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7話目

「エキドナちゃん。お願いがあるんだけど、良い?」


 班員にバレないように、

 俺はエキドナちゃんに話しかける。

 エキドナちゃんはピクッと反応した。


「この先を進んで、倒せそうな魔物が居たら倒してて欲しいんだ。こいつらにバレないように」


 そう、俺の考えていた手とはこれだ。

 召喚獣と俺は経験値を共有出来る。

 つまり、エキドナちゃんにこっそりと魔物を倒して貰えば、勝手にレベルが上がるって寸法です。


 これは人数が多い時は使えない手で、今だからこそ出来る事だった。

 人数が多い時は俺は戦わせて貰えない。

 仮にエキドナちゃんの事をバラして説明しても、多分阻止されるだろう。

 良いから良いから、と。


 でも今ならこっそり行ける。


 無論……離れるという事は、

 エキドナちゃんに守護神としての活躍は期待出来なくなる。

 けど、そこはゴリ保険があるから。


 それに、あるいはイザと言う場合、

 二段も助けてくれる側になってくれるかも知れない。

 そんな雰囲気がしないでも無いよ。


「俺の言ってる事、分かった?」


 そう訊くと、エキドナちゃんは小さく「ギッ」と鳴き、するすると服の中を通って俺の足元から外に出た。

 ちらりと班員の様子を伺うと、

 エキドナちゃんに気づいたヤツは居ない見たいだ。


 よしよし。


 これで必要な事はした。

 あとは……適当に危なくないように迷宮内をうろつけば良い。


「よし、先頭は俺が行こう。年長者だからな」


 鼻息をフンと出して、ゴリが先頭に立つ。


 あれ……ちょっとアテが外れたな。

 出来れば他のヤツに先頭歩いて貰って、

 ゴリには傍で俺の護衛してて欲しかったんだけど……。


 なんて俺が思っていると、

 ケダモノと魚人の二人がこっちを見てニヤッとした。


 くそっ、むかつく顔しやがって。


 しかし……こうなっては仕方が無い。

 取り合えずゴリの事は諦めて、

 二段に傍に居て貰えないか聞いて見よう。


「……二段。あのさ、ちょっと良い?」

「何だ?」

「ほら、俺って今はもう女じゃん? だからさ、あんまり戦力にならないと思うんだよね。で、それってつまり、危ない時に自分の身を守れるかも正直……怪しいって事なワケで」

「ああ、だからゴリを入れたんだっけか」


 俺が皆の前で言ったこと、覚えてたのか。


「でも、ゴリは先頭行くって張り切っちゃったし。他の三人は頼りにならなさそうだし、二段に傍に居て欲しいなって……駄目、か?」


 はっはっはっ、必殺涙目だ。

 どうだ。


「うっ……まあ、確かに不安だよな。その体じゃ」

「じゃあ」

「分かった。ただ、自分で出来る事は自分でやれよ」


 効果はばつぐんだ!


 やったぜ。


 しかし、やはり二段は女性に免疫無いようだね。

 でも……今の所はそれを危険な方向に拗らせてる様には見えなくて、信頼しても良い気はする。

 二段にはゴリに引き続いた二人目の安全牌になってくれる事を願いたい。


「……ふっ」


 俺は勝ち誇りと安堵を混ぜた表情をケダモノ達に向ける。

 すると、何か舌打ちが聞こえてきた。

 もちろん無視だ無視。



■□■□



 ――――――――――

 氏名:小桜 勇気 

 性別:女 レベル:0.1 

 次のレベルまで:58/60


 動体視力0.91

 基礎筋力0.45

 身体操作0.72

 持続体力0.66

 魔力操作0.93

 魔力許容0.78

 成長水準3.65


 固有スキル 召喚士2.00

 ――――――――――


 

 ちょくちょく自分のステータスを確認して見ると、その度に経験値が溜まり、あと一歩でレベルが上がる程になっていた。

 現在の獲得経験値が58。

 スライム一匹で2の経験値だから、

 エキドナちゃんが都合29匹倒しててくれた計算だ。

 まだ一時間程度しか経ってない事を考慮するに、

 かなりハイペースに思える。


 ちょっと色々と不安や心配の気持ちが湧き上がってくる。

 エキドナちゃん、大きな怪我とかしてないと良いんだけれど……。


 いや……倒せそうな魔物が居たらってちゃんと言ってあるし、大丈夫だよね。

 信頼しよう。



 そう言えば、エキドナちゃんのレベルがもしかして上がってるかも知れない。

 確か次のレベルまでの経験値が俺より低かった。

 確かめて見よう。


 ――――――――――

 名前:エキドナ 

 性別:メス レベル:0.2

 次のレベルまで:8/100


 動体視力0.55

 基礎筋力0.40

 身体操作1.00

 持続体力0.60

 魔力操作0.77

 魔力許容0.90

 成長水準0.65


 スキル 暗視0.52 毒牙0.66


 経験値配分 均等

 ――――――――――


 レベルが上がってステータスも若干強くなってるね。

 はじめて1になった数値も出てきているようだ。


 まあ、クラスメイト達と比べれば以前として低いのは明白だけど……でも一歩前進だ。

 すぐには強くなれなくても、今は腐らず出来る事をやらなきゃ。

 その積み重ねが、きっと後で響いてくるに違い無い。

 千里の道も一歩からってヤツですよ。

 うんうん。


「……まったく魔物が出てこないな。どうなってるんだ?」


 先頭に居るゴリが悩ましげに唸っている。

 どうやら、全くといって良いほど魔物の姿が見えないらしい。

 確かに今まで一匹も遭遇していないね。


 まあ、原因は分かるけど。

 エキドナちゃんが頑張った成果だよ。



 ……魔物と全く出くわさないのも、問題かも知れない。

 それは班員のレベルが上がらない事を意味するのだから。


 後でエキドナちゃん言っておこう。

 倒せそうな魔物でも、

 多少は見逃しておくように。と。


 ケダモノと魚人あたりにはずっと低レベルでいて貰いたいけど、

 ゴリと二段の二人には、多少強くなって貰いたいしね。


そういえば主人公、自分ではあんまり何もしてない。

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