04
桃太郎さんと金太郎さんに合流し、
魂の受け取り場所へ向かいます。
遣いの鳥たちが翼を広げてついて来ますよ。
「キジもタカも気持ち良さそうですね~」
「いえ、上空は熱いので大変みたいですよ」
桃太郎さんが苦笑いで答えます。
「いやあ、それは知らなかった。
あんな伸び伸び飛び回ってるのに……」
「ホスセリさまの前では強がりたいのです」
しみじみと鳥たちを眺めていたら
金太郎さんが以外なことを言いました。
「どうして強がるのです?」
「ホスセリ様に褒められたくて
カッコイイ姿を見せてるんですよ、ぷぷぷ」
「こら金太郎! それは秘密だろう?
どうか御内密に……彼らは気難し屋ですから」
いやいや、恐らく餌を期待してるだけでしょう。
「絶対に喋りません!」
これ以上避けられたら悲しいですからね、
話題を変えようと先ほどの会合を語ります。
「慰安旅行とは……閻魔様も大変ですね」
「天界に鬼かぁ~皆んな驚くぞ、桃太郎!」
二人とも楽しそうに微笑んでますよ、
天界は涼しいので旅行には最適の場所です。
是非とも実現して欲しいですね!
精霊橋を抜けて『救済広場』へ。
此処の中心に蜘蛛の糸が垂れているのです。
何人かの鬼人が書物を持って近付くと
桃太郎さんと金太郎さんが目の前に立ちます。
「受付は我々が致しますから、
どうかホスセリさまは魂の回収を!」
いつも思うのですが彼らは過保護ですよね……
書類を持った内務の鬼は私を襲わないですよ。
それでは、お仕事をしましょうか!
頭に白頭巾を被って魂たちを人型にし、
順番に蜘蛛の糸へ掴まってもらいます。
「皆さ~ん、しっかり握ってくださいね。
此処で落ちたら死んでしまいますよぉ~!」
今まで事故は無いですが、
気を引き締めてもらう為に少し脅しておきましょう。
「あのぅ、白い黒子さん。
私たちは人型にならなければいけませんか?」
分かります、エネルギーを使いますものね。
「蜘蛛の糸は細いので、
魂だと落下する恐れがあるのです。
皆さん大変でしょうが天国まで頑張ってください」
天国という言葉で元気になったのか、
ヤル気が芽生え次々と人型になります。
さっそく糸につけて上がらせていきましょう!
私も最後尾に掴まり、励ましつつ発破をかけますよ。
「これも修行の一環です。雲上まで登って!」
実は自動で引っ張られるのですが、それは内緒です。
キジとタカに乗った桃太郎さんたちも応援に加わります。
「もう少しですよ、しっかり!」
「この先へ行けば楽になれるぞ!」
二人の励ましが嬉しいようで、元気にはしゃぐ魂たち。
「きゃあ~桃太郎と金太郎だわ!」
「架空の人物だと思ってたけど
実際カッコイイな~ところで黒子は誰なんだ?」
やや、私に触れないで下さい!
「浦島太郎では?」
「なんで黒子なんだよ! 浦島太郎は変態か?!」
やめて! 浦島太郎は可愛い弟なんですよ。
「たとえ怪しくても、その方は変態ではないぞ!」
金太郎さん、不審人物だと思っていたんですね……
いえいえ、仕事中に私情を挟んではいけません!
「皆さん、光りが見えますか?
雲に乗ったら魂に戻って構いませんよ」
白い変態は不人気でしたが、この台詞で人気者に。
「見守ってくれて感謝します。黒子さん」
「白い黒子さん、済まなかった。
今まで励ましてくれて本当にありがとう!」
この瞬間がとても好きです。
これから気絶した魂を籠に入れるとしても
やはり一緒に達成するのは気分が良いですよ!
まあ本当は、鳥や觔斗雲に乗りたいですがね。