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男も女も湘南ライドで恋を語る勿れ!  作者: 三ツ沢中町
第二章 よろしく鎌倉学院
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第69話 詩織の嫉妬?

「春風くんも、ほら、昨日発熱して寝込んでいたけれど、今日は私のために病院へ運んでくれたり、氷枕持って来てくれたり、本当は申し訳ないと思っていたの。彼のそう言うところに惹かれてしまったのかもね?」

 と紗矢香は視線を外しながら呟いた。

 詩織は、兄の魅力をこの短期間で正確に捉えていた紗矢香に、ちょっぴり嫉妬している自分に気づいてしまった。

 この気持ち、なんなの?

 兄に惹かれていた天音さんを見ていた時に得られた安心感。

 あの安心感が、紗矢香さんには感じられないのはなぜ?

 ……待って、安心感の正体は、本当の兄の魅力を知っていないから、兄を取られないだろうと思う安心感? だったらそうだ、紗矢香さんに、安心感が持てないことの理由が立つわ。

 あの時の感情も、この理由で成り立ってしまうわ。

 また、姉兄きょうだいごっこしている兄と翔子さんが、異母ではあるが妹の私がいる前でふざけていることに対して、私が呆れることなく、安心感をもったことも。

 でも、私は兄の恋人になりたいわけではないわ。ただ、私だけの兄を、誰かに取られるんじゃないかって内心ハラハラしちゃうのは、私が兄をお気に入りのアイテムのように思っているからなのか?

 はたまた、私が兄以外の男の子を知らないからなのか? 

 仮に、紗矢香さんに兄がなんらかの気持ちを寄せていても、私がこれを引き裂くことはないわ。

 だって、兄のことが大好きって言うのは、妹なんだから未来永劫に許される思いだし。

 あっ、忘れていたけど、兄には雪さんがいるをじゃないの。

 許婚いいなずけの真田雪さんが。

 

「詩織ちゃん? 大丈夫? ボーっとしていたみたいだから」

 私としたことが、兄の代わりにサポートしに来たはずだったにね。

「ぼんやりしてすみません。では、紗矢香さん、何か飲み物なんかを持って来ますが、何がよろしいですか?」

「じゃあ、一階自販機の炭酸オレンジとミネラルウォーターをお願いできるかしら?」

「食べ物は?」

「そうね……」

「お粥はどうですか? 私のお粥、食べてみませんか?」

「いいのかしら?」

「任せてください。あと自販機のお金は兄に請求しますから」

 と言い残し、詩織は部屋を出た。

「ふーっ」

 緊張した。

 初めて見たけど、天音さんと同様、綺麗な人だった。

 可愛い感じの雪さんや翔子さんも含め、兄さんの周りには素敵な女性がたくさんいて羨ましい。

 私も、兄を通じて仲良くしてもらえると嬉しいな。

「さあ、ミッション開始だわ」


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