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金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している  作者: 結城 からく


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第54話 英雄を翻弄してみた

 聖騎士が全力で仕掛けてくる。

 消耗を考えない猛攻だ。

 これまでよりもさらに速く、そしてどこまでも力強い。

 残像を発しながら繰り出される剣術は、軌道上に転がる的や障害物を切り裂きながら迫る。


 周囲に毒煙が充満しているが、聖騎士は光魔術で強引に無効化していた。

 僅かに吐血するも、怯む気配がない。

 力尽きる前に俺を殺す気なのだ。

 短期決戦のための立ち回りに切り替えている。


 対する俺は防戦を演じていた。

 幾度となく攻撃を受けながらも、まだ大きな怪我はしていない。

 ひとえに防具の性能が良いからだろう。

 まさか属性付与された聖騎士の斬撃を凌ぐほどとは。

 普通の装備だったら、もっと死にものぐるいになっていたに違いない。


 気を抜けない展開が続いている。

 風の防御は既に分解された。

 聖騎士の攻撃は高威力で、最初の光線も容赦なく多用してくる。

 一撃で形勢を覆される恐れがあった。


 それに魔力の減りが激しい。

 長期戦になって困るのは俺も同じなのだった。

 服用した解毒薬の効果時間にも限りがあり、呼吸のたびに毒煙を吸い込んでいる状態だ。

 肉体の負荷は計り知れない。

 あまり無茶をすると、聖騎士に斬られる前に毒で自滅しそうである。


 それでも俺は、冷静でいられた。

 背筋を伝う死の気配を感じ取りつつ、湧き上がる焦りを精神力で抑える。

 徹底した防戦と牽制により、とにかく致命傷を負わないように気を付けた。


(作戦は今のところ順調だ。上手くやれている)


 まずは聖騎士の油断を利用して不意を突く。

 次に毒と魔術で翻弄し、実力差を無視する手段があるのだと教えた。

 さらに毒煙で畳みかけて全力を出すように誘導した。


 一連の流れで、本来ならありえない速度で聖騎士は消耗している。

 精神的にも疲弊し、思い通りに決着できない苛立ちを募らせていることだろう。


 きっと俺のことを卑怯な毒使いだと思っている。

 この先も毒を主軸にした先方で攻め立ててくると考えているはずだ。

 今度はその認識を逆手に取った攻撃を行う。


「さっさと諦めろ!」


 怒鳴る聖騎士が片手から光線を飛ばす。

 それぞれの指先から放射されて、進みながら分岐してくる。


 絶妙な間合いで回避は不可能だ。

 どうやら俺を穴だらけにするつもりらしい。

 咄嗟に防壁の指輪で壁を作るも、一瞬で破壊された。


「無駄だッ!」


 聖騎士の叫びを無視して再び指輪を使用する。

 今度の防壁は表面が白く輝いていた。

 壁に命中した光線が貫通せずに拮抗する。


 それは防壁に光魔術を付与したからだった。

 鍛錬の中で、俺は指輪で発生する現象にも属性付与ができるようになっていたのである。


 単純な出力なら聖騎士が圧勝していた。

 しかし、防壁の性能を勘定に加えた結果、互いの光魔術は互角にもつれ込んだのだ。


 防壁が砕け散って光線も消える。

 相殺が起きた刹那、俺は風属性と雷属性と光属性を同時に発動した。

 瞬間的に聖騎士を超える速度に達し、そこから迎撃の刃を押し退けるように突進する。


 俺は温存してきた黒い刃の短剣を抜き放つ。

 不死者殺しの一撃は、聖騎士の太腿に深々と突き刺さった。

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[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] >俺は温存してきた黒い刃の短剣を抜き放つ。 >不死者殺しの一撃は、聖騎士の太腿に深々と突き刺さった。 「あの」短剣を、か……! [一言] さ…
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