表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/58

2層 20話目

文字数少なめですが、なんとか更新でござるっ……。

■□■□


 奥へ奥へと洞窟を進む。

 ひんやりとした空気。

 肌寒さがどんどん増していって。


「ぷぎゃる」


 うん?

 足元から変な声がする。


「な、なんかあるの……?」


 私は足元に視線を落とす。

 そこには芋虫のような姿の魔物がいて――


「――んぎゃああああああああ!!」


 思わず叫んでしまった。


「こ、こえおっきいの!」

「ぎぅぅぅ」


 楯子ちゃんに口を塞がれて「めー」と言われてハッとした。

 どうにか冷静さを取り戻す。


「ご、ごめんね」

「……いきなりまものさんでたから、びっくりしちゃったの?」

「まぁね……」

「このまものさん、よわよわだからだいじょぶだよ」

「ぎぅ」


 そう言うと、二人はすぐに芋虫の魔物を処理してくれた。

 随分と手馴れたものである。

 ずっと迷宮に放って頑張っていて貰ってたワケだし、そりゃあ慣れるか。

 私が見ていない間にこんなにたくましくなって……。


 なんというか、

 私も二人みたいに慣れればいいんだろうけど、

 何せ基本が後方だから、

 いきなり何か来るとビクってなってしまうことがあるんだよね。

 地味に迷宮が久しぶりっていうのも原因の一つだけど。


 まぁともあれ。

 気を取り直していこー。



■□■□



 芋虫の魔物を倒しつつしばらく進むと、

 僅かな振動とともに何やら音が聞こえてきた。

 戦いの音だ。


 もしかしたら……という予想はしていたけど、

 一方でまさかという思いもある。


 徐々に近づいていって、

 広間のようなところが見えてきた。

 音はそこからしている。


「二人とも静かにね?」

「ぎーう」

「わたしたちより、じぶんのほうがさわがしいんじゃ……」

「なんか言った?」

「なにもゆってないよー」


 よし。

 二人に静かにするように言い含めつつ、

 そーっと広間の様子を伺う。

 そこには驚きの光景があった。


「くっ……」

「……だいぶ痛めつけたハズなんだけどな。しぶとい魔物だよ」

「それはこっちの台詞よ。どうなってんのよアンタ。疲れがまるで見えないんだけど。……怪我でスキル封じの燐粉が出せないのが痛いわね」

「スキル封じ……? あぁなるほど、そういう絡め手を持っていたわけか。でも今は使えない、と。どうやら僕に運が向いているようだね」

「……ムカつく。ってか、刀一本へし折ってやったのに、また新しく出すなんて卑怯ではなくて?」

「僕から見ればそっちこそ卑怯だよ。人間に不可能な動きばっかしてさ」


 は?

 なんで茶メンがいんの?

 しかも、私が潰したハズのあの魔物と戦ってる。

 いやまぁ確かに、あの魔物には近づきたくない感じがあったから、生死の確認はせず、死んだものとしてすぐに離れはしたけど……でも、まさか茶メンと激闘を繰り広げる事態になるとか、そんなの考えもしなかったんだけど。


 どういう状況よこれ。

 見なかったことにした方が良いのかな?

 いやでも、苦手なタイプではあるけど、茶メンもクラスメイトではあるしね……。

 さすがにガチで死んでも良い、とまでは思わない。

 だから、助けに入った方が良いのかも知れないけど、


「……まぁ何にしても、そろそろカタをつけさせて貰うよ。決着は早めにつけないとね」

「威勢が良いことね。出来るものならやってみなさいよ」


 でもさ、正直これ割って入る必要なさそうな気もするんだよね。

 振ってる刀が目で追えないんだけど。

 消えるぐらい速いんですけど。


 まさか茶メンがこんなに強かったとは、思いもしなかった。

 そんなレベル上げした風にも見えないから、

 素の強さがこれっぽいし。

 武器有りなら二段に匹敵するんじゃないかな……。


 というか、スキル名かな今の【帝刀】って。

 日本刀出せるスキル?

 ちょっとカッコいいね。

 うーん。私もそういうスキルの方が良かっ――いや、エキドナと楯子ちゃんと会えたのは、私が召喚士のスキル持ちだからだ。

 それを否定してしまったら、二人のことも否定することになる。

 他人の芝生は青く見えるもの。

 私は私でこのスキルで良かったし、それを肯定的に捉えよう。


 とにもかくにも。

 ひとまずもう少し様子伺いますか。

 助力するにしてもしないにしても、

 もう少し状況とか流れを見極めないとね……。


 一応すぐに【精霊行使】を使えるように錫杖を握りなおしつつ、

 私は物陰からこの激闘をじっと眺めることにした。



■□■□

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 茶メンやるやん(OvO)
[一言] 書籍化おめでとうございます。そっちの作品もブックマークをして読んでいるので是非買いたいです。この作品も投稿されたら必ず確認するほど好きなので、頑張ってください。✍️
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