神属性
『久しぶりだなジンよ』
(「えっ、竜が喋った!」)
アルトは黒い竜が喋ったことに驚く。アルトの近くにいたメイドが
「ジン様の使い魔の竜だけでなく、高位の魔獣達は頭に直接話すことができるそうです」
メイドの言葉に納得をしたが、ジンの使い魔の竜の見た目は小さい、それも、肩に乗れる大きさの竜だ、だからどう見ても強そうには見えない、アルトはジンの使い魔の竜を見ながら、不思議に思った。
不思議に思っているアルトを置いてジンと竜は話を始める。
「おう、久しぶりだな相棒。いきなりで悪いのだが、アル…そこにいる子供の属性を見てくれ」
『ふむ、わざわざ我の目を使わなければいけないことなのか?別に水晶を使えばよかろう』
「それなんだが、何も変わらなかったらしい。それで無属性認定され親から捨てられたとさ」
『む、無属性だと?お前を疑う訳ではないが本当か?いや、しかし…』
「俺も最初は驚いたさ、でも、無属性はありえないはずだろ?だから俺は水晶ごときでは調べるこどができなかったと思う」
『ジンよ、まさかその子が神属性を持っていると言うのか』
「あぁ」
『ふっ、承知した。それでは…我が竜の目よ、今我が望まんとする物を我に見せたまえ』
竜がそう言うと竜の瞳が黒く輝きだしアルトを見る。
「あれは一体…」
「えっ、ジンあなたの使い魔の竜は一体何をしているの?」
いつの間にかフィアはアルトの隣りに来ていた。
「王女様、相棒、ディーがやっているのは、竜の心眼と呼ばれる高位の竜が使えるものです」
「竜の心眼?」
「はい、竜の心眼は見た生物の心を見ることができます」
「でも、アルトの心を見ても属性はわからないんじゃないの?」
「いえ、心を見る時ディーの話では相手の魔力の色も同時に見る事ができるらしいです」
『ジ、ジンよ、この子は…神属性を持っておる』
ディーの言葉にアルトは驚く。自分は無属性だと思っていたからだ。
「えっ、僕が神属性を…」
これ以上言葉が出ない、目から涙が溢れ出て、泣き出す。
アルトは自分が無属性と言われ、家から捨てられ、殺されそうになっても、涙を流さなかったが自分も属性を持っていると知って、泣かずにはいられなかった。
「よかったわね、アルト」
「まじかよ…もしかしたらと思ったがまさか本当に神属性とはな。ま、アルトよかったな」
「む、ジンよお主まさかアルトが…まぁ、神属性と分かったからよいか、アルトよ、よかったのう」
とフィア、ジン、王はアルトに言葉をかける。
その後も王の間でアルトはしばらく泣いた。