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男も女も湘南ライドで恋を語る勿れ!  作者: 三ツ沢中町
第四章 交錯する恋の行方
98/136

第97話 デートの定義って?

「特にないけど?」

「そうなんだ。それなら一緒に、私と一緒に行って欲しい場所があるの」

「どこですか? 天音さんが行こうとする場所は?」

「横須賀にある有名な公園なの」

「仕事なの?」 

「まぁ、そんなところね」

「……いいね。横須賀には行ったことなくて、行ってみようかな?」

 嬉しい!

「私たち、恋人ならデートだね」

「こういうのは、デートじゃないんだ? 湘南ライドのあとにデートする約束してたし」

 それ、どう言う意味なのかしら?

 私、デートの定義をこれまで誤って認識していたのかしら?

 デートは恋人たちの交友みたいなものとばかり、思っていましたわ。

 ……でも、今の話し方から想定すべきは、そのことではないのかも?

 春風はデートを恋人の交友が前提とした上で、私たちが恋愛下にあると思っているからこそ、デートに当たると言っているんだわ。

 そうよ、そうだわ。

 でも、そこをどうしても確かめておきたい!

「春風は、私とならデートしてもいいなって思ってくれてるんだよね?」

 あれ? 

 言い方がまずかったかしら?

 素直に、私たち恋人なんだよね? って聞きたかったのに、もう、私、何言ってるのかしら。

「女の子と出かけたりするのが、デートなんでしょ? 天音さんが行くところを僕も見てみたいなと思ったから」

 私の行くところ? そう言う捉え方なのね。

 好きな女の子、じゃなくて、女の子なんだね。

 やっぱりあなたは、デートを軽く考え過ぎているよ。

 女の子は、そこが大事なんだよ。

 でも、そんな無垢なところが、私のスウィートスポットに突き刺さっているよ。

 可愛い人。

「では、デートプランをお伝えします」

「はい、デートプラン、ですね」

「ええ。九時過ぎに寮を出て、江ノ電、JRを乗り継ぎ、横須賀駅で下車、徒歩でヴェルニー公園の噴水前に向かい。十時半から十二時まで撮影の仕事。近くにあるマリナブルーラウンジでランチしたあとドブ板通りをふたりで散策するの。寮には、四時頃に戻ってくる予定よ」

「へー、横須賀知ってるって感じだね」

「横須賀は私の育った街だから、春風にも好きになってもらえると嬉しいな」

「天音さんの故郷か?」

「そうよ、春風もきっと気に入ってくれると思うから」

「楽しみです」

「そうだ、待ち合わせなんかしたいな? 鎌倉駅で」

「一緒に出かけるんじゃなくて?」

「そう、持ち合わせしたいな」

 そうなんだね、女心は雲のようだ。

 掴めそうで掴めない。

「ああ、鎌倉駅で待ち合わせだ」

「うん、ワクワクが一つ増えたよ、ほんと幸せ感じちゃうな」

「じゃあ鎌倉駅で、待ってるね」

 

 春風は天音のため、鎌倉駅で待ち合わせと言う演出を承諾したが、ふと思ったその何かを、ずっと拭いされずにいた。

 二人が決めた時間に同じ女子寮から出発して、鎌倉駅に決めた時間に落ち合うと言うことが、そもそもナンセンスであること。

 始まりと終わりが同じであれば、ふたりの行動は違える筋道を持たず、結果、鎌倉駅まで一緒に行くとことと同義になってしまう。

 ここで、春風は健気(けなげ)な性格をさらけ出すことになる。

「そうだな、自転車もありだな」

 と。

 ふたりが会わずに鎌倉駅まで行くのは、江ノ電に乗る時間がおよそ決まって来るのでとても至難の業であった。

 そのため、自転車で鎌倉駅まで行ければ、すべて解決するとも考えたが、やはり高価な自転車を一般駐輪場に長時間おいておくことは、絶対あり得ないことと思い直した。

「江ノ電で普通に行こう」

 これが春風の出した結論となった。

 

 しかし、この矛盾に気づいていたのは、天音も同じであった。

 ただ、天音はそれとは別の、どうしても作らなくてはならないシチュエーションがあったのだ。

 それは、鎌倉駅に先に到着してて、春風を待つと言うシチュエーションであった。

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