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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック


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7/15

町、モンスター、蹂躙

後書きで重要なお願いがあります。

ご協力をお願い致します。

 突如飛来したモンスターの話は、すぐに冒険者ギルドにも伝わった。

 各地で敗戦ムードを感じている中、遠征から戻ってきた冒険者パーティがいくつかいたが、ついにこの人間の国の残り少ない町にもやってきたか――と渋い表情をしている。


 ここにいる数少ない冒険者たちは、粗末な装備で怪我だらけ。

 まるで野戦病院の中かと勘違いする程だ。

 その中で最初に立ち上がったのは〝鋼鉄の守護者〟リーダー、マルコ。

 人類最後の盾としての意識を持ち、大きな盾を持つハンサムな金髪男性だ。

 彼は机をバンッと叩きながら言った。


「クソッ! 動ける奴ら全員で行かなければならない! いいな、お前ら!」

「ははっ、マルコ。リーダーだからって気負いすぎだぜ。今回は平気だろ」


 そう笑うのは女性でありながら、男勝りなイザベルだ。

 鍛え上げられた筋肉に色黒の肌、作りの粗い革鎧、白い歯を見せて、置いてあった自慢の斧を掴む。


「イザベル、なぜ平気だと言えるのだ?」

「だってさ、そんなに素早い速度で飛んで遠くからやってきたって話だろう? 動きが速くて、持久力があるのは確定だけどさぁ、それで攻撃力まで高いってのはありえないからな。素早いだけの撹乱野郎ってことだぜ」

「なるほど、一理あるな。速いだけで、攻撃力はないのだろう」


 マルコとイザベルの二人は楽観的に考えていたが、そろ~っと手を上げる女性がいた。

 長い黒髪で杖を持ち、ダボッとしたセンスの欠片も無く着心地も悪そうなローブを着ている。

 名をクララと言う。


「あの~……ちょっといいでしょうか~……?」

「どうした、クララ。もしかしていつもの杞憂というやつか?」

「今、町の冒険者は出払っているタイミングで人数少なくて、そこに丁度やってくるモンスターって……まるで狙ったかのような~……考えすぎかもしれませんが~……」

「がはは! 考えすぎだろう! それにソロならともかく、オレたち絆のあるパーティーなら無敵だ!」

「そうだぜ、クララ。もうアタイたち10年近くの付き合いだろ。おっと、付き合いと言えば今度妹さんの誕生日だろ。プレゼントの魔術書を買ってきたけど、さすがにモンスターの血で汚れちまうから冒険者ギルドに置いてくぜ、あとで渡してくれよ」


