プロローグ
僕、アルト・ホムラは家から捨てられた。
僕が生まれた家、ホムラはこの国アヴェルディアで7属公家と呼ばれる特別な公爵家で、それぞれ7属性の名にちなんで家名が付けられてある。ホムラ家は炎属性、アクア家は水属性、ウィンディ家は風属性、アース家は土属性、フロスト家は氷属性、ボルト家は雷属性、シャイニング家は光属性、ダークネス家は闇属性となっており、7属公家は各家名にちなんだ属性に適正を持っている。
それに、家名の属性で使う魔法の威力も他より高い。
ホムラ家に生まれた僕は炎属性に適正を持っていなければならない。
僕は炎属性に適正を持っていないから捨てられた。
いや、違う7属性全てを持っていないから捨てられた。
アヴェルディアでは、5歳になると国の教会に行き、属性の儀を受けなければならない。教会に置いてある、透明な水晶に手をかざし魔力をこめる。すると、水晶が魔力により透明な色から各属性の色へと変化する。炎属性なら赤、水属性なら青、風属性なら緑、土属性なら茶色、氷属性なら水色、雷は黄、光属性なら白、闇属性なら黒になる。たまに複数の適正属性持ちが現れる。
複数適正持ちは、手をかざし魔力をこめる間、水晶が交互に色が変化する。
僕は属性の儀を双子の弟ガゼル・ホムラと国の子と一緒にやった。
教会では、属性の儀をやる子供達と親でいっぱいだった。
もちろん僕達も父親とやってきた。
そして、属性の儀が始まった。
属性の儀が終わった子は、望んだ属性になれて喜ぶ者、望んだ属性になれなくてがっかりした者といた。
順番にやっていき、いよいよ僕の番となった。
僕は他の子同様に、水晶に手をかざし魔力をこめた。
だが、水晶は変化しなかった。
故障と思い、教会の人が代わりに手をかじすと、水晶が白色に変わった。
僕は無属性扱いとされ、回りの人から笑われ、ガゼルは僕を睨み、父は怒っているようだ。
次に弟がすると、水晶が赤から黄色と交互に色が変化していった。どうやらガゼルは炎と雷属性に適正があるらしい。
周りは歓喜の声を上げ、父は僕を押し倒し、ガゼルを抱きしめ、さすが我が家の子だと言っていた。
そして、次の日……僕はホムラ家から捨てられた。