使い魔契約
その後、僕は王城にある一室に案内され、部屋のベッドですぐに寝転がると、ゆっくり瞼を閉じ意識を手放し、僕は眠った。
次の朝、僕は王様とフィアとジンさんと一緒に朝食を取った。
リンク王子は昨日の夜から今日の朝まで仕事をやっていたそうで、今は寝ているらしい。
僕が朝食を食べ終えると、先に食べ終わっていたジンさんが
「アルト、今から使い魔契約をするため、訓練所にいくぞ」
「わかりました、でもなんでこんな朝早くからなんですか?」
「それは、今の時間帯なら訓練所は誰も使っていないからだ。やれる時にやった方がいいだろう?」
「そういう事なんですね。では行きましょうか」
「私は部屋で少しゆっくりしてくきますわ」
「我は仕事をしてくるわい」
王様とフィアと別れて、ジンさんと訓練所に向かった。
訓練所につくと僕は王城の訓練所の広さに驚いた。ホムラの訓練所の約3倍はあると思う。その訓練所の中央に何かの陣が書いてあった。
「どうだ、広いだろう?この広さなら神獣クラスを呼んでも、大丈夫そうだな」
「僕が神獣クラスと使い魔の契約を結べると思いますか?」
「出来ると思うぞ。だから、そんなに肩に力をいれすぎないようにするんだな」
神獣とは神属性を持っている魔獣の事を言うらしい。ジンさんも会ったことはないらしいが、物凄くデカい神獣、犬ぐらいの大きさの神獣などいると城の古い書物に書いてあったらしい。
「では、まず、召喚陣に魔力を込め、呪文を唱えろ。召喚陣は昨晩既に俺が書いたからすぐに出来るな」
書いてあった陣はジンさんが書いた召喚陣だった。ジンに教えて貰った呪文を唱えながら魔力を込めると…
「我の中に存在する属性よ、我が召喚とする物をこの場に召喚せよ!」
召喚陣が水色と黄色に輝きだし、何か2体の大きな神獣が出てきた。
「えっ、何で2体も出るんだ?」
「どうするんですかジンさん」
僕はジンさんに2体も神獣が出たので聞くが、ジンさんも2体出てきた事に驚いて、僕の声が聞こえてないようだ。
輝きが消えると、召喚陣の上に大きな銀の毛並みの狼と金色の毛並みで尻尾が9本ある狐がでてきた。
『我達を呼んだのは貴様か?』
と狼が問うと正気に戻ったジンさんが答えた。
「いや、隣りにいる子供がやった」
『こんな子供が?』
と狐が言う
『だが、我らを呼ぶことができるのは、神氷と神雷を持つものしか召喚できん、その子供が持っているのか?だが、人が神属性を持っているはずがあるまい』
「はい、アルトは全ての神属性を持っています」
『なんと!だが、我と契約したければ、汝、アルトに力を示してもらうか』
えっ、力?まだ魔法一つも使えないんだけど。絶対戦ったら死んじゃうんですけど。
『よせ、フェンリルよ。まずは自己紹介としようではないか』
と狐が言う。狼の神獣はフェンリルというらしい。
『む、それもそうか、我はフェンリル、神氷の力を持っている』
『私はキュウビ、神雷を持っているよ』
狐の神獣はキュウビというらしい。
『自己紹介も済んだし、アルトよ汝のち『フェンリル、すでに契約に値する力をアルトは持っているではないか。それに、契約するのは私達ではなく、あの子逹でしょ?』
『なんじゃと?娘と契約するに値するか我が確かめんと』
『幼い子供に私達と戦わせる気?』
『だが…』
『何か?』
『いえ、何もない』
どうやら、僕は戦わずに済むようだか、契約はこの神獣達ではないらしい。
「アルトと契約するのはあの子逹と言ったのはどう言うことだ?」
とジンさんが質問すると、キュウビが答えた
『私達はすでにこの世界の神と契約を結んでいます。なので、契約は私の娘とフェンリルの娘と契約をしてもらいます』
「そういうことか、でも、アルトは何も力を見せてないがいいのか?」
おい!ジンさん余計なことを言ってるんじゃねー
『そうじ『フェンリル?』……なんもないぞ』
どうやら、フェンリルはキュウビに弱いらしい
『力を既に見せて貰っています』
すでに?僕なんか力をみせたかな?
