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ダンジョンにいこう

んだば、前回のロリ滅だば


今世初めての物欲ビンビン

結構散財したよ

エルフのニューラさん、種族的特徴部分が可愛い


んなもんだべ

 治療院勤務の短い昼休み、食後のお茶を楽しんでいた私に元赤が話しかけてきた。



 「ダンジョン?」



 明日は一日、修行も私の傍周りも休ませてほしいと申し出てきた元赤に理由を聞いたら、帰ってきた答えが壁内ダンジョンに行く、との事。てっきりたまには体を動かしたくなったのかなと思ったりしたんだけど、もうちょっと深刻な理由があった。



 「あぁ、そろそろ槍に餌をやらねばならん。パップスの騒ぎのお陰で、暫くは問題ないくらいに腹を満たしたようだったが、そろそろ空腹になったらしくて、最近槍が五月蠅くてな。


 一番遅れている私が修行をさぼるのは、非常に心苦しいのだが……、こればっかりは仕方あるまい。


 許可をいただけるだろうか、師匠?」



 むぅ、元赤迄私の事を師匠呼ばわりして軽く弄ってくる。まぁ、たしかに私はあんた達の師匠なんだから間違っちゃいないんだけどさ。元赤にそんな風に言われると何かむず痒い。


 ともあれ、これを断る理由はない。けど、壁内ダンジョンか。



 「駄目と言えるような理由でもないでしょうに。気を付けてね。」



 どことなく申し訳なさそうな元赤に、即答で許可を出す。一応、師匠だからね。私。



 たしかエステーザ内に固定に成功したダンジョンは5つ。あれから私も少し勉強したのだけれど、ダンジョンが存在するのは何故か秩序勢と混沌勢がぶつかり合う最前線のみで、一つの地域に発生するダンジョンの数は大体決まっていてエステーザ周辺だと9カ所。



 生まれたばかりのダンジョンは、規模はそれほど大きくなくて、作りもそれほど複雑じゃないうえ、一度攻略してダンジョン奥のダンジョンコアを破壊、若しくは奪取してしまえば、その後短時間で消滅してしまう。


 ダンジョンが消滅して、その地方のダンジョンの数が規定数以下になると数日と言う短い期間ののちに再び何処かに新しいダンジョンが産まれる、という仕組みになっているみたい。



 ダンジョンは秩序側にとっても混沌側にとっても、厄災であり、そして資源でもある。その為に、秩序側は可能な限りダンジョンを管理するべく、様々な方策を講じてきた。ここエステーザでは産まれたばかりのダンジョンは攻略後消滅し、場所を変えて発生するというシステムを利用して、長い時間を掛けて都市の壁内にダンジョンが集まるように調整してきたのだ。



 結果、最前線都市エステーザの壁内には奇麗に五角形になるようにそれぞれの頂点にダンジョンが存在する。



 この手のチマチマとした作業が得意な秩序勢はダンジョンを自分たちの領域内に確保し、独占する事に成功したのだ。ただ、どういった法則かは分からないけど、一つの都市に固定できるダンジョンの数はどうも5つが限界らしくて、その後は何度発生したてのダンジョンを攻略しても壁内にダンジョンを発生させることは出来ていない。



 この辺りの冒険者たちは、発生して数年以内のダンジョンをインスタントダンジョン、なんて呼んで積極的に攻略している。それなりに稼ぎが良く、またダンジョン内で手に入れる事の出来る財宝の中には滅多に世の中に流通していない金貨はもちろん、マジックアイテムなどもある為に、発生して数日程度の規模の小さなダンジョンであっても一つ攻略すると、軽く一財産を築ける。



 当然、攻略するためには都市外に出なくてはならず、冒険者たちの外働きの花形になっている訳だ。皆がこぞってインスタントダンジョンを捜索し挑んでいく為、ダンジョン攻略で命を落とす冒険者の数も後を絶たない。


 平均して一月に1~2カ所のインスタントダンジョンが攻略されていて、発生と消滅を繰り返している。


 ま、つまりエステーザ都市内に固定成功しているダンジョン以外は、かなり短いスパンで発見、討伐、消滅を繰り返しているという事になる。


 ただ、この地域のダンジョンが9カ所と言うのは、我々秩序側が確認できる範囲で、と言う意味で、魔の森の奥部に私達の確認できていない固定ダンジョンが存在している可能性も否定できない。