 そうして〝鋼鉄の守護者〟と他の数パーティーは正体不明のモンスターを討伐しに出立したのであった。




 ***




「な、なにあれ……」


 現場である町の地点にやってきたクララは、信じられないものを見ていた。

 空を飛ぶモンスター――〝音速斬翅のリブレイド〟はトンボの様な見た目だが、サイズは大人三人分くらいはありそうな巨大さだ。

 六本の肢と長い腹は硬そうな甲殻に覆われていて、翅は常に高速で羽ばたいているのか形がブレて見えない。

 それがソニックブームのような透明な斬撃を翅から飛ばしてきて、町の建物を斬り裂いているのだ。


「うぎゃッ」


 もちろん、冒険者も一緒に真っ二つにされて、脳漿やら臓物やらを撒き散らしている。


「こ、こっちは数がいるんだ! 連携してやれば何とかなる!」

「そ、そうだぜ!!」


 マルコとイザベルは、及び腰になっている他冒険者たちに檄を飛ばすが、本人たちも嫌な汗をかいていた。

 敵である〝音速斬翅のリブレイド〟が圧倒的に強いと瞬時に分かってしまったのだ。

 それでも、ここで逃げたら人間の国は終わりである。

 魔国に降伏したとしても、人間がどういう扱いをされるのかは聞くに堪えない。

 戦うしかないのだ。


『ブブブブブブブブ』


 無機質な複眼で感情を見せない〝音速斬翅のリブレイド〟は、ただ羽音を響かせるだけだ。

 実際、今も人間たちを真っ二つにしている最中なのだが、何も感じてはいないだろう。

 彼からすれば、ここにいる冒険者は同等の存在でもないし、同じ種族でもないのだ。

 人間がアリを踏みつぶすよりも感情が動かない。


「む、無理だ!! 素早すぎて飛び道具も当てられないし、相手の攻撃が一方的にこっちを――ギャべっ」


 また一人、冒険者が縦にスライスされて、左右に倒れた。

 もう逃げずに残っているのは〝鋼鉄の守護者〟パーティーの三人だけだ。

 リーダーのマルコが決死の指示を出す。


「たぶんオレが町で一番の防御力を誇る冒険者だ……。だから盾になる。きっと一撃は耐えられるから、オレの後ろにイザベルが隠れて、オレがやられたら飛び出してあのトンボ野郎に一撃ぶち当ててくれ」

「アンタ……死ぬ気かい?」

「はっ、どうせみんな死んじまうかもしれねぇんだ。イザベルやクララがオレのことを覚えておいてくれれば、まだマシってもんだ。漢の生き様を見せてやるぜ」


 心配するイザベルに対して、マルコはそう気持ちの良い表情で言った。

 クララは自信なさげに挙手をする。


「あの~……あたしはどうすれば~……」

「イザベルが攻撃成功したら、追撃で魔術をぶちかましてトンボ野郎にトドメを刺してくれ。もしダメそうだったら、逃げて山にでも避難するように町の奴らに知らせてくれ。世界の終わりだってな」

「そ、そんな……あたしも一緒に……」

「天涯孤独のオレたちと違って、お前だけは妹っていう家族がまだいるんだ」

「うぅ……」

「それじゃあ、行こう!」

「ああ、アタイたちが人類最後の砦だぜ!」


 ――結果から言うと、失敗だった。


「あ、あああああ……」


 クララは声にならない声を発している。

 マルコが盾となり、その後ろにイザベルがついていく作戦。

 直後、〝音速斬翅のリブレイド〟が見えない刃を飛ばしてくる。

 それはマルコの装備ごと胴体を通り抜け、イザベルまで達した。

 二人とも上半身が滑り落ちていく。


「あああああああああああ」


 クララの十年来の仲間であり、もはや家族のような存在だった、親友だった、兄弟のようなものだった、大切な人が――死んでいく感情が声として漏れ出る。

 それでもイザベルは上半身だけで、ショック死しているであろう身体でも染みついた魂のようなもので、斧を〝音速斬翅のリブレイド〟に一投した。

 命と引き換えで断末魔代わりに投げられたそれだが、簡単に回避されてしまう。

 敵の動きが速すぎるのだ。

 ドサッと地面に落ち、二人の人間から、四つの肉片に変わった瞬間を見てしまった。


「ああああああああああああああああッッッッ!!!!」


 無駄、だった。

 人間なんかが魔族に勝てるはずない。

 クララの口からは絶望、悲しみ、虚無、哀悼、怒り、危機――そういうものが絶叫となって溢れてくる。

 それでも、逃げて生きろと言われたのだ。


「ああっ!! ああああああ!!」


 ショックでおぼつかない足元で転びそうになりながらも、無様に逃げ出す。

 逃げるしか選択肢は無い。

 だが――。


『ブブブブブブブブブブブ』


 その羽音からは逃げられない。

 無機質な複眼で見つめる〝音速斬翅のリブレイド〟としては、これらに何の感情もない。

 軒先の掃除を頼まれたから、落ち葉を箒で掃くようなものだ。

 彼から見たら、冒険者など――人間などその程度の〝物〟なのだ。

 何千、何万回と繰り返してきた風の刃を飛ばす行為。

 それを逃げているクララの背に放つ。

 さて、これで処理は終わる、次は何をするか――くらいの思考になろうとしていたのだが、そこで彼にとって初めて〝敵〟が現れた。


「おー、危ないところでしたね。大丈夫ですか?」


 風の刃を軽々と弾いた、マント姿の女性――ウリエルだった。

面白い!

続きが気になる……。

作者がんばれー。

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<(_ _)>ぺこり

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