『はい、アルトは私達二人を召喚した、それだけで充分です』
声に出ていたようだ。それにしても、召喚出来たから良いのか?
「なるほど」
ジンさんは何かわかったようだ。
「ジンさん、どういうことですか?」
「お前は神獣を召喚することができた、それも2体、それだけでもすごいていうわけだ」
「そうなんですね」
『では、契約をする為に私達の住んでいる場所に行きましょうか』
『キュウビが言うなら、仕方ない、行くぞ小僧』
「ジンさんは行かないんですか?」
『すみませんが神属性を持つものしか行けない様になっている場所なので、そちらの人は行けないですね』
ジンさんは行けないらしい。
「わかりました、ジンさん少し行ってきます」
「あぁ、契約したら戻って来いよ」
「わかりました、行ってきます」
『すみませんが契約が終わってもすぐに返すことは出来ません』
えっ?
「なんでだ?」
『アルトには魔法を教えないといけません』
『娘達はまだ、人の年齢で言うと、5歳なんだ』
「5歳?」
『はい、5歳です。まだ魔法を教えていませんので、娘達と一緒にアルトに教えようと、思うので、何年かは帰れません』
「そうですか、では帰ってくるのは、7年後にしてくれないか?それと勉強も一緒に教えてやってくれ」
『7年ですか?勉強は別に教えられると思いますがなぜ?』
「それは、だな……」
『いえ、実際にアルトの過去を見た方が早そうですね』
キュウビはそういうと、目が黄色から赤に変わり、僕を見た。僕の過去を見れるらしい。
『ふむふむ、わかりました。アルトは7年経つまで私達が預かりますね。それに、アルトも、娘と同じ5歳の様なので私の娘と仲良くしてもらえそうですね』
「よろしく頼む」
僕は7年経つまでキュウビ達に育てられるようだ。
「ジンさん」
「アルト、お前は盗賊に襲われ死んだ事になっている。リンク王子が昨日、ホムラ家に変に思われないように、急いでやってくれた。それに、7年だ、7年たったら俺を倒すぐらいに成長せろよ、王女様達には俺から言っといてやるよ」
一緒にいたのは2日間だったけどジンさんはとても優しい人でだと思った。
「ジンさん、ありがとうございました。僕は強くなって帰ってきます。では、行ってきます」
僕は流れそうな涙をこらえて、そう言うと振り返り、キュウビとフェンリルの方を向く
『では我の背に乗れ』
僕がフェンリルの背中に乗ると
フェンリルとキュウビの足元が輝きだした。
『それではいきますね。』
輝きは更に増して僕達を包むみ、しばらく経って輝きが消えると森の中だった。
『ここは、私とフェンリルが住んでいる森よ、ではさっそく娘達に会いにいくよ』
僕がフェンリルの背中に乗ったまま、キュウビとフェンリルは森深くと進んで行った。
ーーーーーーー
輝きが終わると、そこにはアルトと神獣2体はいなかった。
「行った、か」
そのあと、俺は王様の部屋へと行き、この話をした。王女様と王子にも同じ話しをすると、王様と王子は話を分かってくれたが王女様は泣いて部屋に篭った。はぁ、アルトよ、お前そうとう、王女様に気に入られてるな。まっ、婚約者にしたいと言うくらいだから仕方ないか。まあ、なったけど。その後何とか王女様に納得してもらった。
俺は王女様に納得して貰ったあと、部屋に行きベッドに倒れ瞼を閉じた。
アルトよ、7年後が楽しみだと思い、俺は意識を消した。