 というか、多分あるよね。彼等混沌勢にとってしてもダンジョンは資源であり、強い戦士を鍛える場所でもあるのだから。



 因みに長期間放置され、力を蓄えたダンジョンは何度か攻略されても、消滅せずに数日の間休眠期間を経てから活動を再開する。だから固定化されたと称されるわけだ。



 当然、力を完全に失わせるくらい何度も攻略すれば、いずれは消滅してインスタントダンジョンの様に発生と消滅を繰り返すようになってしまうらしく、むやみな攻略は推奨されていない。いないというかいなかった。


 現在ではエステーザ内に固定されたダンジョンはかなり成長しており、一番年代の若いダンジョンであっても、そう簡単に攻略が出来なくなっている。



 支部長さんのお話だと、ここ最近で固定ダンジョンが攻略されたのは8年前だって話だった。



 ダンジョンが際限なく成長している現状にそこはかとない不安を感じたりするのだけれども、これって本当に大丈夫なんだろうか。



 「ダンジョンって詳しくないけど、どのダンジョンに潜る予定なの?」



 「あぁ、タナトスの浅層なら特に特殊な装備も必要ないしな。冬に活性化するダンジョンではあるが、だからこそかえって上層部でもそれなりのモンスターが出てくるから手っ取り早い。


 何日も時間をかけるつもりは無いし、無駄に危険に身を晒すつもりは無いからな。」



 「まさか一人で行くつもりじゃないわよね。」



 「奥に行くつもりは無いからな。浅層をうろついて何匹か狩るだけなら、一人でも問題ない。」



 特に気負った様子もなく、淡々と答える元赤。多分、槍を継ぎこの都市で生きるようになってから、何度も経験してきたのだろう、過信ではない自信を感じる。


 単に事実を積み重ねてきてそれを今再確認している、そんな感じだ。



 彼から感じる心の動きからも、特に変わった所はない。本心から、その辺に散歩に行く程度の認識なんだと理解できる。



 ただ、私の立場からすれば、まだお尻に殻がついているひよっこの、修行中の弟子を一人でダンジョンにやる訳にはいかない訳よ。お師匠様としても戦友としても。え?単に興味があるから自分もいってみたいだけだろうって?



 その通りだけど、それがなにか?



 だって狡いじゃん、私だってダンジョンに行ってみたいと思っていたのに、いつの間にか戦争が始まっちゃって、やっと落ち着いたと思ったら、流れで弟子取りする事になって、ダンジョンとか外働きとかインスタントダンジョンとか行って見たかったのに全然いけなかったんだから。


 それに、私のレベルも上げておきたいし。確か秩序側のダンジョンだと、ダンジョンが何故だか空気を読んで、混沌勢がモンスターとして出てくるんでしょ?


 それだけじゃなくて色々出てくるみたいだし、ちゃんと実体の有る敵だから、倒した後解体することも出来るんでしょ?食用に向くモンスターだっているって話だから、お肉とか手に入れておゆはんに皆で食べるのも良いじゃない。


 財宝もだけど、マジックアイテムも「世界樹」に置いていない珍しいものが手に入るかもしれないし、一度愛でて満足したらニューラさんの所に売ってしまえば、それだけでもかなりの収入になるし。


 あ、いや。これ以上使う充てのないお金をため込んでどうするんだって話もあるけど、まぁ、マジックアイテムを趣味で集めるのなら、お金はいくらあっても足りないだろうから、問題無しよね。


 その内自分で作る予定だけどさ。


 あぁ、予定通り、魔道具職人になったら、今よりも稼げるようになりそうよね。自分で作れるんだからマジックアイテム蒐集もしなくなるだろうし、そうしたらまたお金の使い道を考えないとね。



 まぁ、そうなってから考えればいい事よ。今世はまだ金貨も見ていないから、ダンジョン産の金貨も手に入れてみたいじゃない。プラチナとか貨幣になってないのかしら。白金貨とか出てきたらいいわよね。価値とかわかんないけど。




