「世界樹」のお得意様になる
前回のロリ滅は
エルフのニューラさんに会ったよ
そろそろ乳バンドが必要かも
魔道具たけぇ
時計に懸けられた魔法は大したことはありません。
順調、といっていいのか。一応は予想通りに弟子たちの修業は進んでいっている。シリルや兄二人の魔力感知の修業は既に達成して、現在は他の弟子たちの面倒を見てもらいながら特に意識をしなくても魔力を感じ取れるようになるよう、反復で訓練を続けてもらっている。
予定通りに、苦闘しているアリヤさん、元赤の二人だけど、私の当初の予想よりはいい感じで自身の内面を探れるようになってきていて、この調子でいけば私の補助が無くても半年くらいでこの第一関門を突破できそうな雰囲気だ。
それを待ってあげるつもりが無いのは申し訳ないけど、ここを膨大な時間を掛けてまで私の補助なしで突破する事にどれほど意味があるのかは、はなはだ疑問だから諦めてほしい。
二人には途中から、それほど気に病まなくてももう少し自分で頑張って何となく感覚を掴めれば、後は私が補助するから心配しなくていいとは既に伝えてある。
そう言えば、そう伝えた後から修業が進んだ気がする。良い切欠にでもなったのかな。
え?!ダメな子認定されたから、意地になって必死になっただけ?そんなつもりは無かったんだけど。
我が可愛い妹であり、優秀な弟子でもある狼ロリのシリルは、この元赤の修業の行き詰まりをただ傍観などはしなかった。
この修業はひたすら、個人的な感覚が主体になる修行だから、相手の魔力や感覚に干渉する術の無いシリルに元赤の修業を手伝う手段は殆どないけど、それでも中々修業が進まない元赤やアリヤさんに自分なりのアドバイスをしてみたり、さりげなく慰めてみたりして少しづつ距離を縮めて行っている。
ここでアリヤさんを放っておいて元赤だけ構ったりする事はしないあたり、シリルの性質が良いのか、それとも高度な作戦なのか。恋愛雑魚な私には理解できないけど、少なくとも印象はいいよね。
先日購入した時計とランプは、殆ど個人的な家具や部屋の装飾品を買った事の無い個体にとっては金額的にも精神的にも大きな買い物だった。今は作業部屋にランプを、修行部屋に時計を置いているけど、塒の仲間達にも好評で、よく見たいと言ってきたり、ランプを使ってみたいとはしゃぐ子供達が作業部屋にやってくるようになったのよね。
ランプや時計の値段を知っているケリー達は、高価な品物だからやめとけって止めるけど、流石魔法の品と言って良いのか、元々多少の事では壊れない程度に頑丈だったのと、外から私が保護の魔法を掛けておいたから、例え手元から勢いよく床に落としてしまっても特に問題はない。
「気を付けてくれれば、それでいいよ。使い終わったらちゃんと元の場所に戻しておいてね。」
と許可を出したら、特に幼年組が跳ねあがって喜んでいた。いや、彼方此方に「永続光」を掛けているこの屋敷で、そんなに跳ね上がって喜ぶ程このランプの使い所があるとも思えないけど、このお洒落なランプを光らせて自分たちで持って見たいという気持ちは分からなくはない。
幼年組は態々部屋に備え付けの光の石を別の部屋に片付けてまで、ランプを光らせて遊んでいる。
小さい子なら猶更だよね。親が大切にしている物を自分も持ってみたい、とか母親の化粧品を自分も使ってみたいとか、そう言うものの延長にある気持ちと言えば良いのか。私が彼らの親を名乗るのは少々僭越だとは思うけど。
この子達はその欲求を満たすことなく、この塒で親元から離れ、もしくは死別して暮らしている訳だから、せめてこの位はさせてあげたいじゃん。
後家さん達の子供達も一緒になって騒いでいるのはご愛敬。
でもそっか。これを利用すれば小さいうちからこの子達の魔力を鍛えてやることも出来そうだよね。何か少し考えてみよう。
後家さん達も自分の子供達に現時点では魔法使いの才能無し判定が出た時は残念がっていた。あと何年かして魔法使いになれるくらいに成長したよって伝えてあげられれば、喜んでくれるだろうか。
