが本音だしね。」



 「でも、あんなに楽しそうにおしゃべりしていたし、二人だけの秘密を持っているみたいだし。おねーちゃん言っていたじゃない、恋人や夫婦は二人だけの秘密を持っているものなんだって。」



 あぁ、それは何年か前にちょっとおませな質問をしてきたシリルに、耳年増で知ったかぶりをした個体わたしがドヤ顔で話したことがあったっけ。いやぁ、まさかそんな事が今自分の首を絞めるとは考えもしなかったよ。



 「二人だけの秘密ってさ。いや本当にそんなもんじゃないんだけど。


 はぁ、仕方ないか。


 元赤の都合でね。ちょっとダンジョンまで足を運ばなきゃいけないことがあったのさ。最初は一人で行くつもりだったみたいだけど、流石に師匠としても戦友としても一人で行かせるわけにはいかなかったしね。」



 少し驚いた表情をした後、目をつぶって考えるシリル。



 「なんでみんなに教えてくれなかったの?」



 「教えたら皆興味がわいてくるでしょう?連れて行って欲しいって言いだすだろうなとは思ってたから。


 ……私がそうだったんだし、人のことを言えた義理じゃないけどさ。それでも、だからこそ駄目だとは言いにくいよ。


 ただ、連れて行っても鉄の棒きれ振り回して何の戦力にもならないケリー達じゃ、手が足りなくて守り切れないだろうし、単に餌になるだけだからね。


 それを本人たちに面と向かって言えば、納得はするだろうし弁えてもいるだろうけど、傷つきもするだろうしね。


 説得するのも面倒だったから内緒で行ってきたの。というか何でそんなに心配するようになっちゃったのさ。」



 そういうとシリルは少し黙った後、言いづらそうに私の右手の薬指を指しながら。



 「だってさ、帰ってきたらおねーちゃん指輪をしているんだもん。左手の薬指じゃなかったから婚約とかじゃないとは思ったけど。


 でももしかしたらジル様がおねーちゃんにプレゼントしたのかもしれないし、そうだとしたらそういう意味かもしれないし。


 帰ってきてからのおねーちゃん、なんか考え事をしながら少し楽しそうだったから……。」



 指輪……あぁ、ライトニングの指輪か。あぁ、確かにこれは私がうかつだった。こんなの恋する乙女が見たら勘ぐるのは当たり前だよね。


 ん……もしかして帰ってから塒の女衆が少しざわついていたのも、ロナ達がニマニマしていたのもこの指輪のせいだったりする?


 え?男衆も何人かががっかりして青ざめていたって?いや、そんなん知らんしどうでもいいわ。男は踏みつけられてナンボよ。そこから立ち上がってきてタフに育たんと、女房も子供も守れる立派な男になれんから。



 え?いや、オーライ、了解、わかっているって。確かにさ、個体わたしにも男の子だった記憶は多少あるから、意外と男がナイーブだっていうのは分かっているけどさ。


 特に女の子に何かされると、すごく傷つくよね、男って。女の子が少し褒めればすごくうれしくなるのが男だし、ちょっとけなされると大して気にしていない振りしながらかなり傷ついてへこんでいたりするのが男の子だっていうのは記憶、記録でしっかりわかっているけど、そこを乗り越えないとこんな世界じゃ余計に家族を守れんでしょ?


 ん、まぁ確かにこの世界だと家族を守るのは男女関係ないけどさ。でも身重の時に女を守れるのは旦那だけだろうから、そこは頑張れと言いたい。ん、そこは同意してくれるんだ。


 あ、いや、ここで自分同士でごちゃごちゃ言っていても始まらない。まずは指輪に関してちゃんと申し開きをしないと、固まってしまった私を見てシリルが不審な目に変わってきている。



 「あのね?この指輪はね……。」



 この後、耳をダンボにしながら寝たふりをする同室の女衆を気にしながら、シリルにマジックアイテムを購入した事、切り札にするために普段から装飾品の様にして身に着けている事。右手の薬指に嵌めたのは特に意味はない事。私の指って子供なりに細いから、ニューラさんが色々と頑張って調節してくれたんだけど、何度か調整してくれた時に丁度右手の薬指にぴったりだったんだよね。



 そんな事を必死になってシリルに説明してて、彼女が納得してくれた頃には外が明るくなり始めたころだった。



 ……朝っぱらから何をやっているんだ私は。

読んでくださり、ありがとうございました。

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今週分投稿時点で来週分は八割用意できています。


ここで気を抜かなければ来週は大丈夫?w

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