王の間
城の中に入ると、たくさんのメイドと執事の人がバタバタと足音を立てながら焦った様子で、あっちに行ったりこっちに行ったりしている。
城の扉が開き、僕達がいるのを見た瞬間にメイドと執事の人達は一斉にこっち来る。
「第二王女様、いったいどちらにおられたのですか」
「王女様、王様が王女様を見かけると急いで王の間に来るようにと申されました」
「リーフィア様早く王の間へとお急ぎ下さい」
「ジン公爵様もご一緒に」
「あら?貴方は一体どなたですの?」
とメイドと執事に言われるフィアとその前に立つジンを見て、やっぱり大変なことになってると思ったアルトは次にフィアが言った言葉により、メイドと執事、使用人達の目がこちらに向きを変えることになり驚く。
「あっ、えーと…詳しく話はお父様にするわ。あと、私の隣にいる子はアルト、私の専属騎士にする予定よ」
と胸を貼って宣言する。
(「えっ、専属騎士になる件に付いてまだOKしてないんだけど…しかも、使用人の人達が一斉にこっち向いてるんだけど、これ何、怖い…」)
あまりの使用人達の目線の怖さにヒザがガクガクと震え、その場で動けない状態になるアルト
そんなアルトを見てジンは
「あー、急いで王の間に行かなければならないんだろ?コイツの事も含め話すから、ここを通してくれ」
と言うと、使用人達はすぐに左右二手に別れ道を作り、直立するが、目だけはアルトをまだ見ており、アルトは緊張しながら王の間へと向かっていった。
王の間〜
「フィアはまだ見つからないのか!!」
と王が叫ぶと周りの使用人達はビグっとするが、王の近くにいる王子が
「父上、ジン公爵が護衛としていらっしゃるはずなのでそんなに心配を…「だが、いつもより帰って来る時間が遅くはないか!」
と誰が何を言っても王は娘のフィアを心配する余り落ち着いて待ってられないようだ。
そんな王の間に娘フィアとジン、アルトが入ってきた
フィアの顔を見た瞬間に王はフィアの方へと走っていく
「フィーアー、我の可愛い可愛いフィーアー」
そんな王、父の顔を見たフィアはとっさに避けると、王は勢い余って扉にぶつかる
「……お父様…大丈夫ですか?」
と少し言いにくそうにフィアは父に言う
すると、すぐに起き上がりフィアの両肩を掴み抱きつく。
「どこに行っておったのだ、我はフィアが居なくて心配したぞ」
「すいませんでした、お父様」
「フィアが無事ならそれでよい」
とフィアに凄く過保護な国王だとアルトは思った。
「それにしてもジンよ」
「何でしょうか王様」
「そなたがいながらどうしてこんなに遅かったのだ」
「はっ、その事を説明するためには、まず最初に、こちらにいる少年…子供に着いて紹介しても宜しいですか」
「うむ、かまわん」
と言うと王は玉座の方へ行き座った。フィアは王の隣りにいる王子の横に行った。
「ではジンよその子は一体何なんだ」
「はい、王様、この子はアルトという名の者で、歳はリーフィア王女様より一つ下の5歳です」
「ふむ、ではそのアルトをつれて王城に我の元へ越させたのは何故だ?」
「アルトは家から捨てられ、その家の兵二人から深い森の中で殺されそうになった所を保護した後に、王女様が専属の騎士にするとおっしゃたのでこちらに連れてきました」
「なんと、捨てられただと、しかもフィアの専属の騎士にだと、ふむ、専属の騎士の事は後にして、アルトを捨てた家はなんだ?見たところアルトの服は貴族それも、高い爵位にいる者が着る服のようだが」
「アルトは7属公爵、ホムラ家当主アグレイス・ホムラの息子でございます」
「ホムラか…たしか女の子が二人と双子の男の子がおると聞いだがでも、何故アルトを捨てたのだ?」
「それは、属性の儀でアルトは無属性と判断されたのが原因かと」
「ふむ、無属性だと?この世界では誰しも、魔物でさえも属性を持っておるはずじゃが…無属性とは聞いたことはないのう」
「王様、私はアルトは無属性ではなく、神属性を持っていると思います」
「神属性じゃと?だが、神属性は神獣しかいないはずと聞いておったのだが」
「はい、私もそのように思ったのですが、水晶では神属性を判断できずにアルトは無属性と判断されたと思います」
「ジンが言うなら信じられると言いたい所だが何か確かめる方法は無いか?」
「私の使い魔の力で知ることができると思います」
「おぉそうか、では、さっそく確かめてくれないか?神属性か無属性でこの先アルトについては話が変わるからのう」
「お父様!」
「いや、もし無属性でも無下には扱わぬよ」
「では、王様使い魔を召喚致します。」
ジンは部屋の中央に立ち何か呪文を唱え始めるとジンの目の前に大きな黒い魔法陣が出きて、黒い魔法陣の中から小型の黒い竜が現れた。