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ダンジョンの有る街並み

前回のロリ滅についてです


槍がひもじいって訴えてます

ダンジョンで餌をやって来ます

そんな面白い事、一人でやるなんてとんでもない!


え?元赤どんな顔してたん?なんで私シリルに恨まれるん?(涙

 「異変?どのダンジョンが?」



 「リーメイトの話だと第2だ。西のファモスだな。」



 「今回行くところは第4のタナトスでしょ?槍の餌やりならついでにファモスを調べた方が良いんじゃないの?」



 「私達は調査隊じゃないしな。その仕事は別の奴らが請け負っている。横から口をはさむわけにもいくまい。


 それに先は長くないと思われていたとしても、私は腐っても王子だからな。あからさまな捨て駒には使えんさ。王家にも面子があるし、リーメイトもそんな事に命を賭けても意味はあるまい。


 私達が勝手をした結果だとしても、彼が責任を取る事になるからな。友人を思うなら、余計な事はせぬに限る。」



 第4ダンジョンのタナトスへ向かう道すがら、昨日からの大雪でまだ雪かきが終わっていない道を、誰の足も入っていない雪の上を、少々苦労して踏みしめながら元赤の話を聞いていた。



 初のダンジョンアタックを前に、一応支部長さんに一言報告をしてからという事で、日の出から少しの、早い時間に伝言だけでもとギルドに寄った元赤と私達に、以外にも支部長さんご本人が出てきてくれたんだ。


 

 その上で、まだ確証が無くて極秘扱いという、ダンジョンの異変の情報をくれたのだけれども、折角のイベントフラグだというのに元赤の態度がつれない。私としては、この流れはファーストダンジョンアタックで大トラブルに巻き込まれて、死山血河を乗り越えて結果的に都市を滅ぼす、いやいや滅びを救う!って話だと思ったのに、残念である。


 思考が一瞬物騒な方向に飛ぶのは寛大な心を持って勘弁してほしい。最近、心が少々不安定になっているみたいなんだ。恐らく二次性徴の影響だと思うけど、もう少ししたら成長が鈍化、もしくは停止するだろうから、それまではこんな感じで厨二病の症状がチラホラ出てくるかもしれない。


 あ、それと邪悪な部分もね。



 「残念ではあるけど、ダンジョンに関しては不案内だしね。経験者に従うわ。」



 「素直だな。いつもこうなら私も楽が出来るのだが。」



 「ほっとけ。」



 言いつつも足早にタナトスへ向かう。昨日、遅くに弟子共には明日はちょっと用事が出来たから実習だと告げてある。ダンジョンに行くとか伝えていないから、ばれたらみんなに責められるかもしれないけど、その時はその時だね。


 ひよっこを連れて行けるか、と一声で有無を言わさないつもりだけど、それ以外の視点で悲しそうな視線を送ってくるだろうシリルだけが私の弱点だから、今からどう説明するか悩んでいる。



 それは兎も角、エステーザ壁内だよ。


 何気に人生2度目のエステーザ壁内に何となく私の視線は右往左往してしまい、話す内容も気が漫ろになりがちだ。何やら豪華そうな料理屋さんとか、何に使っているのか想像がつかない豪華な建物とか、チラホラ見えて気が散る。


 途中、壁内の職人街らしきところを通ったけど、壁外のニューラさんのお店「世界樹」よりも大きなマジックアイテムのお店らしきものを見かけて、ついつい目が惹かれてしまった。


 いやいや、今度の職人仕事の日に日を改めてよってみよう。今はダンジョンだよ。



 第4ダンジョン、タナトスはエステーザ壁内の西南に位置する五角形の一角。いやこういう場合五芒星の一角と言った方がかっこいいかな。



 実際の所、ダンジョンを結んだ五角形も五芒星も都市の構成とは何の関連もないから、エステーザを上空から見ても、各ダンジョンを頂点としたなにがしかの図形が見て取れるわけじゃない。けどさ、折角奇麗な五角形の頂点にダンジョンが揃っているのだから、ここは少々気を利かせて街並みを整備してみたらどうだろう。



 「そんな実利の無い見た目に拘って、既存の建物を破壊し、道路を通すのか?正気の沙汰ではないな。」



 「反論の余地は無いけどさ。でもこの配置って魔術的に何かに使えるかもしれないんだよね。各ダンジョンから魔力を取り出せるとしたら、都市を守る結界を作るとか出来るかもしれない。


