第192話 勝敗の行方
一番手でエアリアル360を決めてきた葉山翔子。そして、三番手にはあのドミニカの黒豹・.ララHバイスが控えている。
果たしてダービーマッチはどんな結末を迎えるのか。
天候が今にも崩れそうで、波も次第に荒れる中、大会は続行された
「続けて鎌倉学院高等部一年の神保七奈選手が挑みます。さあ、パドルから立ち上がり、フロントでレギュラーに乗って行きます。あっ、ここから、2コンボ決めてきましたよ。カットバックからレールターンに繋いで、最後はダブルターンでアウトしてきましたね。
「さあ、いよいよバイス選手です」
「葉山選手、7.8」
「神保選手6.6」
「鎌学、14.4」
「オー、オー、オー」
「葉山選手、凄いです」
「平均8.2は素晴らしいですね。それではここからフィリスの試技に入ります」
「バイス選手の組み立てにも、この結果は考慮されるはず」
と萌が呟く中、バイスは虎視眈々と大技を狙っていた。
——私を甘く見ない方がいいわよ。
ドミニカの黒豹と呼ばれる私の真骨頂を見せてあげましょう。
「バイス選手がテイクオフからパワーのあるショルダーを滑り降り、レギュラーの波にフロントスタイルで超高速セクションに入る。身体を軽く旋回させながら、うわぁ、スゲェ! ボード抱えて宙返りした!」
他の選手からも拍手が起こる。
「ロデオフリップ」
と岩下が唖然とした顔つきのままそう話した。
「ロデオフリップ?」
「サーフィンで最も難しいとされる大技なんだけど、生で見るのは私も初めてよ……」
「そうなんですか?」
「そんな技をこんなタイトな条件下でやってのけるなんて、やはりドミニカの黒豹は伊達じゃないわね」
「次は霧島選手ですね。さあ、テイクオフ、ボトムターンをしたあとのトップターン、あっ、ワイプアウト?」
「トップターンの際にノーズが引っかかって、バランスを取り戻せずに波に呑まれたわ。大丈夫かしら?」
「だ、大丈夫……ですが、ボードが折れてます。折れ残りが小さいから、泳いで戻ってくるみたいですね」
「台風スウェルで次第に海が荒れ始めてるわね。まだ続けるのかしら?」
「バイス選手、8.0」
とボード表示された瞬間、会場が拍手に包まれた。
「霧島選手、1.9」
ここで大会側から放送が入った。
「選手の皆さん、台風の影響で風と波のウネリが乱れ、危険な状態にあると判断しました。よって大会はここで終了といたします。なお、勝敗については変更後のルールをそのまま適用し、総合得点により、鎌倉学院14.4、フィリス女学院9.9により、鎌倉学院の勝利といたします」
「何それ!」
と声を上げる者もいたが、フィリス女学院側は大会側に抗議することなく、これを受け入れた。
「ヨッシャ! 鎌倉学院の勝ちだ!」
大会は鎌倉学院の勝利で幕を閉じた。
また、選手たちはお互いの健闘を称え合った。
リナクルーガー選手は、
「鈴香、今年は勝負できなかったけど、次は世界的あいましょう」
と風間選手と握手をした。
OGの浜北まなが、鎌倉学院陣営に戻って来た。
「皆さん、おめでとうございます」
「どもです。勝ちました!」
「ありがとうございます、やりましたよ念願の勝利!」
と選手たちは思い思いに喜びを表した。
「キャプテン鈴香の渾身のライドが見れなくて残念だったけど、結果は勝利だから、良かったとしておきましょう」
と浜北がちょっと残念そうに、風間選手に声をかけた。
「翔子さん、エア360、凄かったです」
と春風は駆け寄って来た翔子に感動を伝え、ハイタッチをした。
「ありがとう。最後のパフォーマンスができたよ」
と溢れそうな笑顔で答えた。
やっぱり、翔子さんは凄いや!
ようやく夏のイベント・ダービーマッチby湘南ライドが幕を閉じました。
夏も恋愛もここからが本番!
タイトルの「湘南ライドで恋をすること勿れ」にあるように、卓球、サーフィンと恋愛話がなくて物足りないと思われていた方には、ぜひこの後の展開にご期待下さい。
春風と紗矢香の物語は、まだまだ本番はこれからなんですよ。
それではまた。
三ツ沢中町より




