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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック


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特級魔術構築

後書きで重要なお願いがあります。

ご協力をお願い致します。

 イスト、ウリエル、アルプスの三人は小屋の中で一枚の紙を眺めていた。


「というわけで、いくつかの案を描いてみた」


 その紙は設計図だった。

 一枚目は、スタンダードに籠手の前方向に翅剣を一本伸ばす構造だ。


「これはイメージ通りって感じですね。アルプスさん、魔術でどうにかなりそうです?」

「うーん……」

「まぁ、とりあえず全部見てくれ」


 二枚目は、籠手から後ろ方向に翅剣を伸ばした物だ。

 肘の後ろからブレードが出る感じになっていて、ぶつかってジャマという問題点は解決されている。


「肘方向から剣が出て、トリッキーな戦い方をするのは男の浪漫!」

「いや、浪漫はわかりませんが、これすごい戦いにくくないですか? ようするにトンファーの超長い版ですよね?」


 三枚目は、翅剣は全部で六本なので、籠手に三本ずつ爪のように装備する方式だ。


「ウ○ヴァリン」

「なんですか、それ。一本でいいじゃないですか」

「あ、お前すごい人数のファンを敵に回したぞ!!」


 四枚目は籠手ではなくて、背中に翅剣を付ける案だ。


「何か余ってたから付けてみた」

「これは可愛いですね、妖精みたいで良いと思います」

「良いのか!? 俺的には結構テキトーな案だぞ!?」


 これで一通り出揃ったので、再び意見を聞くことにした。

 まずはウリエルだ。


「私としては、すっごく戦いにくいので二枚目の長いトンファー案っぽいのは却下ですね。他は実現可能なら使いこなせるかもしれませんが」

「くっ、俺の浪漫が……」


 次はアルプスだ。


「魔術的には……うーん、これらをどう実現するかということよね?」

「そうだ。何かいけそうな魔術はあるか?」

「空間魔術で収納……という感じ」

「使えるのか、空間魔術!?」

「自分の周囲ならそれなりに収納できるけど――問題は付与となると、かなり効力を落とさなければならないということよ」


 よく考えたら、鎧に付与していつでもウリエルが操作できるようにするのだ。

 たしかに効果は落ちそうなイメージがある。


「あたしが以前、普通の防具に試したところ付与成功率もすごい低かったし」

「そこは腕の見せ所だな」

「それとさっき翅剣の実物を見せてもらったけど、サイズはともかく質量はかなり低いからギリギリ左右の籠手に一本ずつくらいかな」

「よし! いけそうか!」

「あとは背中につける案。元はトンボ型モンスターがアレで飛んでたなら、飛行に転用できるかもしれないわ」

「えっ、マジで? オシャレ装飾品じゃなくて?」

「あの構造なら大部分が魔力で動かしているはずよ。でも、そこは実際にやってみないとわからないかも」

「すごいな、アルプス!!」


 思わずイストは、アルプスの両手を掴んで感謝してしまった。


「べ、別に普通はこんなの役に立たないし……。直接的な攻撃魔術じゃないと評価されにくいし、こういう操作系もモンスター素材を使ったものじゃないと無理だし……。それより、手……」

「手?」

「握られてるの恥ずかしいのよ、バカ」

「す、すまん!」


 イストは慌てて手を離し、アルプスとしてはまんざらでも無い表情だ。

 ウリエルの蒼い瞳はそれをジト目で見ている。


「な、なんだよウリエル」

「何でもありませんよ、別に。何か私がいない間に仲良くなっちゃって。どうせ私は鎧作りには協力できないで使うだけですし、使ってもそちらのお姉さん以外は助けるのが間に合わずに、理不尽に責められるだけですからね」