魔力の成長について、他所様に変に勘繰られる可能性があるにはあるから、考え所だと思うけど、そうなったらそうなったでその時の分霊に全部丸投げしましょうか。
ふざけんなって言われても困る。個体じゃ良いアイディア浮かばないんだから仕方ないじゃない。亀の甲より年の劫でしょ?その膨大な人生経験から一つ、宜しく。
魔道具店、「世界樹」にはあれから何度かは通っている。この短い期間に合計4回くらいかな。治療院の仕事の帰りにとか、職人仕事の日に皆を誘って買い物ついでに、とか。
そうそう毎回魔道具の購入をするつもりは無かったけど、その、つい物欲に負けて。店主のニューラさんのお勧め品を幾つか買わせてもらっている。
だって、目の前に置かれている商品が私に勝ってほしいってアピールしてくるんだもん。物欲が自制心に。うん、誤字じゃないよ。
仕方ないじゃない。え?そう感じているのは個体だけだって?いいじゃん、今世初めての欲しいという欲求を果たすくらい。大目に見てよ。
ま、さ。当初の目的の「お金を使う」は達成できているし、面白いものが手に入ったし、シナリオ経験値を使わずに魔道具の勉強になったから、一石三鳥だよね。
え?面白いものって何って?見てなかったんだ。うん、聞きたいよね?良いよ、教えてあげる!
うん、実生活においてはそれ程意味があるものではないけど、あぁまぁ使えて、部屋に置いておくだけでも飾りになる趣味の良い物を選んだつもりなんだ。令和日本的にアンティークに感じる魔法の人形と可愛い感じのカップとグラス。
あと、インク要らずの羽ペンもゲットしたよ!結構いいお値段したけどね。もちろん全部魔法の品。
どんな魔法がかかっているか知りたいよね?うん、ま、戦いに役に立ったりするようなものじゃないからバトルが好きな諸兄等には少々物足りない品だとは思うけど、普段の生活の中で戦うなんて場面なんてそんなにないし、冒険者であっても四六時中戦闘を繰り広げている訳じゃないから、生活用品ってやっぱり重要だと思うんだよね。
魔法のカップとグラスの方は多分、色々と想像がつくと思う。ありがちなのは次から次へと水やお湯が出てくるとか、お酒が出てくるとかだと思うけど、流石にそんなに便利な物は置いてなかった。
この世界にその手の物が存在するのかは分からないけど、有ったら面白いよね。今回、私が買ったカップとグラスはカップの方が暖かい飲み物を温かいまま維持してくれるカップと、逆に飲み物を冷たくしてそれを維持してくれるグラス。
カップの方は温めてから入れないと意味無いけど、グラスの方は注ぐと勝手に冷やしてくれてそれを維持してくれる優れもの。
当然グラスの方がカップよりも高かった。
魔法の人形は、特定のワードに反応してお決まりのポーズをとったり動いたりしてくれるもので、複雑な動きは出来ないけど、私自身について歩かせる、って事ぐらいならできちゃう。
無論、動力としてそれなりに魔力を消費するのか、動かし続ければ魔石の補充が必要になるからコストパフォーマンスは悪い。でも面白いから、一度子供達の前で本当にちょっとした人形芝居をしてみた。その日から年少組でも最年少の子達が、お芝居のおねだりをするようになったのよ。
毎回やるのも大変だし、同じネタじゃつまらないから、多少は手を変え品を変えってやっていきたいじゃない。だから今は勿体ぶって、その内にねって誤魔化してたりする。
たださ、一体だけでお芝居だと寂しいから、似た様なものが出てきたら取り置きしてもらえるようにニューラさんにお願いしておいた。ニューラさんは私がお得意様になってくれそうだと考えたのか、似た様な品物がないか、他のお店にも声を掛けてくれると請け負ってくれた。
まぁ、見つからなかったら、普通の人形を買ってきて、私が魔法で動かせばいいだけなんだけどね。出来ない事じゃないし。
魔法人形はいくらしたのって?うん、それなりに良いお値段しましたよ?
