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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック


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13/15

誘拐完了QED

後書きで重要なお願いがあります。

ご協力をお願い致します。

 町外れの小屋の中、アルプスが目覚めた。


「こ、ここは……?」

「俺が拠点にしている小屋だ」

「確かあたしは……って、なんで裸なのよ!?」


 そこでアルプスは、自分が何も着ていないことに気が付き、両手で身体を隠した。

 ローブを着ているときはわからなかったが、深窓の令嬢のようにきめ細かく白い肌をしていて、少し小さめな胸の前に長い金髪が流れている。

 赤面し、混乱して虹色の眼をグルグルと回してしまっている。


「ま、まさかこれって本で読んだことがある……気絶している間に初めてのあんなことやこんなことをされちゃったの!?」

「いや、何を想像しているか大体わかったが、身体を採寸させてもらっただけだ」

「採寸!? なんでよ!? しかも気絶中に!?」


 これにはイストも自分のせいではないとばかりにバツの悪そうな表情をする。


「ウリエルが……計っておけって……。自分も計られたんだから、同じ犠牲者を増やそうって……。俺はアイツが怖いよ……」

「誰が怖いんですか?」


 いつの間にかウリエルが後ろにいた。


「ヒッ!? 気配も無くスッと後ろに立つな!?」

「あ、ありえない……本でもこんなことされない……」

「アルプス、お前は本が好きらしいが、俺の世界の本では発売されたあとにサービスとして、省かれた採寸シーンがネットリと描かれて、しかも謎の光のガードも消えて全部見えたりもするぞ」

「ほ、本を穢すなバカヤロウー!!」


 一応、前世が雑誌ライターでもあったイストとしては、商業主義というものを教えてやっただけだ。


「さて、本題に入ろう。俺の正体は――ウリエルが着ているビキニアーマーを作った職人だ」


 さすがに自分で職人を名乗るのはおこがましいが、一言で説明するにはそれが手っ取り早い。

 アルプスは信じられないという表情だ。


「あ、あんたみたいな魔力無しが、このとてつもない性能の鎧を……? 嘘を言ってもダメよ! 私には、この眼であんたに魔力が無いってわかってるんだからね!」

「異世界召喚されて魔力が無いからこそ、これが作れたと言ったらどうする?」


 ――イストはこれまでのことを包み隠さず説明した。


「う、嘘よ……信じられない……。でも、たしかにその条件なら今までモンスター素材を使った装備が現れなかったのも理にかなっている……」

「それで装備改良のために力を借りたいんだ。どうだろうか?」

「そ、そんなの……決まってるでしょ……」


 よし、頼れる仲間が増えるぞ。


「嫌に決まってるでしょ!!」

「なぜ!?」

「いきなり気絶させられてここまで運び込まれて、しかも裸にされていたのよ!? こんなにも酷い現実世界を見せられて『協力します』ってなるわけないでしょ!?」

「うーん、正論」


 ウリエルだけはまだ『なぜ?』という表情でキョトンとしている。

 やはり人間の心がないのかもしれない。

 そもそも、気絶させたのも、その間に採寸させたのもウリエルだ。

 このアルプスとの相性は最悪だろう。


「ウリエル。しばらく俺とアルプスの二人にしてくれ」

「えっ? 本当に襲うんですか? 男の本能に任せて?」

「しねぇよ! 本気でアルプスが怖がってるから冗談でも言うな!?」

「はいはい、そういう度胸はないですもんね」


 ウリエルはこちらを見ずに小屋の外へ出て行ってしまった。

 残されたのはイストとアルプスだけだ。

 嵐が去ったあとという感じで静かになり、急にお互いを意識してしまう。

 イストは着ていたローブや下着の衣服を渡した。


「これ」

「うん」


 そう言葉少なげに会話をして、アルプスは着替え終わって再びローブを目深に被り直した。


「その眼、綺麗だから隠さなくてもいいと思うぞ」

「……ありがとう。でも、この世界では気味悪がられるし、それに見たくないモノも見えちゃうから」

「見たくないモノ?」

「魔力があるところには精霊が寄ってくる。その人柄や言動に合わせた精霊が。あたしの眼を見た人たちは、恐怖とか、嘘を好む精霊が寄ってきていた」

「そうか、大変だったんだな」

「そういうのが無かったのはお姉ちゃんと、その友達のマルコさんとイザベルさんくらい。だから、あたしはずっと家に引き籠もって本の世界に居た」


 それだけ彼らが特別な存在だったということだろう。


「……でも、あんた――イストも魔力がないから精霊が寄ってこない。何を考えているかわからない面白い相手かも」

「何を考えているかわからない……か。俺は嘘を吐くのが苦手だから、思った事を口にしてしまうだけだ。アルプスは理不尽に怒ってきてると思うし、それでもぶつけようのない感情はあると思うし、眼が綺麗だし、誰かのために怒れる良い奴だろ」

「なっ」


 アルプスは叱られているのか、褒められているのか不思議な感覚を覚えた。

 それはまるで、他界している両親がここにいたら――と思うくらいだ。


「アルプスは本が好きなんだよな?」

「う、うん……好き」

「実は俺は前の世界でライター……つまり物書きを仕事にしていたんだ」

「えっ、すごい!!」


 アルプスは眼をキラキラと輝かせてくれたが、イストとしては少し目を逸らしたくなってしまう。


「い、いや……期待されるようなベストセラー作品の作家とかじゃなくて、雑誌のライターだけどな」

「どんな形であれ、文字をお仕事にしてるってすごいよ!! みんなを勇気づけたり、楽しませたり、知識を伝えるものだもん!」


 純粋すぎる、と思ってしまった。


「文章というのはそんなに美しい面ばかりでもない。誰かを貶して金稼ぎしたり、挑発して怒らせたり、間違った偏向知識で印象を操作したり。俺も以前はそういうのを強要されたこともあった」

「う、嘘よ……文字の世界は、実物の世界よりもずっと美しくて……」

「悪い。……そうだな、アルプスから見た本の世界は、きっと美しいんだろう」


 しばらく無言の状態が続いた。

 イストとしては思ったことを、ただ正直に言ってしまっていただけなので『失敗したか~……!』と頭を抱えてしまう。

 数分後、アルプスがポツリと言った。


「少しなら……防具作りに協力してあげてもいいわよ」

「えっ!? 本当か!?」

「少しだけ……ほんの少しだけ、イストは実物でも信用できそうだから」


 何がアルプスの心を動かしたのかはわからなかった。

 でも――イストを見つめる虹色の瞳は、本当に綺麗だった。

面白い!

続きが気になる……。

作者がんばれー。

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<(_ _)>ぺこり

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