表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/67

第19話 大きな関門に挑戦してみた

 ゴブリンを倒したビビは止まらない。

 彼女は大胆な足取りで進みながら、風を使った探知を発動する。

 中級に位置する魔術だが、ビビは属性付与と同様に使いこなしていた。

 見晴らしの良い草原は、風の探知に最適な環境である。


「見つけた」


 そう言ってビビは駆け足で移動する。

 彼女の向かった先には一体のホブゴブリンがいた。

 丸腰だが筋骨隆々で、おそらく俺達よりも力がある。

 全身に魔力を帯びて肉体を強化しているようだ。

 たぶん天然で身体強化を使っているのだろう。


 ホブゴブリンはいきなり殴りかかってきた。

 ビビは風の層を使った防御膜を展開して盾にする。

 破裂音が連続して響くも、ホブゴブリンの拳は半端な位置で止まっていた。

 あと少しのところでビビに届いていない。

 空気の防御膜に負けたのだ。


 ビビは即座に風の刃を連射する。

 至近距離からの魔術が、ホブゴブリンの喉に裂傷を与えた。

 細い傷から鮮血が迸る。

 その圧力でさらに傷が開いた。

 距離が近いのもあり、威力と狙いがしっかりと合わさったようだ。


 ホブゴブリンは慌てて喉を押さえる。

 もはや反撃どころではない。

 そこにビビが追撃の刺突を繰り出した。

 風の属性付与を纏った剣は、ホブゴブリンの顔面を小さな穴を穿つ。

 後ろに脳味噌の破片が飛び散るのが見えた。

 頭部を破壊されたホブゴブリンは仰向けに崩れ落ちる。


 勝利したビビは消耗しておらず、余裕を持って剣を下ろした。

 一連の攻防を見ていた俺は感心する。


(見事な手際だな。問題なく魔術を使いこなしている)


 もう立派な魔術剣士だ。

 自分の長所を伸ばす形で成長している。

 正直、予想以上に上手く噛み合っていた。

 どうすれば風属性を活かせるかずっと考えていたのだろう。

 俺のもとへ駆けてきたビビはさっそく問いかけてくる。


「どうだった?」


「ほぼ完璧だろう。手応えがあったんじゃないか」


「うん。自分に合った戦い方がわかった」


「良いことだ」


 獣人族の身体能力と風属性は相性抜群である。

 ビビの工夫ありきだが、どの間合いでも戦える汎用性が良い。

 しかもここまでの戦いではまだ全力を出していない。

 身内であることを抜きにしても、一般の魔術師を超越しているのは明白だった。


 一通りの褒め言葉でビビの機嫌を取った後、俺は軽く準備運動をする。

 それから二種の指輪をそっと撫でた。


「さて、次は俺の番だな」


「がんばって。応援してるよ」


「無様なことにならないように注意しておこう」


「大丈夫。ご主人はとても器用だから」


 ビビが当然のように言う。

 随分と信頼されてしまっている。

 その気持ちを裏切りたくないものだ。


 今度は俺が先導して迷宮内を進む。

 ビビと違って魔術による探知はできない。

 正確には近距離でないと反応が分からないのだ。

 だから普通に探索していく。


 途中で下り階段を見つけたので別の階層へと移る。

 その先にあったのは神殿型の階層だった。

 遺跡型に似ているが、全体的に綺麗で広い部屋が多い。

 まるで今も誰かが住んでいるかのような状態なのが特徴である。

 生活感に溢れた場所もあり、寝泊まりする分には困らなさそうだった。


 俺は神経を尖らせながら魔物を探す。

 金になりそうな物は残らず回収しておいた。

 できればお宝があれば嬉しいのだが、今のところそれらしき物は見つからない。


 そうして目立った収穫もなく神殿内を徘徊すること暫し。

 俺達は陽光の注ぐ広間に辿り着いた。

 下り階段を守るようにして、一体のトロールが中央部に仁王立ちしている。


 しかもただのトロールではない。

 全身各所に防具を装着し、鉄板のような大剣を持っている。

 切れ味は見るからに悪いが、あの重量が叩き付けられたら即死だろう。

 防具も頑丈そうで、自然と攻撃箇所が限られてしまう。


 トロールはこの階層の主だろう。

 通常の魔物とは強さが別格なのは一目で分かる。

 さすがに魔術の実験相手としては不適切だ。

 そう思って俺は振り返る。

 いつの間にか遠くに立つビビは、俺を応援していた。


「ご主人、がんばって。きっと倒せるよ」


 当初の方針では、弱い魔物に術を試すはずだった。

 俺が勝利する姿を期待するあまり、ビビの記憶からは抜け落ちているらしい。


 トールはまだこちらに気付いていない。

 ここは今すぐに撤退すべきだろう。

 しかし、俺の中の闘争心は、これが無謀な戦いではないことを主張していた。


(そうだ、俺だって魔術を覚えたんだ。立ち回りさえ気を付ければ、決して勝てない敵ではない)


 鼓動が速まったので、魔術書で習った呼吸法で落ち着かせる。

 瞑想でもしたい気分だが、さすがにそこまで無防備にはなれない。


 俺は手持ちの道具を確認する。

 今後の戦い方を考えるなら、魔術以外も駆使すべきだろう。

 ここまで強い魔物を相手にする予定はなかったものの、決して悪いことではない。


 トロールを倒せれば、多くの魔物に通用するのと同義である。

 ビビがあれだけ見事な結果を披露してくれたのだ。

 主人として、彼女の成果を超す何かを見せねばならないだろう。

 そう決心した俺は、トロールの前へと進み出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