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金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している  作者: 結城 からく


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第59話 評判を自覚してみた

 考え事をしていると、ビビがぱちりと目を開いた。

 彼女は上目遣いで俺に挨拶する。


「おはよう、ご主人。よく眠れた?」


「おかげさまでな」


 俺は頷いて応える。

 するとビビが頬を手にすり付けてきた。

 動物っぽい仕草に俺は苦笑する。


「どうした」


「くっつきたくなった」


「そうか」


 俺達はそのまま無言で寝起きの時間をゆっくりと過ごす。

 腹は空いているが、まだ動く気にはなれなかった。

 別に急ぎの用はない。

 未だ周辺環境が慌ただしいのだから、朝くらいは怠惰を貪ってもいいだろう。


 窓の外から聞こえる街の賑わいを聞いていると、ビビが腕を引っ張ってきた。

 彼女は寝転がった姿勢で尋ねる。


「今日は予定は?」


「迷宮に潜りたいと思う。贈り物に使う資金を集めたい」


「私も手伝うね」


「助かる」


 決闘で世話になった人達には、恩返しとして贈り物を渡す予定だ。

 現金という手も考えたが、金銭面で困っていない者ばかりなのであまり良い策ではない。

 やはり相手に合わせた贈り物を考えるのが一番だろう。


 上体を起こしたビビがやる気に満ちた顔で言う。


「いっぱいがんばらないとね」


「そうだな」


 話を終えた俺達は水を飲んでから着替えた。

 朝食は迷宮に向かう途中で済ませるつもりだ。

 この宿の食堂でもいい。

 今日は肉が食いたい気分だった。


 修繕された竜の防具を着ていると、ビビが思い出したように茶化してきた。


「ギルドに行ったら、また英雄って言われちゃうかも」


「そろそろ落ち着いてほしいものだ」


 俺はため息を洩らす。

 ビビが言っているのは、一部の冒険者が俺を英雄扱いする件についてだ。

 実情は無視されて、あの結果だけが独り歩きしているのである。

 決闘での印象が強いのか、毒使いの魔術師だと呼ばれることが多い。

 いずれ飽きられると思うが、しばらくは注目の的になるのだろう。


「私は英雄でいいと思うよ」


「勘弁してくれ……」


「ご主人はまだまだ強くなれる」


「そこは努力したいな。決闘を通して学んだことも多い」


 たとえば三属性の同時発動だ。

 成功率は低いものの、安定させればさらに戦略が広がる。

 今後もビビと並んで戦うためには必須の技能だと思っている。

 才能に恵まれたビビに対抗するなら、経験と器用さを活かしていくしかない。


 準備ができたところで俺達は部屋を出る。

 話し合いの結果、大通りにある店で朝食をとることになった。


「行こっか」


「ああ」


「私もご主人には負けないよ」


「それはこっちの台詞だ」


 二人で言い合いながら歩く。

 たまに他の冒険者から声をかけられた時は、手を振って反応しておいた。

 すると彼らは嬉しそうに騒ぐ。

 ビビと顔を見合わせた俺は、何も言わずに肩をすくめた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >たまに他の冒険者から声をかけられた時は、手を振って反応しておいた。 >すると彼らは嬉しそうに騒ぐ。 >ビビと顔を見合わせた俺は、何も言わずに肩をすくめた。…
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