初めてのお風呂
前回のロリ滅は
敵さん発見!至近距離!
「理力の弾」装填用意!
撃て!から始まった大乱戦でした。
ん?これじゃぁ冒頭部分しか説明していない様な気がするんだけど……。
今世初めてシリーズの中でもかなり上位に食い込むお楽しみ、初めてのお風呂。最初の生まれが日本人だったから、と言うのはやっぱりあんまり関係ないかもしれない。
だって人間に限らずお猿さんだって、競走馬だってお風呂大好きだもん。嫌いな人も稀にいるけど、私は端末になる前から普通にお風呂が好きだったし、分霊も個体もそれを受け継いでかなりお風呂スキーだから、寒い地方にありがちな蒸し風呂だとしても十分楽しめる。当然個体は実際には入ったことが無いから単に知識として知っていて憧れてただけだったけど。
農村の田舎じゃ、水浴びだって満足にできない時の方が多いからさ。
けど、まさかちゃんとしたお風呂に入浴できるとは思わなかったから、現在進行形で感動を味わいつつ湯船につかってぼんやりとしてたりする。
まだお昼前の早い時間にもかかわらず、それなりにお客さんがいたみたいで、少し詰めれば同時に30人は入れそうな大きな浴槽には既に15人近い先客が入っていた。
ぱっと見、オバちゃん6割おねーちゃん2割、お子様2割といった所か。オバちゃんがつれて来た子なのか、お子様は5歳位の男の子一人と同じ年頃の女の子一人。ま、この位の年齢なら女湯に入っても問題ないだろうけど、身体を洗っていた最中に私の周りを回ったり、じっと見つめたりするのは正直勘弁してほしかった。
5歳位の、まだ下に産毛も生えていないおこちゃまでも私の造形美に惹かれるのか、顔を赤くしながらボーっと私の顔を見つめて、その後体中を無遠慮に見始めたからかなり居心地が悪かった。
変に恥ずかしがって体を隠すのもおこちゃまを意識しているようで嫌だし、かと言って顔だけじゃなく、胸やら股間やらに視線を集中させるエロちゃまを、そのままにしているのも嫌だしでほとほと困っていたけど。
オバちゃんの一人が軽くポカンとその子の頭を叩いて、「人様をジロジロ見るんじゃないよ!」って注意してくれたから、まぁ我慢する。
はぁ、流石に性的成人年齢が10代前半な世界だけあって、ませたお子様がいてもおかしくは無いけど推定5歳だからなぁ。
当然、お風呂に入って迄ローブや薄衣を装備している訳が無いので、何気に女湯オンリーとは言えパブリックに素顔大公開中なのに今気が付いた。よく注意を向けてみればオバちゃんもおねーちゃん達も私の顔を見て唖然としているし、オバちゃん達が小声で「あれ、噂の女神様じゃないかい?」ってお話しているからさらに居心地がよろしくない。
えぇぃ、無視無視。私はただ、久しぶりのお風呂を楽しみたい。目をつぶってのんびりとお湯に身を任せる。あぁ、たいして疲れていないけどダンジョンでの戦闘の気疲れ?みたいなのが体から抜けていく……気がする。
あ、もちろんちゃんと先に体を洗ってから入りましたよ?一回の入浴で銅貨20枚、大体6,000円も取るだけあってさ、貴重なはずの石鹸も使わせてくれるから、久しぶりに頭の先からつま先まで奇麗にウォッシュさせてもらった。
思わず、子供の頃の入浴の歌を小声で口ずさみながら、隅から隅まで~って。
……私はタオルとバスタオルを借りたので、入浴料銅貨26枚かかったけど。ストレージを財布代わり以外に便利使いするつもりは無いから、手荷物を増やさないための銅貨6枚出費なら全然ありだね。
お風呂に入る前に店員さんに営業時間を聞いたけど、基本的には灯りを使わずに済む日の出から1時間後から夕方くらいまで。でもそれでは、仕事終わりにお風呂に入りたいって人が入れないから、夜は特別料金でお風呂の一角だけ明かりを灯して短時間営業しているみたい。
ただでさえ高いのにこの上、特別料金っていくらかかるのか。
大体平均的な職人さんの日給が粒銀1つくらい。人によって銅貨が何十枚か増えるから、面倒を省くために二~三日に一回お給料をもらっている職人も多い。粒銀だけ先にもらって、銅貨分が粒銀一つ分まで溜まったらその分をもらうとかしている人もいるらしい。
そうでもしないと銅貨なんていくらあっても足りない。貯金するなら銅貨じゃなくて粒銀にしてねって話でもある。この世界の経済を支えている貨幣は銀が主流だけど、庶民の生活は銅貨が中心で鉄貨はオマケ程度の認識だから銅貨でもらった方が良さそうに思えるよね。
でも銅貨でもらうと重いし嵩張るからね。基本は粒銀でお給料をもらって買い物をして、お釣りで銅貨をもらうって感じみたい。
職人さんがお風呂に入るとなると一日のお給料の大半が吹っ飛ぶから、もっと実入りの良い仕事している人達が利用しているんだろうけど。普通の職人さんは水浴びだよね。
ふむ……。普段ここを使う人たちとなると成功した冒険者でもなければ、大店の商人さんとか、そのマダムとかかな?さっきのエロガキはどっかの大店のご令息かもしれないね。
