第28話 危機
僕は寮長室に戻り、まず、汗に塗れたシャツと靴下を脱ぎ捨て、シャワーを浴びた。
「そう言えば、一階大浴場内にサウナと水風呂用の浴槽があったな」
風呂場の管理は、漏れなく寮長の責任になるはずだから、一度サウナを使ってやるか。
「それ、良いかも!」
じぁあ、行ってみるか?
僕は、腰にバスタオルを巻いたまま、大浴場に向かった。
あれ? 大浴場が明るくないか?
誰かいるのか?
いや、まさか?
サウナ室の窓越しにぼんやりと人影が映る。
そして中にいる誰かと目が合った。
「まさか?」
その瞬間、後方を振り返ると、ブラジャーやショーツが入った脱衣カゴが置かれれているのに気がついた。
「やばい!」
頭が真っ白になり、僕は大浴場を飛び出した。
大浴場前の通路辺りで立ち尽くす。
そして、我を少し取り戻した。
この状況からして、このまま逃げたら不審者扱い、ここに居座っても変態扱いだ。通報されたら寮長どころの話ではなくなってしまう。
どうする!
どうしたら?
まさに絶対絶命!
——一方、サウナの中——
誰? 今の。目が合った? 男の人みたいな体つきの裸だった!
覗きなの?
どうしよう?
下着とか持って行かれてたら?
スマホもないし。
あれ、どうしたの、私?
身体に力が入らない。
脚が震えてる、止まって!
怖いよ!
誰か、お願い、助けて!
紗矢香は一人取り残されたサウナ室で、助けを待ちながら時間が過ぎていった。次第に意識が薄れる中、全身の力が抜け落ち、ぐったりとベンチに横たわった。
「ドンドンドン……大丈夫……寮長の……」
誰か、助けて……。
——迷いに迷った時間は、事態を悪化させると同時に、春風自身の胸を深く抉る——
体裁ばかりなぜ考える?
サウナの中のあの子は?
一体どれくらいだったんだ⁈
十分か、いや二十分か?
それ以上に入っているのか?
そうだ、もう迷ってちゃダメだ!
どう思われようと、そんなのもう、どうでもいい。
もしまだサウナ室から出られずにいるとしたら……
それは、まずい!
怖がらないで行くんだ!
春風 たかだか学生寮にサウナがあるなんて?
作者 サウナ、欲しかったんだよね!
春風 設定上、必要だったんですね?
作者 いやまあ、分かる?
次回「危機一髪」
春風 大人の都合ですね?
作者 ご想像にお任せします。




