第212話 ダンスダンスダンス
紗矢香と結奈は向かい合って座り、春風は紗矢香の隣に腰掛けた。
注文は並んでいる時にし終えていたため、席に着くや否や、そのオムライスたちは目の前に現れた。
「うわぁ、美味しそう」
「さあ、いただきましょう」
三人衆は声を揃えて「いただきます!」と手を合わせ、この店で一番人気のキノコとブロッコリーのビーフシチューがけ鉄板オムライスを一口パクり。
「うーん、熱ウマ! 見た目も秀逸で、鉄板でクツクツと煮えるビーフシチューにオムライスを浮かべて食べるこの一口は、アマタのオムライスを凌駕する絶品」
「ちょいちょい、それは盛り過ぎでは?」
と結奈が口を挟む。
「でもね、贅沢な一品であることは間違いないし、冬に食べたら更なる感動を受けるメニューね」
と紗矢香は感想を述べた。
「ねえ、ここ見てよ」
と紗矢香はこのメニューが冬季の人気NO.1で書いてあるところを指差した。
「あははは……真夏に食べても美味しいわ」
と三人衆は顔を合わせて笑いあった。
食事も終わりかけた頃、紗矢香が春風の口についた食べこぼしを取り、自分の口に入れた瞬間を結奈が見逃すはずもなく、
「紗矢香さんは、いつから早乙女くんの彼女さんでしたっけ?」
と珍しく突っ込んでみた。
「ええ?」
と紗矢香はなんだかわからぬままそう口にした。
「えええ? 食べこぼしですよ」
と心当たりをさぐる結奈に紗矢香は、
「あゝご飯粒のこと? 取ってあげたよ」
といつものツンデレとは違うあざと可愛い感じで、切り返してきた。
おいおい、よく見てるな二人とも。
なんかこういうの、とても嬉しいけど、真夏に雪でも降るんじゃないのか……と思ってみたりした春風であった。
「さあ、食事もいただいたし、次は一九時からのダンスパフォーマンスパレードよ!」
と言った結奈に対して紗矢香は、
「ところでさ、ダンスパフォーマンスとは何をするの?」
と春風は尋ねた。
「そうだね、一言で言えば、キャラクターたちとじゃれ合うようにダンスで対決を楽しむイベントかしら」
と結奈は答えた。
「ねえ、常盤さん、そのダンスはどんなダンスでもいいの?」
と春風も関心を示した。
「大丈夫よ、子猫の真似した振り付けでも、空を泳ぐ真似をした振り付けでも、なんでもありなんだから」
「つまり、型にハマったダンスでなくても楽しく踊ればいいってことね!」
あゝこういうの慣れていないふたりだから、想像できず、当たり前なんだけど、確認しちゃうんだね。
「ダントン、ダカダカダンダン、ダントンダカダカダンダン、ダカダカダッダ、ダカダカダッダ、ダンツダダッダ、ダンドンダカダカダッダ……」
そしてダンスパフォーマンスパレードが楽隊のマーチに合わせて近くに見えて来た。
「うわぁ、迫力あるね!」
「あっ、出しからキャラたちが降りて散り散りになったよ」
「山車の上のドラマーが、ステックを上の方でカチカチやりだした!」
「ねえねえ、ピーナッツ娘が紗矢香さんをダンス相手に誘ってますよ」
「えっ、私?」
と紗矢香はピーナッツ娘に手を引かれ、ストリート中央で向き合った。
「楽曲変わった!」
「ピーナッツがロボットダンス始めたよ、愉快愉快!」
と笑う春風。
「今度は紗矢香さんだ。どんなダンス見せてくれるのかな?」
と結奈がちょっと興奮気味に話した。
「ちょっ、ちょっと見て早乙女くん! フラダンスじゃない?」
と結奈は度肝を抜かれたように驚いた。
「ピーナッツ娘が一緒に踊り出した。笑える!」
「あら、となりのマンゴー婦人も、フラダンス始めた!」
気づいたら、みんなが揃ってフラダンス踊っていたのだ。
「紗矢香さん、いつのまにかフラダンスが踊れてるよ。凄い!」
こうやって見てると、紗矢香さんのツンデレが嘘みたいにキュートに見えるねよ。




