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男も女も湘南ライドで恋を語る勿れ!  作者: 三ツ沢中町
第七章 人も羨む夏休み
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第195話 水着になるのも仕事なの?

 ビーチもある種、目移りするような賑わいをまして来て、春風たちの出店も繁盛してますね。

 またお客様見えましたよ。

 それでは。

 

 

「この時間から人も増えて、気温も上がるし、そろそろバンド合戦の頃合いかしら? 忙し忙し!」

 夏祭りのチラシからスケジュールを見た紗矢香は、ビーチが賑わう時間帯になることを何気に春風に伝えて来た。

「ダンス大会じゃないんだね?」

「……確か。今どきはバントよりダンスだもんね」

「話変えちゃうけど、紗矢香さんはダンスとかできるの?」

「ダンスか……苦手かなぁ」

「そのチラシに、午後のスケジュールって載ってるよね?」

「ええ、載ってるわよ。十三時から一気飲み、十五時から水着美少女コンテスト、十九時半から大花火大会となってるわ」

「ねぇ、水着のあとなんて言ったっけ?」

「美少女よ」

「美少女ね〜」

「何よ、何か言いたげよね」

「あのさ、水着姿の女の子の品評会なんて、今どきセクハラとしか言いようがないんじゃないの? しかも美少女の見定めなんて、主催者の川崎さん、セクハラオヤジの極みなんじゃない?」

「あら、春風くんは女の子の水着姿をどう思っているのかしら?」

「僕はあまり興味ないからわからないよ。下着じゃないことくらいはわかってるけどね」

「本当かな? 下着じゃないにしても、男の子って女の子の水着姿は嫌いじゃないんじゃないの?」

「ん、まあ、嫌いではないかも……」

「ねえ、私の水着姿、見たい?」

 え? 何、突然。

 見たい、見たい、見たい!

 けど見たいって言ったら、一つ返事で言ったらなんて言われるか怖いわ。

 そこだけが心配だ。

「紗矢香さんの水着姿、見れるんですか?」

「残念、水着持ってないから」

 ちょっと、おちょくってませんか?

 紗矢香さん。

 

「あの」

 店先の声に気づいた春風が振り向いた。

「こんにちは。先日、女子寮にお邪魔した岩間と申しますが、覚えて見えるかな?」

 紗矢香もその声に聞き覚えがあったのか振り向いた。

 あっ、あの時の……エスハニの。

「こんにちは……」

「唐突なんだけど、実はね、水着コンテストに参加してもらう女の子を、あちらこちらで探しているんだ」

「そう……何ですね」

「楽しそうに話している神楽さんを見かけましてね、声をかけた訳なんです」

 水着コンテストにスカウトされるのって、あまり嬉しい気がしないな……。

「あの……私、水着持っていませんから、ごめんなさい!」

 とていよく断ろうとした紗矢香ではあったが、岩間が笑みを溢しながらこう切り返しできた。

「心配いりませんよ。このコンテストにはエスハニがスポンサーについていて、水着はサイズも含めたくさんあるようですから」

「そう……なんですね」

 ここで春風は口を挟んだ。

「紗矢香さん、これは出てみたらどうですか?」

「えっ? 私が?」

 正直言ってあまり気が乗らないな。

 最近水着なんて着てないから、大丈夫かな?

 しかし、まあ、そうだね、お祭りだもんね。

「そうだね、春風くんがそう言ってくれたから、出てみようかな……」

 岩間はホッとした顔つきで紗矢香に、

「じゃあ、交渉成立だね。受付は済ませておくから、二時半にあそこに見える特設舞台の裏にある控室に来て下さい」

 と岩間は指で指し示したあと、笑顔で、

「楽しみにしているよ」

 と言いながら店先から去っていった。

 

「ところで水着コンテストなんて、仕事中に良いのかしらね?」

「店長がダメだと言っても、僕が許す。なんてね」

 ええ? 

 何言ってるの?

「まぁ、つまりね、ニコニコマートが夏祭りに協賛している訳だから、その店員の紗矢香さんがイベントに協力することって、当然仕事の延長だから問題ないってことにならない?」

 ……なるほど。

 頭いいね、春風くんは。

 物は言いようってことかな。

「わかったわ。じゃあ、今回は仕事として参加するね。だからしっかり応援よろしくね」

 なんか紗矢香さんて、可愛い物言いするんだね。

 もちろん応援しますよ。

 心から。

「そうだ、僕も一気飲みの仕事があるんでした」

「春風くんは、飲んだ炭酸、鼻から垂らさないでね」

 なんか紗矢香さんて、可愛くない物言いするよね。

 

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