 今の所どうやればそれが出来るのか、全然頭に浮かばないけどね。」



 「それが可能なら、一考の価値はあるだろうが。可能になったとしても検証すべき点も多いだろうしな。ダンジョンから魔力を抽出するとは言うが、それがどれだけダンジョンに影響を与えるかという点も考慮しなくては。


 せっかく固定に成功したダンジョンを一つでも失う事になったら、エステーザの経済基盤に重大な影響を与える事になる。」



 「そう気軽に検証できるモンじゃないし、百年経っても実現のめどは立ちそうもないわね。」



 「そう言う事だ。それよりもついたぞ。」



 タナトスへの道すがら、途中第5ダンジョンのケートスの近くを通ったけど、そこと同じように大きな門と防壁がダンジョンを大きく覆っているような造りの建物が目の前にあった。大きな鋼鉄の門は開きっぱなしになっていて、その周辺にはまだ早朝だというのに十数人の衛兵が配置について、ダンジョンゲートに向けて警戒をしている。



 受付らしい衛兵が元赤の顔を見ると上台殿と声を掛けて何やら手続きを始める。ここしばらく顔を見ませんでしたが、とかパップスの時にな、暫くは楽が出来たのだが、とか。


 漏れ聞こえる話だと、ダンジョン内のモンスターを仕留めても槍はあんまり満腹になってくれないみたい。本当なら外働きに出た方が、効率は良い様だけどそうそう気軽に元赤を外に出すわけにもいかないって話してる。


 あ、そう言えば上台の意味が分かったよ。この前元赤と話していた時に教えてもらった。槍の呪いをかけた邪神の言葉に因んでいるらしくて、生贄を捧げる台の中でも上等な台がこの槍だ、と言われたらしい。だから上等な生贄の台を縮めて上台、だってさ。


 上台に捧げる贄、だから上台の贄。んで槍の別称も上台になったみたいね。



 それで上台殿と呼ばれる元赤の立場ってないわよね。生贄殿って呼ばれている様なもんじゃないって思わなくもないけど、代々、槍の継承者は公的には自らを上台と名乗るものらしい。事情を把握している周囲の者たちも、上台と呼ばれる彼らに尊敬の念を込めて呼んでいるから問題ないらしい。



 ……そう言う問題なのかな。名誉職というか、名誉と敬意で生贄になった者の心を縛ってやけっぱちにならないようにする為の一つの手段なのかも。それがどの道逃げられない事なのなら、まぁ、納得は出来ないけど理解はせざるを得ない。


 憐れなのは、元赤も、多分今までの継承者も。そしてこれからの継承者もそれがおためごかしである事を理解しているって事よね。



 よく狂いもせずに運命を受け入れる事が出来るものね。



 それともある意味とっくに狂っているのか。


 そんな風には感じない程、紳士なんだけどね。元赤。


 あぁ、この子は報われてほしいわ。本当に。シリルも厄介な奴に惚れたわね。まぁ、確かにかっこいいしたまに笑うとドキッとするのはわかるけど。こんな境遇にもかかわらず、無邪気に笑うときの笑顔は確かに女を狂わせる魔法がかかっているように感じるわ。


 あと、その後にする真剣な顔もギャップがあって、その系統が好きな女はコロッと行くだろうけど。これってギャップ萌えって言うのとはちょっと違うのかな。


 あぁ、端末わが心の友であり師匠であった友人とまた再開して、教えを請いたいものだ。


 少々別世界に飛んでしまった個体わたしが正気に戻っても、元赤は戻ってこない。



 何やら手続きを終えても忙しくお話している元赤と衛兵を横目に、ダンジョンタナトスの出入り口らしきポイントに目をやる。微妙に空間が球形状に歪んでいて、所々黒い斑点らしきものが球形の表面に浮かんでいるようにゆっくりと無秩序に動いている。


 この黒い斑点は、恐らくだけど光が透過できないでどこかに行ってしまった影響だと思う。別の空間に繋がっているって事だと思うけどどういう仕組みになっているのか、今の私には全然理解できない。


 ただ、この世界のダンジョンがありがちな別世界、もしくは異空間へのゲートを通っていく場所だという事はこれで理解できた。ま、最初から想像はついていたけどね。



 少しだけ気を引き締めて、腰に下げた肉厚なダガーとショートソードを軽くたたく。マルロのお店で揃えたんだけど、お金に余裕があったからさ、それなりに良い物をって思って見繕ってもらったんだ。


 下水路とは違って、ダンジョンの中では武器を振る十分な空間もあるという話だから、身の丈に合ったショートソードと、一応狭い場所での戦闘に備えて丈夫そうな肉厚のダガーを揃えてもらった。



