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金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している  作者: 結城 からく


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第44話 事情を説明してみた

 部屋に入ってきた職員は、空いた椅子に座って悲しそうな顔をする。

 彼女は演技臭い仕草で嘆いてみせた。


「出迎えてくれないと寂しいじゃないっすか。ギルドで待ってたんすよ」


「今はそれどころではない。事態は切迫しているんだ」


 俺は職員に現状を説明する。

 おそらくある程度の情報を集めているからここに来たのだろうが、そこは気にせず伝える。

 話を聞き終えた職員は肩をすくめた。


「ははぁ、なるほど。あの聖騎士に目を付けられるなんて不運っすね。執着心が強いことで有名なんで、半端なやり方では諦めないでしょう」


「ギルドから苦情を入れられないか。所属する冒険者が不当に被害を受けているんだぞ」


「無理っすね。お話を聞くに個人間の問題ですし、相手は聖騎士です。知っての通り権力者なわけで、多少の身勝手は黙認されるんですよ。この場合、ただの冒険者を擁護する人なんていません。冒険者ギルドとしても、国との軋轢を生みたくないですから、きっとあなたを見捨てる方針を取りますね」


「やはり自力で解決するしかないか」


 俺が呟くと、職員が顔を覗き込んできた。

 いつになく真剣な表情で彼女は提案する。


「この街……いや、国から逃げたらどうです? さすがの聖騎士でも、国外で好き放題する力も時間もありません。あなた達なら見つからずに出るのも難しくないっすよ。今の生活や人間関係を捨てることになりますが、それが最も確実で穏便な案です」


「確かにそうだろうな。だが、俺達は逃げない。決闘を受けるつもりだ」


 俺は断言する。

 もう迷いはなかった。

 隣ではビビも頷いている。

 ぽかんとした顔になった職員は、時間差で我に返って諭してきた。


「……本気っすか。あなた一人で戦うんですよね。まず勝てませんよ」


「だから対策を考えているところだ。どうにか作戦を立てて聖騎士を負かしてやる」


「私もご主人を手伝う。きっと勝てるよ」


 俺達の意見表明を聞いた職員は、大げさに息を吐いた。

 それから天井を仰いでしばらく黙り込むと苦笑いを見せる。


「……まったく、呆れるほど無謀っすね。死霊術師の次は英雄まで倒すんですか」


「俺達が討伐したとギルドで聞いたのか」


「ただの予想っす。その反応だと当たりだったみたいっすね」


「騙したのか」


「そちらが早とちりしただけっすよ」


 職員が嬉しそうに舌を出して笑う。

 いつの間にかいつもの調子に戻っていた。

 ひとしきり笑った職員は、椅子から立ち上がって俺の肩に手を置く。


「まあ、ギルド職員の立場では支援できませんが、友人としてなら手を貸しますよ」


「いいのか?」


「ええ、ちょうど有給も貰ってますし。哀れな聖騎士がぶっ倒されるところも見たいです。決闘に勝った後で難癖を付けられないように、裏で根回しもしておきましょう」


「それはありがたいが、どうしてそこまでしてくれるんだ」


「何言ってるんすか。我々の仲でしょう」


 職員は片目を閉じて答える。

 相変わらず馴れ馴れしくて読めない奴だが、今はとても心強かった。

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