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皆さんこんにちは、ホスセリです。
いよいよ最終章となります。
ええと、怖いのは苦手ですが頑張りますね!
黄泉の国いわゆる地獄は、
悪行を為した魂が激しい責め苦を受ける場所で
イザナミ様が創生した奈落の世界です。
先ずは悪行の審査基準ですが――
仏教の五つの戒律が基礎になっております。
一.『不殺生戒』= 生き物を殺さない
二.『不盲語戒』= 嘘をつかない
三.『不偸盗戒』= 盗みをしない
四.『不邪淫戒』= 享楽に溺れない
五.『不飲酒戒』= 酒を飲まない
どれか一つを破ってもいけません。
現在は大分考慮されていますので
審査では正直に話すことをお勧めします。
次は審査員の裁きに入りますが、
なんと50日も掛かるのです。
〈死後七日〉 秦広王の前で書類審査
(14日目〉 初江王は三途の川の番人
〈21日目) 宋帝王の猫と蛇を使う邪淫裁き
〈28日目〉 五官王では秤の審査
〈35日目〉 閻魔王は総括部門、此処で人間界や天上界へと送られます
〈42日目〉 変成王がどの地獄に行くかを選定
〈49日目〉 泰山王は六つの鳥居で審査
これで50日ですけど、
決まらない場合は更にジャッジが続くシステムです。
地獄行きが決定すると罪の重さにより
八つの責め苦が待っています。
黄泉の国は階層構造になっていますから
上から下へと順番に紹介していきますね。
一.「等活地獄」 骨になるまで戦います
二.「黒縄地獄」 熱鉄の縄で縛られ鬼に斬られる場所です
三.「衆合地獄」 鉄山が崩壊して押し潰されます。
四.「叫喚地獄」 獄卒に追い回され大鍋の中で煮られます
五.「大叫喚地獄」 鉄製の針で口や舌を何度も刺されます
六.「焦熱地獄」 熱鉄で叩かれ鉄鍋で何度も炙られます
七.「大焦熱地獄」 炎の刀で斬られ沸騰した熱鉄を浴びます
八.「阿鼻地獄」 落ち続けて2000年、
動物から嚙み殺されたり鉄の瓦が豪雨のように降り注ぎます
はあはあ、以上が八つの責め苦です。
文字だけでも怖い場所だと分かるでしょう?
どの世界も恐ろしい……クラクラしてきました。
ふぅ少し休みましょうか、
実は此処イザナミ御殿で書物を纏めているのです。
「おほほ、もう降参ですか?」
「はい、今夜は悪夢だと思います」
イザナミ様は可笑しそうに手土産を広げて
「これはアイスクリームですね?」
「ええ、カロリーオフで美味しいですよ」
失礼ながら机に突っ伏したまま答えます。
「わたくしはイチゴ味で……貴方はどうします?」
「私はチョコ味を頂きます」
「ナッツ入りのも有りますよ?」
「いえ、チョコのみでお願いします」
「あら? つまらないのね」
どうしてチョコだとつまらないのでしょう?
イザナミ様はヒョイと書物を取り
「まあ、随分と大雑把に纏めましたねぇ。
もっと詳しく書かねばいけませんよ、それに
八大地獄ばかりで八寒地獄が無いのは変ですわ」
うぐっ! 痛い所を突かれました。
八大地獄だけでも怖いのに、
これ以上書きたくありませんよ。
「ええと、八寒地獄は名称がちょっと……」
「むっ! 寒い中、頑張って付けたのですよ」
マズい、言葉のチョイスを間違えました。
「ほらほら、全部お書きなさい!」
もう、アイスを食べ始めたところなのに~
優秀なイザナミ様は常に完璧を目指すのです。
せっつかれては仕方ありませんね、
まだダメージは深いのですが書き記します。