あのエロガキがお風呂に入れて、あんなに良い子の集まりの塒の仲間達が水浴びだって言うのはちょっと不公平だよね。別に公平が正しい事だ、なんて言わないけどさ。
でもさ、うん。今度、塒の皆も連れて来たいな……。
皆でおゆはん前に繰り出してさ、ゆっくりお風呂に浸かってからどっかの食堂でおゆはん食べてから帰るって言うのも良いよね。毎日の事じゃないんだし、たまには皆にも楽しみがあっても良いはず。
ただ、皆こまめに水浴びしているとはいえ、基本的には身体の汚れは取り切れていないから、他のお客さんに迷惑がかかるかもね。しかも男女合わせて一気に百人近くお邪魔するとなるとちょっと考え物だねぇ。
分けて連れて行くかなぁ。
最初は弟子達と他何人か連れて行って、その後希望者を日替わり、は私の仕事的にちょっと無理だから職人仕事の最初の日に2~30人づつくらい。月に一回の贅沢ならケリー達もうるさく言わないだろうし、最初に自分たちがお風呂に入っちゃったら難しい事も言えなくなるだろうから。
ケリー達を誘う時には、「これも修行に有効なんだ、精神を集中させるのにお風呂はとても良いものだ。」とでも適当こいておこうかな。実際にお風呂に入ったら精神を集中させる所か、ぼんやりしちゃってとても修行どころじゃないって気が付かれちゃうだろうけど。
師匠の言葉と言えど、何も考えずに受け入れたりせず、疑いの心を持って自分で考える事をしないと碌な目に合わない、という人生勉強をここで積めるのだから、彼らも多分感謝してくれるだろう。
ま、騙されたとは言え、お風呂に入って美味しいものを食べられるんだから、色々と彼らなりに先の事を考えてはいるんだろうけど、文句言わずに受け入れて欲しいものだ。
魔法使いとして成功すれば、毎日お風呂に入る位は無理なく普通に生活に取り入れる事が出来るだろうし、自宅にお風呂を作れるくらいには稼げるかも。
魔法使いになれない子達もそれなりに面倒見るつもりだから、月に一回くらいお風呂に入れる程度には稼げるようになれるわよ。
あぁ、自宅にお風呂かぁ。空いている部屋はあるし、排水関係も何とかなるだろうから、家にお風呂を作っちゃうのもありだよね。あぁ、どうせなら最初に建ててもらうときに作ってもらえばよかったかも。
ま、動乱後は色々とドタバタしていたし、気が付かなかったのは仕方ない。設計も大まかな希望だけ伝えて、棟梁さんに丸投げだったからね。
無駄に余裕を持たせて大きく作ったから、後からでも何とでもなるでしょ。後悔しても始まらないしね。
そんな事を考えながら、お風呂屋さん近くの食堂で待ち合わせをしていた元赤と合流する。彼は少し前にはお風呂を上がっていた様で、装備一式を背負い袋に入れて分かりやすい場所に席を取っておいてくれていた。
そう言えばあのエロガキは私がお風呂を出る時に、また私の着替えを堂々と観賞しようとしていたから、オバちゃんに困るんですけどって視線を送って成敗してもらっておいた。
半ベソかきながらオバちゃんに連れられて行く前に、クルっと振り向いたエロガキ。こいつも懲りないな、とタオルで身体を隠す私。
「ねぇ、おねーちゃん、冒険者なの?母さんの友達が言ってたんだ。僕、ティーズって言うんだ。」
急に喋り出したエロガキ、ティーズ君。真っ裸のままオバちゃんに手を繋がれて連れられて、振り向いた格好で。
「ねぇ、おねーちゃん奇麗だから僕のお嫁さんにしてあげるよ!僕、早く大人になるからさ。おねーちゃんも何年か待っててね!」
苦笑を浮かべるオバちゃんが「すみませんね」と一声返してティーズ君を連れて行く。連れていかれまいと必死に抵抗しながら「忘れないでね、絶対他の男と結婚しちゃ駄目だからね!」と言いながら連れていかれるティーズ君。
あのさ、御免。私は心は男だし、そうじゃなかったとしても正直ショタコンの気もないんよ。本気で勘弁してほしいわ。ロリコンは滅ぶべきだと思うけどさ、ショタコンも同じだよね。うん。
少なくとも下の毛が生えてから声かけてきてくださいな。そうしたら遠慮なく振る事が出来るしね。
それにしてもまったく……。フリーダムだな、エロガキは。
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テルマエ・ロマエを見ると古代ローマのお風呂の技術がどれほど高度な物であったのか、驚かされますね。
話によると、この時期かな?その前後かな?蒸気機関の原型になる模型の発明がなされていたようで。
大型化しようとして爆発事故だか何だかを起こして技術者が死んじゃってってそういう話を聞いた記憶が……。
冶金技術が追いつかなかったのが原因だと思いますが、そこで躓かなかったら西暦の最初の方にかなり文明が発展していた可能性がある訳で……。
すげぇぜローマ♪
……史実じゃなくて漫画か小説が元ネタだったりしたらごめんなさい^^;