 ウリエルはそう言ってから、アルプスが涙ぐんでいるのに気が付いた。


「ウリエル、言い過ぎだ」

「私は………………本の中に描かれるような伝説の英雄にはなれませんよ。そこの愛書狂(ビブリオマニア)さんの理想には当てはまりません」


 ウリエルは小屋から一人で出て行ってしまった。

 残されたイストは申し訳なさそうにフォローを入れておく。


「あー……、ウリエルは悪い奴じゃないんだけどな。まぁ、そこまで良い奴でもないけど。ただ、人の心があんまりわからないっぽいくらいで……いや、割とダメか……」

「私は実物よりも、文字の方が好きだからあんな嫌われ方をしちゃっても仕方がないのかも……」

「アルプス……」

「今はこの鎧を完成させちゃいましょうよ! ね! そういえば、この鎧の名前はなんて言うの?」

「〝アポロンの太陽鎧〟だ!」

「ど、独特なセンスね……」


 それから〝アポロンの太陽鎧〟の改修が始まった。

 鎧に空間魔術を付与するには、ルーン魔術という文字を使うそうだ。

 特殊な魔術文字を書き込んだり、彫り込んだりする。

 インクは精霊が好む魔術触媒を使っていて、完成後に刻み込むので素材への影響も出ないだろう。


 土台となる籠手自体も新造するので、そのために町の工房で接着剤となる(にかわ)の作り方も教えてもらった。

 別名は煮皮とも呼ばれ、その名の通りに皮を煮て作る。

 今回は皮でなく、モンスターの砕かれた甲殻や骨、牙、腱などのタンパク質が入ってそうな物を煮込んで、それを乾燥させる。

 それをさらに水分を与えて加熱すると接着剤として使えるようになるのだ。

 これ以外にも別の方法もあるそうだが、それは試していく内に調整となるだろう。


 翅剣自体は、根元を日本刀の刃と柄のような感じで加工して籠手と繋げる。

 模型の設計でもよく使った手法で、ただ穴にぶっ刺して固定するだけよりは良いだろう。

 この籠手と固定している根っこの部分はそのままで、そこから先の刃部分だけを収納魔術で非戦闘時に消す感じになる。

 簡単に言えばライトセーバーやビームサーベルの実体版と言えばわかりやすいだろうか。


 それから予想外にオッケーが出た背中の翅だが、これは四枚の翅剣を使う。

 接続部の稼働は複雑そうなので、トンボ型モンスターの背中ごと取り付けた。

 あとはこれにルーン文字を刻み込んで簡単な指令をいくつかプログラムのようにパターン化しておくらしいが、イストとしては魔力がないのでよくわからない。


「とりあえず、これで形にはなったな。アルプス、助かったよ」

「い、いえ……。イストのモンスター鎧作りが……まさかこれ程までにすごいとは思わなかったわ……」

「そうか? 俺としてはルーン文字とかいう方がチートだと思うが」

「このルーン文字も、魔力伝導率が低い鉄装備とかじゃ、全然機能しないもの。モンスター素材なら成功率も効力も100%でバンバン書き込めるわ」


 称賛されているらしいというのはわかるが、褒められ慣れていないのでよくわからなかった。

 そんなことより、今は鎧作りの最終段階だ。


「さてと、これが実際に使えるかウリエルにテストしてもら――って、まだ帰ってきてないのか」

「ごめん、あたしのせいで……」

「それじゃあ、アルプスが装備してテストしてみてくれ」

「え”っ」


 明らかに嫌そうな声が出ていた。


「どうしたんだ?」

「いや、その……籠手は作ったけど、それ以外の部分がビキニアーマーのままで恥ずかしいというか……」

「うーん、でも俺だとルーン魔術を起動できないだろうし、ウリエルもいないしな~」


 ウリエルがいないということに責任を感じたのか、アルプスは嫌々ながらも観念した。


「ま、まぁこんな実物の身体なんて、文字と違って恥ずかしくないし……別に着てあげるわよ……」

「その独特な感性、今は助かるな!」

「そ、それでも着替え終わるまでは後ろを向いていてくれると嬉しいわね……」

「じゃあ、着替え終わったら言ってくれ。早く誰かが着てる防具を見たい」

「……そっちもかなり独特な感性だと思うわ」

面白い!

続きが気になる……。

作者がんばれー。

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<(_ _)>ぺこり

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