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Deterrent ~消えない戦争~  作者: ジョニー
プロローグ 原油採掘施設警護
2/3

第1話 原油採掘施設警護

軍事規則とできるだけ合わせていますが、何か違うところがありましたらお知らせ願います!m(_ _)m


12/2 本文改稿

内容も少し変わってます。

――2033年8月 中東某所――


 2010年代に始まったアラブの春。それが起きてから10年以上たっても、アフリカや中東ではまだ混乱が続いている。


 なぜ混乱が続いているのか。それは、リビアのカダフィ政権崩壊によって軍の武器が流出した時、イスラム過激派がそれを手にして自らの理想の世界に近づけようとテロ行為を00年代よりもさらに頻繁に行うようになったからである。例えば、2013年に発生し、外国人労働者を含む多くの死者を出したあのプラント襲撃事件だ。そして、その一件から数年後・・・ある一派が某国でクーデターを起こし、政権を奪取したのをきっかけに、イスラム過激派の行動は激化し、ついに戦争へと至った。


 一刻も早くテロ行為を抑えたいアメリカは、2024年当時テロ組織に攻撃対象とされた米国石油プラントがあるイスラマ国に兵士の派遣を決定し、兵士はプラント護衛・テロ組織攻撃任務に就いた。


 そして2033年現在、俺は入隊してからちょうど3年がたったジャック少佐率いる部隊の一員として派遣されている。


 自分にとって、今回が初めてのイスラマ派遣だったわけではない。2028年に、陸軍に入り将校課程を終えた俺は別の部隊として派遣された。その時の戦績を見込んで、エドガー大佐は俺を新生グリーンベレーに誘い入れた。


 新生グリーンベレーはかつてのグリーンベレーに代わり、2022年に設立されたものだ。国連の条約により兵士の数を減らすことが決定したとき、それまでの第75レンジャー部隊とグリーンベレーの人数削減をし、統合することが決定した。


要するに、グリーンベレーにも後方支援以外の通常任務が下るようになったということだ。


 新生グリーンベレーは、7000人ほどの部隊だ。そして俺が所属している第5特殊部隊グループは、ジャック少佐が率いている中東地域を担当する部隊だ。人数は1765人と、以前のグリーンベレーの第5特殊部隊グループと変わらない。担当する地域も同じだ。


 部隊長のジャック少佐は40代で口数が少なく、物静かな人物だ。アメリカ軍の中でも指折りの実力を持った上官で、イラク侵攻やビンラディン容疑者殺害事件などの任務で戦績を上げている。そして今回のイスラマでは優秀な指揮能力を発揮している。ただし、エドガー大佐には及ばないが。その多岐にわたる実力があるにも関わらず、何故軍よりも給料のいいPMCに行かないのだろうと疑問に思ったが、少佐からはいつも話しかけ難い雰囲気が漂っていて、とても聞くことができなかった。まぁ、普段のそぶりから見れば愛国心からではないのは確かのようだ。



では、今回の任地について説明しておこう。


 このプラントは5つのエリアで構成されている。まず正方形の中央広場だ。ここはプラントで働く人々の憩いの場となっている。そしてその西側には米国石油会社とその他の会社の総合事務所、南側には労働者向けの簡易居住区、東側には米軍のキャンプがある。居住区は長方形、その他は正方形で、中央広場を取り囲むようにできている。


 そして5つ目が石油採掘施設だ。こちらは中央広場の北側600mほどにあり、外側はコンクリートの壁、さらに外側には金網の二重の柵で囲まれている。こんなに施設同士が近い理由は一つ、警備エリアを減らして護衛費用を下げるためだ。


 そして今回、俺達の部隊はその採掘施設に配置された。


 エドガー大佐曰わく今日、現在最大勢力を誇るテロ組織からここを襲うという情報が入ったらしい。


 そこで新生グリーンベレーの内、俺が所属しジャック少佐が率いている第5特殊部隊グループが派遣されることとなったとのことだ。担当地域からすれば当然の帰結だ。


そして今回、俺を含むアルファチームは14:00~18:29の間、石油採掘施設北側の金網の外で侵入者の監視することになっている。


 監視をしていた俺は、同じアルファチームの親友で監視ポイントが近いウィルソンに事前に彼に伝えた私語専用周波数で無線をした。


「こちらトーマス。ウィルソン、聞こえるか?」


「よく聞こえるぞ。しかし、本当に無線してくるとは・・・」


「まあいいじゃないか。全く、回りを見ても岩だらけの砂漠で目が痛いぜ。おまけに気温は46.8度ときやがる。温暖化は恐ろしいな・・・」


「暑いったって、最新式の迷彩服だろ?暑さは感じないだろうが。」


「気分的には暑いんだよ・・・」


俺は無線機を持ち直した。


「それはそうと、ウィルソン、今回の任務だが、本当に攻めて来ると思うか?」


「さあな。つい半年前にアフリカを担当する第3特殊部隊グループが肩すかしを食らったばっかりだから、俺も少し疑っている。」


「ここ数年で、アメリカ軍の信頼性を落とそうとする、悪質な情報が増えて来ているだろ?しかも手口は巧妙で、嘘とわかるのは任務失敗後だからな。」


「そういう情報を流すのは、だいたい小規模なPMCじゃないかと言われているな。今じゃ、小規模企業でもスパコンが買えてしまうような時代だ。海外のサーバーを経由させたり、痕跡を消したりするのだって、ソフトを使えばお手のもんだろ。NSAもそんな嘘を見抜けなくなったとは落ちたもんだ。おっと・・・少し言い過ぎた・・・・。この無線、ちゃんと暗号化かけてるよな?」


「かかってない訳がないだろう。ただし、本部には筒抜けだ。尋問が確定したな。」


「そんな・・・」


「冗談だ冗談。普通の暗号化とは違うから本部には聞こえない。お前の無線をちょろっといじって、他よりも多く周波数と暗号化コードを使えるようにしたんだ。パスコードを打ち込むだけだけどな。」


「なっ・・・脅かしやがって!まさか、パスコードはジャクソンに教えてもらったんじゃないだろうな?」


「惜しいな。確かにこの無線機はアイツの設計だ。パスコードは、アイツの他には極少数しか知らない。だが、俺はこのパスコードをエドガー大佐にきいた。」


「何故大佐が知っているんだ?それと、お前と大佐の仲が良いのは知っているが、どうして大佐はお前に教えたんだ?」


「周りに仲間はいないか?」


「じゃなきゃ応答してない。」


「落ち着いて聞けよ。実はな・・・・」


「・・・?」


「ジャック少佐を監視するためだ。」




To be continued.

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