17話目
色々と騒動はあったものの、
今現在だいぶクラスメイト達にも落ち着きが出てきた。
そして人間落ち着けば大切な話の一つもしようと言う気になるもので、
探索班が各々、自らの収穫について述べる事となった。
話し合いの風景については割愛しよう。
話を纏めると、他の探索班が見つけて来たのは以下の情報だ。
①宝箱の存在。
②階段の存在。
③出てくる魔物の種類。
まずは①の宝箱について話そう。
これは、モジャ男からの謝礼の時もその存在を聞いているので、
あるんだろうなってのは分かってた。
ちなみにこの宝箱、見つける事が出来たのは、茶メンの班とモジャ男の居た班の二班のみだ。
数も一つずつである。
宝箱の場所は、
モジャ男の班が、人一人がどうにか入れそうな穴道の先の小部屋で、
茶メンの班は、行き止まりだった所の壁に土を被せた扉があったらしく、
その中の祭壇の上にあった宝箱をそれぞれ開けたとの事だ。
後者の茶メンの短剣の出所が、ちょっと怖いなと思った。
だって、祭壇って何だよ。
祭壇って。
しかも隠し扉って。
怪しさが満点過ぎるでしょ。
……そう言えば。
俺が茶メンから感じた邪まな気配、それと出所が関係したりしてないよね?
変な事考えてそうなヤツからは受け取りたくない、
って言うのが一番の理由だったけど、
それ以外にも、自分では気づけないだけで、
何かを感じ取っていたんだとしたら……。
「祭壇だから、多分神聖なものだと思うけど」
茶メンにちょっと注意してみたら、そんな返答が返ってきた。
実際の祭壇を見て無いから分からないけれど、
確かに、神聖な祭壇だった可能性もあるだろう。
でも、場所が怪しすぎる。
隠し扉の向こうの祭壇を神聖とは……少し前向き過ぎないだろうかね。
いや、放って置こう。
さて、お次は②の階段の存在についてだ。
これは宝箱を見つけられなかった班が発見したものだった。
横道脇道に逸れまくった結果、見つけたらしい。
それにしても、次の階か。
ここが異世界ダンジョンだとすれば、
最終階まで辿り着ければ、クリアって事になるんだろうか?
クリアすると何が起きるのか、それは分からないけど……。
まあとにかく、次の階がある、と言うのはかなり有益な情報だと思う。
ボスが居る可能性を考えて、下の階には怖くて結局降りられなかった上に、
余りに周り道をしすぎた所為で、どこにあったのか忘れてしまったと言う言葉が無ければ、だが。
「マッピングくらいしなかったの?」
「どこにマッピングする道具があるんだよ。うちの班にそんなスキル持ちもいねぇし、紙も無いんだからしょうがねぇだろ」
開き直りとはこの事か。
責めるのはやりすぎではあるので、責めはしないけど。
本人達も事の他に落ち込んでいるようで、
責められたく無いって思いが言動に滲み出ている。
変に藪を突っつく真似はしないようにしよう。
事前情報を得られたってだけで、実際は十分だと思うし。
何にしろ、無理をされて死なれでもした方がキツい。
寝覚めが悪い所じゃなくなってしまう。
モジャ男事件でも結構みんなも慌てていたし、
何のかんの言って、
命は大事にしなきゃって事は俺も含めて全員が理解している。
多分。
さて、最後は魔物の種類に関してだ。
これはもう、スライム、と言う一言に尽きた。
どこの班もスライム以外とは戦って無かったそうだから。
ただし、スライムにも特徴や種類があって、
何もない普通のも居れば、俺らが相対したような炎を吐くのも居るし、氷や風を射出するスライムも居るらしい。
多種多様な存在であるようで、スライムだからって馬鹿には出来ないだろう。
そう言えば、セクハラしてくるスライムも居たしなあ。
……いや、あれは悲しい事故だったのだ。
忘れる事にしよう。
と、まあ、こんな感じでクラス会議は終わった。
■□■□
会議が終わった所で、待機班と探索班の入れ替わりを行った。
俺らA班も今は待機になり、小休憩中だ。
周りを見ると、探索していた時の疲れもあるのか、寝そべってるヤツも居るし、
未だに元気に喋くりまわしてるのも居る。
ちなみに、俺はと言うと。
エキドナちゃんを解き放ち、レベル上げしてた。
こういう空き時間にも、小まめに魔物倒して置こうと思ったのだ。
ついでに魔石の回収の為に、エキドナちゃんの体にポーチを取り付けたし、
宝箱がありそうな部屋があったら後で教えて、とも言ってある。
万全だ。
時折自分のステータスを見ると、徐々に経験値が溜まっている。
順調で何よりです。
そんな俺の今のステータスは下記の通りだ。
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氏名:小桜 勇気
性別:女 レベル:0.2
次のレベルまで:66/120
動体視力1.01
基礎筋力0.75
身体操作0.87
持続体力0.86
魔力操作2.18
魔力許容1.98
成長水準3.65
固有スキル 召喚士2.45
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次のレベルまでにはもうちょっと掛かりそうだけど、
今の所、堅実に進んでいる。
でも、うーん。
俺はスキルが召喚士だから、
こういうやり方が最良なんじゃないかって考えたけど、
いざと言う時に自分でも戦う術が無いと、
大変な事になるような気がする。
ケダモノとのイザコザの時、
スライムにセクハラされた時、
これらは、どちらもまだ笑い話で済むから今はまだ良いけど、
これから先を考えるとね。
……うーん。
何か、考えておこうかな。