ぶかぶかビキニアーマー
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「もうこっちを見てもいいわよ」
アルプスが着替えている最中、イストは律儀に後ろを向いていた。
こういう着替えシーンであんなところやこんなところが見られるのは有料の特権なのだろう。
知り合いの作家が『規制解除版はこちら!』と有料サイトでやっていたのを思い出したのであった。
「お、おう……似合って……いる……な……」
「イスト、嘘が下手すぎでしょ……精霊眼関係なくわかっちゃうわよ……」
いくらイストでも、正直に言ってしまうと人を傷付けてしまうような場合は嘘を吐こうとする。
たとえば、今目の前にいるサイズが合わず、ぶかぶかのビキニアーマーを着ているアルプス相手だ。
アルプスは多少胸が小さいくらいだが、ウリエルがかなり大きくてそっち向けに作ってあるので、隙間部分に哀愁を感じてしまう。
下半身部分もウリエルの方が大きいのか、こちらもずり落ちそうで隙間がすごい。
幸いなことに、あまり動かなければギリギリ成人向けシーンにはならないようだ。
「やっぱり、個人個人に合わせた防具作りが必要だな、うん」
「こっちを見て言わないでよ!」
アルプスは羞恥心で顔を真っ赤にしているが、気にせず話を進めることにした。
「それじゃあ、〝アポロンの太陽鎧Ver2〟を試してくれ。あ、小屋の中だと失敗したら爆発して吹き飛びそうだから、外で」
「爆発……?」
「なんか実験のイメージだ」
あまりこちらの住人にはイメージが伝わらないらしい。
博士みたいなのが実験するとフラスコに入れた薬品とかが爆発する感じの。
そこはあまり関係ないので、外に出て樹木を前にする。
「まずは右手の翅剣を展開してみてくれ」
「わかったわ」
アルプスが右腕を前に出してから、目をつぶって意識を集中させる。
すると、小手部分から魔術で収納されていた翅剣が徐々に姿を現す。
「おぉ……魔法みたいだ……」
「魔法と魔術は違うからね? それじゃあ、左手の翅剣もいくね」
「オッケー」
アルプスは同じように左手の翅剣も出現させた。
動作的には問題はないようだ。
次の段階に移ろう。
「それじゃあ、実際に翅剣で斬ることができるのか試してみてくれ」
「あたし、剣技の経験ないんだけど……」
「テストだから気にするな」
翅剣は微振動し始めた。
原理的には高周波ブレードという、超微細な振動によって切れ味を増す技術と似ている感じだろうか。
「え、えい!」
アルプスは、かなりへっぴり腰で翅剣を振るも、樹木の途中で刃が止まってしまった。
素人が普通の鉄の剣で斬るよりは威力が出るのだろうが、無条件で超強くなれるとまではいかないようだ。
「まぁ、ここらへんはウリエル任せだな。俺も剣技はわからん」
樹木に挟まった翅剣は、収納することで引っこ抜かなくて平気だった。
アルプスは身体を動かす実験が珍しいのか、テンションが上がっているようだ。
「でも、ちゃんと試せてるでしょ! ウリエルがいなくても!」
「あー……うん、まぁ必要な部分は先に試せるのは助かる」
これをウリエルが聞いていたらギスるだろうなぁ……と杞憂してしまうのであった。
「それじゃあ、次を試すね!」
「あっ、ちょっと待て。次ってまさか――」
「背中の翅で飛べるか試すわ!」
「止めろそれは危な……って、行ってしまったか」
アルプスはロケットのように頭上へと飛んでいった。
それは優雅とは言えず、フラフラと不規則な螺旋を描くような軌道で、とても見ていられない。
一分も経たずに地面へと激突する形で戻ってきた。
「きゅう~……」
「飛行性能は要調整、装備の防御性能は相変わらずといった結果だな……」
目を回していたアルプスだったが、しばらくすると起き上がってきた。
「いたた……」
「大丈夫か?」
「こんなピーキーな物、普通じゃ扱いきれないわよ」
「ウリエルをイメージして作ったらこうなったからなぁ。アルプスが使うには、アルプス用の装備を作らないとな」
「び、ビキニアーマーは遠慮しておくわ……」
「勘違いされてそうだが、別に俺はビキニアーマー専門じゃないぞ」
「って、それどころじゃない。あたしは一度町に戻るね」
アルプスは小屋に戻って、元の服に着替え始めた。
イストは覗かないように声をかける。
「急にどうしたんだ?」
「さっき、空を飛んでいるときに見えたのよ。良い精霊が町の方に集まっているところを。きっと何か良いことがあったのよ!」
この終末みたいな世界にそんな良いことがあるか? と思ってしまったが、アルプスの表情が嬉しそうだったので言わないでおいた。
面白い!
続きが気になる……。
作者がんばれー。
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<(_ _)>ぺこり




