表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/67

第43話 覚悟を決めてみた

 翌日、俺は宿で悩み込んでいた。

 聖騎士が大々的に告知をして、七日後に決闘することになったのである。

 街の冒険者には既に知れ渡っており、もはや無視できない事態となってしまった。


「参ったな。どうしたものか……」


 俺は腕組みをして考える。

 聖騎士はよほどビビを騎士にしたいようだ。

 彼女の力量と可能性に惚れ込んだらしい。

 そして、ビビと奴隷契約を交わす俺を憎悪している。

 目的とは別に叩きのめすつもりに違いなかった。


 俺がこうして宿屋にいるのは、街中で聖騎士と鉢合わせになりたくないからだ。

 現在、あの男は死霊術師を倒した冒険者を探している。

 迂闊に外出すると出会い頭に襲われそうだ。

 さすがにそれはないと思いたいが、不用意な真似は控えるべきだろう。


 同じ部屋にいるビビは俺に提案する。


「一緒に逃げよう。決闘は向こうが勝手に決めたことなんだから」


「しかし、あいつは執念深そうだ。街から逃げたとしても、きっと追いかけてくるぞ。聖騎士の権力を使えば、俺達の行方を辿るのも難しくないはずだ」


 聖騎士は国が誇る英雄の一人だ。

 現役で活躍する者の中では最高峰の実力を有する。

 主に魔物討伐が任務らしく、死霊術師も標的に入っていたのだろう。

 国からの信頼は厚く、下手な貴族よりも政治的な力を持っている。

 したがって約束を放り出して姿を消すのは得策ではない。


「じゃあ決闘で倒す?」


「無理だろ。相手は英雄だぞ。俺では話にならない」


「ご主人なら勝てるよ、きっと」


「買い被りだ」


 俺はビビの言葉を受け流す。

 さすがにそれは過大評価だった。

 我ながらただの冒険者で、将来性の薄い凡人である。

 最近は少しばかり魔術が使えるようになったが、何かが劇的に変わったわけではない。

 根本的には一般的な冒険者のままだった。

 だから英雄を凌駕する戦いを求められても困る。


 だが、ここでどうにかしないとビビの身にも危険が及びかねない。

 情けないことを言っている場合ではなかった。

 俺は不安な面持ちのビビを一瞥し、客観的な事実だけを抜き取りながら思考の海に没する。


(とても勝てる気がしないが、決闘で勝利しないと解決しなければならない。真っ向からの勝負では絶対に負ける。しかし、堂々と勝利しなければ聖騎士も納得しないだろう。難儀な話だな)


 かなり厳しい状況ではあるものの、打つ手がないわけではなかった。

 どんな困難でも活路は切り開けるものだ。

 俺は過去の経験からそれを確信していた。

 聖騎士が完全無欠ならその限りでもなかったかもしれないが、あの男にも弱点は存在する。

 手段を選ばずに対抗することで、決闘で勝利する可能性は生まれる。


「ふむ……」


「どうしたの?」


「聖騎士に勝つ方法を考えていた。買い被りだと言ったが、ここで身を引くわけにはいかないんだ」


 俺が笑ってそう言うと、ビビが正面から抱き付いてきた。

 彼女は俺の胸に顔を埋めて言う。


「ありがとう。迷惑をかけてごめんね」


「気にしないでくれ」


 俺はビビの頭を撫でつつ、彼女と顔を合わせた。

 そして宣言する。


「決闘に向けて準備をするぞ。聖騎士は死霊術師の討伐者を探している。格下である俺との戦いに備える暇はないだろう。その隙を突く」


「いいね。手伝うよ」


「ああ、助かる。全力で勝ちに行こうか」


「うん」


 話がまとまったその時、部屋の扉がノックされた。

 返事をする前に扉が開く。


「どうもっす。また面白いことに巻き込まれてますねぇ」


 現れたのは旅装束のギルド職員だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] まぁ奴隷制度が正式に認められてるならギルドや国に訴えれば非常識に難癖付けてる聖騎士側が注意勧告されるだけな気がするけど…
[良い点] 今話もありがとうございます! >「聖騎士に勝つ方法を考えていた。買い被りだと言ったが、ここで身を引くわけにはいかないんだ」 それでこそ、ビビの御主人! >「どうもっす。また面白いこと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