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男も女も湘南ライドで恋を語る勿れ!  作者: 三ツ沢中町
第二章 よろしく鎌倉学院
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第56話 彼女になってよ!

 紗矢香さん、大胆だね。

 不良娘だけど、お嬢さん。

 関心なさそうで、本気モード。

 堅実そうで、思いっきりがいい。

 自転車乗れなさそうで、乗りこなす鉄人。

「期待以上の紗矢香さん、行きましょう! 江ノ島。浜焼き食べましょう!」

 下りから市街地の平坦を抜け、ふたりは江ノ島にやって来た。

「あそこに浜焼きの店あるから、そこまでどっちが速いか競争しない?」

 紗矢香は「あなたが勝ったら私はどうなるのかしら?」と敢えて春風に振ってみた。

 そう振られたら、期待に応えるのが大阪男子。

「僕が勝ったら、はまぐりおごってよ」

「それだけでいいの? こんな勝ちやすいチャンス、しかも私を相手にして、蛤一つで満足なの?」

 どう言う意味なのか?

 まさか、浜焼き全種類ご馳走になってもいいんですか? 

 紗矢香さん。言っちゃうよ。

 すると紗矢香が先に「私を彼女にしたいとか……」と視線を外しながら呟いた。

 この瞬間、春風は気づいてしまった。

 こんなに一緒にいるのに、僕だけが紗矢香さんを勝手にガールフレンドっぽく感じていたのに、彼女は僕の存在を友人程度に思っていたなんて……。

 僕はなんて自惚れ屋なんだ!

 なら、言わなきゃ!

 彼女になってくれと。

 並走する中、春風は「紗矢香さん」と言い放ち、自転車を止めた。

 紗矢香も少し遅れて自転車を止めた。

「あのさ」

「うん」

「聞いてくれて!」

「うん」

「この浜焼きレースに勝ったら、僕の彼女になって下さい!」

「……勝つ自信、ある?」

「ええ、もちろん」

「いいわ、あなたが勝ったらあなたの希望、叶えてあげる」

 マジっ、紗矢香さん。

 なら僕、君を奪いに行くよ!

「私が勝った場合……」

「私が、勝った場合って?」

 いらないでしょ! その条件。

 なんなの? 紗矢香さん、不満なんですか? この条件だけでは。

 そうか、私が勝った場合も、僕が彼氏になるって言いたかったとか?

 紗矢香さん、マジ、キュート過ぎる。

「私が勝ったら、ライメイの専属洗車担当にしてあげる」

 えええっ、それが、狙い?

 意味不明!

 紗矢香は「何か条件に不満なの?」と首を傾げた。

 そして「男の子ってエッチね」と春風に言いながら「よーいスタート!」と言って紗矢香は勢いよく走り出した。

 一方、春風はエッチと言われたことで、少し心を取り乱し、紗矢香の疾走する姿をぼんやり眺めていたが、しばらくして我に帰る。

「あっ、レース、マジ遅れた!」

 春風は慌てて走り出したが、タイヤが重くていつものように加速しない。

 この時点で、春風は浜焼き屋までの距離およそ三百メートル、紗矢香はその浜焼き屋まで二百メートルであった。

 春風の頭の中では、ケイデンスからおおよその速度計算がなされていた。

 フロントとリアのギア比が平均3・3なら、タイヤの外周が2・1メートルだとして、ケイデンス55でおよそ時速23キロで紗矢香さんはゴールすることになる。

 僕は単純に時速34・5キロで駆け抜ければ勝ちだ。

 あれ? それって、ケイデンス83以上回さないと、紗矢香さんに勝てないってことになっちゃうじゃん!

 このタイヤでは、スピード乗るまでにケイデンスが上がらないから、負けちゃうか?

 何を今更、行くぞ春風!

 

中町です。

 スポ根みたいになりかけた恋勿コイナカを、温かく見守っていただきありがとうございます。ストーリーの進行が遅いため、まだ10日しか経過しておらず、暑いこの夏に作品が乗り切れてないことに、焦っています。これからが夏色に染っていくはずなのに、もう夏に置き去りにされている、そんな感じになってしまって。

 春風の恋の行方はこれからが本番! この夏に届けよと願いながら取り組んでいます。

 応援してね!

 

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