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男も女も湘南ライドで恋を語る勿れ!  作者: 三ツ沢中町
第一章 湘南の春休み
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第31話 アシスト紗矢香

――ニコニコマート――

 

 あの子の緑と白のカラーリングのバイクが止まってる!

 ただそれだけで、気分は最高揚に達してしまう。

 僕は、あえてバイクの近くに自転車を立てかけた。

 そして、昨日と同じようにガラス窓に映る乱れた髪を慎重に整えた。

 横目でチラリと店内を覗きながら、ドキドキする気持ちを必死で隠しながら入店した。

 

「おはようございます。遅くなりました」

 レジにいた吉野さんが気づき、声をかけた。

「連絡は入っているわ。裏で着替えてらっしゃい!」

「はい。すみませんでした!」

 僕は店の中をキョロキョロしながら、裏の事務所へ入った。

 僕のロッカーが用意されていて、中を開けると、店員用の黒っぽいエプロンがハンガーにかかっていた。

 エプロンをかけた後、貴重品をロッカーに入れ鍵を閉めた。

 ふと、テーブルの隅にフルフェイスタイプのバイク用のメットが置いてあった。

「あの子のメットだ。SHOEIショーエイのピンクとグレーのツートンカラー」

 僕はこっそりメットを持ち上げて見た。

 意外に軽いんだなぁ。

 あれ、なんか危ない人になってない? と思いながらも、メットを元の置かれた位置に戻し、店内へと戻った。

 

「早乙女くん。呼び方、春風くんでいいかな? 呼びやすいからね」 

「問題なしです」

 吉野から指示を受け、まずはゴミの片付けを始める。

「えっと、こいつらを裏の倉庫へ持って行って、ゴミ回収車が来たら引き渡すか」

 僕はゴミを片付けた後、店に運び込まれた商品の陳列に取りかかった。

「食品は、賞味期限を確認しながら、商品を後ろから詰めるか。なるほどね」

 そんな陳列を始めてすぐ、吉野さんから僕は呼ばれた。

「春風くん、レジ来て!」

「はい」

 レジに入った僕は、吉野さんの指示の下、バーコードを読みながら会計処理に当たった。

 意外に簡単じゃないか?

 吉野さんがその時、

「大丈夫ね、じゃあ私、向こうのレジ入るから」

 と言って春風から離れた。

 僕は、暫くレジに立っていた。

 店内にマスクをした店員を見つけた。

 あの子か?

 そうか、店内で見つけられなかったのは、飲料コーナーのバックヤードにいたのか。

 そんな事を思いながらレジ打ちをしていると、レジ機に赤いランプが点灯した。レシートロールの入れ替えだ。

 まずい、どうしたら?

 吉野さん、忙しくしてる?

「早くレジして下さいよ」

 とお客に迫られた。

「はい……」

 一瞬、固まった僕の隣に、あの子がいて、レジロールを手早く入れ替えていた。

「早乙女くん、固まってないでお客さん」

「あっ、はい」

 本当に一瞬の出来事でした。

 不良娘の紗矢香さんに助けられたのだ。

 そして隣に立ち、レジの仕方を僕に一つ一つ教えてくれる紗矢香さんに、ただただ魅了されるばかり。

 こんな至近距離に紗矢香さんがいると思うだけで、こんなに心が踊るなんて……。

 顔はマスクで分からないけれど、甘い髪の香りがしている。

春風  自転車最強!

紗矢香 バイク最高! 

春風  どっちが速い?

紗矢香 バイクでしょう?

    次回「素敵な午後」

春風  お楽しみに!


次回「バイクって速いんですか?」

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