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男も女も湘南ライドで恋を語る勿れ!  作者: 三ツ沢中町
第七章 人も羨む夏休み
201/215

第200話 湘南ビューティーは誰だ! 前編

 紗矢香はスカウトマン岩間の誘いに乗って、水着美少女コンテストに申し込みをすることになっていた。

 今年の水着美少女としての称号『湘南ビューティー』は誰の手に?

 陽射しに加え、砂の照り返しまでもが熱く染み入る真夏のビーチじゃ当たり前の昼下がり、売上げ貢献のため春風は紗矢香に店番を任せて、一人で清涼飲料水の移動販売に出かけていた。


「毎度おおきに!」

 リアカーに積み込んだ商品はほぼ完売しており、手筈(てはず)通り紗矢香の水着美少女コンテストの集合時間に合わせて出店に戻ろうとしている途中、コンテストの舞台付近で人集(ひとだか)りができているのをチラリと目にし立ち停まる。

「有名人でも来てるのか?」

 と流れる汗を軍手で拭いながらそう呟き、またリアカーに手を掛けて引き始めた。

 近くを通り過ぎる女の子らが、

「ねえ、あそこにいる子って、人気モデルのAMANEアマネだよね?」

「うそ? どこどこ?」

「あそこの人集りよ」

「ちょっと、よく見えないけど本物なの?」

「じゃなきゃ、あんなに騒がないよね?」

「じゃ、行かんとね!」

 そう聞こえてきた側から彼女たちが走り立った。

「えっ、天音さんなの? いいやそんな……彼女は忙しいんだ。庶民集まる混雑したビーチに、意味なく現れたりするはずもなしだ」

 強い陽射しを避けるように首にかけていた麦わら帽子をグッと深く被り直し、僕は再び歩き始めた。

 

「お待たせ、ちょっと遅れたね、ごめん」

 汗まみれになった軍手を脱ぎすてた。

「凄い汗ね、暑かったでしょ、ご苦労さまでした。時間だから、私もこれから出てくるね」

 と紗矢香から渡されてた濡れタオルで額や首筋を冷やしながら汗を拭い、店先で協力してくれていた結奈に声をかけた。

「紗矢香さんが出かけたから、僕らもボチボチ店を片して応援に行こうよ」

 振り向いて「おかのした!」と返した結奈に、僕は意味がわからずも「おかのした!」と真似て答えてみた。

 

「ところで早乙女くん、コンテストはどうやって順位を決めるのか知ってる?」

「これ見てよ」

 と立て看板を指差した。

「投票に参加する方はこのQRコードから『コンテスト投票』を行って下さい、と書いてあるでしょう」「なるほどね」 

 と話をしながら会場へ向かった。


 コンテスト会場には、出場者がキャットウォークするためのちょっとしたランウェイが、舞台から海岸に向かい用意されていた。

「ここは自慢の容姿を水着で纏った美少女たちが、男たちを心を鷲掴みにして行く、言わば湘南の(おい)(らん)道中(どうちゅう)って奴だね」

 とまあ、このコンテストにどんな意味があるかなんて、聞くのが野暮なことくらい重々承知の僕も、紗矢香さんの水着姿だけは見てみたい。

「花魁道中って? ねえ……」

 聞こえないの?

「早乙女くん? 何ボーッとしてるの?」

「ええ? 何?」

「ええ、何じゃなくてさ、花魁よ」

 常盤さんに心読まれちまったのか?

「花魁道中のことだね……」

 待て、ちょっと待て!

 紗矢香さんのあられもない姿が男たちの目に(さら)されるってことになるじゃないか……。

 僕はアホか?

 まずいぞ、これ。

「やっぱり嫌だ!」

「早乙女くん……大丈夫なの?」

 といきなりひとり叫び出した僕の姿に不安を感じた結奈が、問いかけるよう言葉を発した。

 僕の左手首に嵌めていたペアブレスの片割れが一瞬、ざわつくようにバイブしたような気がした。

 ついに恋勿コイナカも200話に到達しました。嬉しいですね。忙しい中、時間を縫うように作ってきましたからね。

 まだまだ、本番は先に控えてますが、強い意志を持って続けて行きたいですね。

 

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