 「……なんだ、ついてきたいのか?ダンジョンに。」



 「え、いや。だってダンジョンってモンスターがいる訳だし、言ってみれば戦場の様なもんじゃない?そんな危ない所に戦友を一人で行かせるのはどうかと思うし、あんたは私の弟子であり、護衛だったりする訳よ。


 護衛が私から離れるってあり得ないし、独り立ちできていない弟子を危険な場所に放り込むのも師匠としてはどうかと思う訳よ。


 と、当然でしょ?」



 「ふっ。ついてきたければついてくればいい。君は既に単戦15位のクラスを得ているんだろう?十分に壁内ダンジョンに入る資格はあるし、誰に止められる謂れもない。それにクラスを得て無くとも、君がダンジョンごときでどうにかなるとも思えん。


 他の弟子達を連れて行く訳にはいかんが、君なら戦団を組む資格もあるしな。ケリー達なら連れて行くこことも出来るだろう。ま、浅層であってもお勧めはしないがな。」




 「べ、別に?私が行きたいって訳じゃないけどさ、やっぱり責任ある師匠としてはひよっこを一人でダンジョンにやる訳にはいかないし?


 ま、あんたがメインで立ち回りするなら荷物持ち位ならやってあげても良いわよ。あんたより私の方が力があるしね。」



 ちょっとツンデレ風に返答してやったら、ネタだという事を理解してくれた元赤がクスっと笑ってくれた。だけど、それ以上ネタで返すことは無く、了承だ、と一言返してくれた。



 明日は、弟子共には自習させておいて、元赤と一緒にダンジョンだ!シリルがちょっと嫉妬するかもしれないけど、あんたのジル様を私が守ってあげるから、安心して待ってなって伝えれば分かってくれるかな?


 え?やめとけって?余計に嫉妬心を煽る事になるぞって?うん……そんなもんなのかな。了解、余計な事は言わないでおくよ。



 「んで、荷物持ちって言ったけど、今のうちに用意しておいた方が良い物、ある?今日は少し早めにあがらせてもらって、必要な物を職人街に買いに行きましょうよ。」



 「別に本当に荷物持ちをする必要は無いさ。ただ、万が一に備えて水と食料くらいは持ってきた方が良いがな。


 タナトスの浅層では転移系のトラップは確認されていないが、それでもダンジョンを甘く見るべきではないからな。


 武器と、水袋と堅焼きのパン一つあれば十分だろう。」



 なるほど、そうなると背負い袋に水と食力を入れていく感じか。あ、そう言えば前にスティレットを無くしてから、私の武器は先の折れた棒切れだけになってたっけ。一応、毎晩魔力を通して色々と手を加えているから、単なる棒切れではなくなっているけど、まだまだアレは仕込みの最中だから使えない。


 よくあるじゃない、ゲームとかでさ。最初に手に入れた武器が実は最強の武器だったって。玉ねぎ的な?うん、それは置いておこうか。


 単なる棒切れがどうなってしまうのか、実は私も楽しみなのだよ。



 でも、そうなると代わりの武器が必要になるわね。今日の帰りにオーケーロリコンのお店にでも顔を出しましょうかね。


 え?マルロのお店だろって?いやそうだけどさ。そう言えば、あそこの奥さん、無事出産を終えたのかな。



 「帰り、武器屋とか寄りたいから、付き合ってよね。」



 「了解した。」



 短く答えた元赤の表情を、個体わたしは見ていなかった。だから分霊わたしの言葉が理解できなかった。


 は?なんで私がシリルに恨まれるって言うのよ。単にダンジョンの様子を見に行くだけだから問題ないって。ねぇ?

読んでくださり、ありがとうございました。

評価や感想をくださると私が喜びます。

いいね!を押してくれても嬉しいです!


さて再び点滅するストックピンチランプ。

そして初めての領域、1日アクセス数941回の奇跡!

ん……1時間で100回アクセスが多いって事は読んでくれた方があれ?って思って前の回とか読み返してくれたのかな?


少しづつブックマークも増えてきました。



ちょっと忙しくなってきてるので来週の分、間に合うかちょっと分かりません^^;

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