資料 1. 現状報告
3/19 年代設定の間違いを訂正しました。
4/19 年代設定に月日を追加しました。
2033年 9月12日
トーマス・ウィリアムズ
2019年、国連は世界核兵器制限条約を制定、核兵器はその数を減らし、2030年までに確認されているだけで、アメリカが19発、ロシアが21発、北朝鮮などの2015年までに核兵器を所持していた国はそれぞれ1~3発となった。
しかし最近、廃棄核弾頭の管理はずさんをきわめ、MUF(マフ、核物質不明量)も発生していることが判明した。
2022年、さらに国連は大規模な軍備縮小条約を提案、反対はなく、日本の自衛隊を含め、全ての国の軍事力は従来の3分の2程度にまで縮小された。
しかし、条約の中にPMCに関する記述は一切なかった。
各国は自国防衛のため、PMCを相次いで採用、PMCの市場は拡大し、今や世界の軍事力の4分の1はPMCが握るほどになった。
国家間での軍事紛争は年々減り、世界は平和へと向かっていた。
しかし、戦うことでしか生きられない者達は、急速にその場を失いつつあった。
2029年、中東のある地域が自治国家設立を宣言した。
アヒナビ共和国だ。
表向きはその名前だが、ある一部の傭兵達にはArmy`s continent(アーミーズコンティネント、兵士たちの大地)と呼ばれそこには、職にあぶれ行き場を失った元兵士や軍事科学者たちが静かにあつまってきていた。
2031年5月、CIAは、アヒナビ共和国に潜入させていた工作員から、ある情報を入手した。
―アヒナビ共和国に拠点を置くPMC兵士たちに不穏な動きがあり、どうやら核兵器が開発されているようだ―
CIA職員は本国にそう伝え、連絡が途絶えたらしい。
事態を重く見たアメリカは、この事実の一部をマスコミへと発表した。
もちろん、アヒナビ共和国はそれを真っ向から否定した。
2033年9月11日、アヒナビ共和国が隣国へと宣戦布告、さらにアメリカやロシアなどの核兵器を持つ軍事大国に対して、核兵器で脅しをかけてきた。それに応じ、世界中のPMCの半分近くがアヒナビ共和国側に移り、世界各国が自国防衛の力を弱めた。
国連は、アヒナビ共和国に対し直ちに行動を止め、核兵器を廃絶するよう通告した。共和国はそれに応じず、さらには国連軍を出せば核を使うとまで言ってきた。
内部から破壊するしかないと判断した国連は、唯一内部情報を入手していたアメリカに事態の解決を依頼した。