 ロハでもらえた基礎戦闘の技能のお陰で、一通りの武器の使い方は手に取れば何となく分かる。だけど本来、刺突武器は得手じゃない。スティレットを選んだのは、狭い場所での戦闘を想定したからで、今になって考えれば、皆が使っていた短めの棍棒でも十分だったかなと思っていたりする。


 ローチを潰すのに具合が良いし。



 この身長だと扱える得物も限られてくるから、少ない選択肢の中で魔法使いらしくスタッフとかロッド系統を選ぶか迷った。魔法主体で戦うつもりではあるけど、魔力を活用して戦うのはあんまり見せない方が良いかな、と今更ながらに考えてしまって。


 この世界で魔力をコントロールして戦闘に利用している奴らがいないとは思えないけど、多いわけでもないだろう。まず魔力をそのままコントロールするという発想がなく、呪文の詠唱で魔力に干渉して動かすのが主流のようだから。



 いやパップスの際にやってしまっているけど、理解できている人がどれくらいいるか分からないし、気やオーラをつかったと誤認している可能性もあるからね。



 スタッフやロッドで戦うとなると私の場合、近接戦闘の際に自然と杖先に魔力を集結させて打撃部分を吹き飛ばす様な戦い方になるから、魔力を結構活用する事になる。普通に剣で切りつけるよりえげつない威力が出るし、打撃部分がミンチになって吹き飛ぶから汚い事になるんだけど、魔力を通しやすく作られているスタッフやロッドを使った近接戦だと、かなり有効な戦い方だと思う。


 ま、迷ったけどね。王道はやっぱり剣でしょ、って事で今回はショートソードとダガーに決めたんだ。



 マルロは私の事を覚えていてくれて、最初お店に入った時何も言わずに幾つかスティレットの良いやつを見せてくれたんだけどね。



 以前、カウンターにいたお腹の大きかった女の子、いなかったから多分今頃子育てに忙しくて、お店に出られないのかな。態々聞かなかったけどさ。



 あ、そう言えばナデラの姐さんは来年の4月頃が予定日だって言っていたから、その頃には仕事を減らしていつでも駆け付けられるようにしておかないとね。



 「待たせたな。少々、ダンジョンの様子を聞いていたんだ。ここと、後幾つか他の場所もな。」



 「何か変化はあったのかしら?」



 「まぁ、タナトスでは特に異常は見られないらしい。通常通り、冬に活動が活発になっている以外にな。」



 「季節に影響をうけるダンジョンって珍しいの?」



 「無くはない、程度だな。私も別の前線都市のダンジョンに詳しいわけではないが、それでも幾つか話には聞いたことがある。


 さ、何時までも立ち話をしていても目的が果たせんな。


 現在、ダンジョン内に入り込んだ冒険者は、彼らが把握している数は7パーティー121名だ。勝手に入り込んだ奴らも何人かいるようだが、手続きをしない奴らは把握のしようがない。出入りを監視している訳じゃないから仕方あるまい。


 ダンジョンでは人間種もモンスターとして冒険者の姿で出てくることもあるからな。近寄ってくる相手が人間だからと言って気を抜くなよ。」



 「え、マジ?うあぁ、ちょいと厄介だね。それ。今まで同士討ちって言うのもあったんじゃないの?」



 「あぁ、無くは無いだろうな。噂の域をでんが、ダンジョン内で命を落とした者の姿で現れる奴もいるらしい。


 遭難したパーティーの救助に向かったパーティーが救助対象者の姿をしたモンスターに襲われて壊滅したって話もある位だ。


 中に入ったら自分たち以外は潜在的には敵だと考えた方が良いな。」



 そんなこんなを元赤に注意されながら、彼の後をついてタナトスのゲートに入る私達。初めてゲートに入るはずの私が、全くビビっていない事に苦笑を浮かべた元赤が、流石は女神と言う訳か、と呟くけどスルーする。


 さてと、ゲートをくぐる時の計測用の術式はうまく起動している。


 この計測結果は個体わたしには理解できないし、情報ももらえないけど分霊わたしが解析する事になっている。今の個体わたしでは理解できないから仕方ない。後で色々と個体わたしに還元される予定だ。主に技術や知識のリストでだけどね。



 さて、今世初のダンジョンアタックだ。気ぃ入れていきましょうか!

読んでくださり、ありがとうございました。

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一話辺り、大体何文字くらいがちょうどいいのかな?

一応3000以上になるように書いていますけど、気が抜くと倍近くになってしまう。

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