第191話 翔子のワンメイク
——ここは私の持てる力で、最高のパフォーマンスを引き出してやるんだから。
ちゃんと撮っておいてよね、春風!
私の全力をね!
「しっかり撮りますよ、翔子さん。存分にやって下さいな」
春風はポッケに忍ばせたアメちゃんを一つ口に頬張り、沖合で波待つ翔子の姿に目を凝らす。
——あっ、凄いの来たかも。
行くよ!
「凄いセットが入ってきました。葉山選手がフルパドルでギリギリからのテイクオフ、波分厚く相当ホレてます」
——ちょっとボードがバタつくけど、しっかりレールが入ったから行ける!
ボトムに向かう最中、カール(崩れた波)が速くてチューブに入った。
「半身チューブ入ってますよ。波が重なってきて、パワーがありますよ、波も長いし」
——いい感じ!
このままボトムへ。
「葉山選手のあの暗め色のボードは、EPS5・11でフィンがラージ履いてて、リッターがあるのって聞いてましたけど、この波でスピード出ていていいワークしてますね。ボトムでしっかりエッジの効いたレールターンを決めて、トップへ向かい何を仕掛けるのか?」
——ここ一本目はオフザリップよ。
足裏のゴリゴリ感が凄いわ。
風がオンショア気味だから表面荒れ気味よ。
でも、テールキックも入った、めちゃ特大スプレーを撒き散らしたし、いい感じよ。
「キレキレのボードワークに脱帽ですよ。二本目もボトムターンからの……オフザリップ、最高!」
——頭オーバーだと、流石に走るわ。
これならあれ行って見るかしら。
「葉山選手ごリップで身体をクルクルっと回旋させて、エアリアル360、カールを交わしてまたショルダーからボトムへ移り……」
——最後は渾身の一撃で、エアリアル……決まった。
「ヤバいヤバいヤバい。翔子さんヤバいいでしょう!」
「早乙女くん」
と駆け寄る声に反応した。
春風は振り返り、
「あっ、岩下先生」
と驚いた。
先生がめちゃ笑み溢してる。
「翔子ちゃん、よくやったわ。一発で決めるところは流石だわ」
「しっかりと撮りましたよ。翔子さんの活躍を」
「じゃあ、後少しだけよろしくね、カメラマンさん」
「任せてください!」