羽ペンの方は説明不要だと思うけど、インクを使わなくても延々と書ける羽ペンで、インクの代わりに魔力を代用していて、使用する魔力量も極々少量なので、魔法を使った事の無い一般人でも問題なく使えるって代物。
これってこの世界の人間じゃまだ気が付いていないだろう色々な可能性が秘められていて、今回の買い物の中ではかなり当りな品物だと私は思っている。
見た目もかなりお洒落だし使いやすいしね。ローブに刺す術式の図案を羊皮紙に書き込むときに使わせてもらっている。私なら書き損じても魔力のインクであれば消せるから、非常に便利なのだ。
ノートにシャーペンで書くように、簡単に書いたり消したり出来て、試行錯誤をするのにちょうどよろしい。
全部でいくらくらいかかったか?あー、うん。それなりのお値段はしたとだけ言っておくよ。特に人形が高かった。ちょっと躊躇するくらいなお値段はしたよ。具体的には銀貨3ケタの後半くらいかな。全部合わせたら4ケタに近い銀貨が飛んだとだけ言っておく。
お人形だけが頭二つ抜けるくらいに、お高かった。うん。
ただ、いいお値段を取られただけあって、魔道具の勉強としてはかなり役に立った。術式に関しても、魔力の使い方、動力への変換、各部の機動に関しての仕組み。コマンドワードに関しての仕組み。音声を取り込んで動作させる仕組み。幾つかの行動を組み合わせて動かすための仕組み。
いつの間にか12月が目の前に迫ってきている現状、皆に補助用の魔道具を渡す予定の日が近づいてきている。ローブのマジックアイテム化の為の下準備は一度中断して、今はシナリオ経験値稼ぎと魔道具の知識や技術を蓄積する方向にシフトしているから、この魔法の人形には随分と助けられた。
たとえ経験値を消費して魔道具関連の知識、技術を手に入れたとたん、意味のない知識になるとしても、その分の苦労は無駄にはならない訳だし、消費する経験値が少々ディスカウントされるかもしれないから、問題はない。
十分元は取れたと言えるわね。
作成予定の補助魔道具は、当然杖のタイプにする予定。元赤は普段槍を使うのだから、杖だと邪魔になるかもしれないけど、槍は自分の体の中に収納できるみたいだから、普段は補助具の杖を持ってもらえばいいんじゃないかな。
補助具に組み込む術式は、最初の内は3つくらいかな。灯りの魔法とマジックアロー。あと一つは何にしようか考え中。弟子組が伝心系統の魔法を使えるようになると色々と便利だけど、この世界にその手の魔法があるのか調べていないし、有る場合どの程度の使い勝手かによって書き込む術式の内容を手加減する必要が出てくる。
豪雪地帯だから、雪かきに使える術式でも良いかなって思ったりもした。冬の間は魔力を鍛える為の修業として雪かきのお仕事をうけつつ、働きながら修行をする。冬はとても効率はよろしいけど、夏の間に使えない魔法じゃちょっと悲しいよね。
補助具を渡すのは皆が魔力感知が出来るようになって、魔力のコントロールの修業に入ってから、時期を見てって考えていたから、多分1月か2月の始めくらいにはなるのかな。
そうなると12月中にはある程度仕様を決めておかなくちゃいけないし、今のうちに必要な材料をそろえておきたい。
材料の発注を今からして間に合うか、って言うよりも、発注するためには魔道具の作成に関しての知識が必要になる訳で、出来るだけギリギリ後になってから知識を取得しようと思っていたけど、意外と時間的余裕がなさそうだよね。
冬が明けるまでには、弟子組には魔法使いになった実感を感じてほしい。雪かきで出来た山に向かって「魔法の矢」を試し打ちしてもらいたい。
材料の発注に関しては一度ニューラさんに相談してみよう。私はそれなりに短期間でお金を落としたお得意さんだし、ニューラさんも結構親切にしてくれるし。相談に乗る位はしてくれるはず。
彼女、あの何気なく首筋に手をやったりネックレスを弄っている仕草が、意外とセクシーなんだよね。特にネックレスを弄る時、胸元に手をやったりしてるから、エルフの種族特有のささやかな双子山が僅かに強調されて、ついつい目が……。
いや、これは哺乳動物としての致し方ない性だから、仕方ないんだよ?わかるよね?
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そろそろダンジョンの話が出てきます。
それにしてもストックとは何故こんなにも溜まらぬものなのか。