アメリカの暗殺者学校
話を聞いていた三茶が、クーデターの話題を少し広げた。
「クーデターといえば、その代名詞のバナナ共和国として有名な中南米でのCIAの手先として、“米軍クーデター学校”、“暗殺者学校”、“米軍虐殺学校”、“米軍独裁者学校”などなど数々の悪名を持つ旧『アメリカ陸軍米州学校』、現在の西半球安全保障協力研究所がある。
日本国内にも、CIAの手先として、その類の実働部隊が存在して活動していると思うよ。日米構造協議からのプラザ合意、そしてバブル崩壊の流れはあからさますぎるよ。そして、大泉総理の構造改革。安倍川総理のモチノミクス。アメリカの実行部隊は、日本でどんな活動をしてると思う?」
「不可能なトリクルダウンの大泉構造改革、モチノミクス。貧困層の拡大で、民主主義の根幹を破壊するアメリカ流の経済自由主義。『ミラクル・オブ・チリ』ですね」と、すかさず三島が反応した。
「三島先輩。主義者寄りの発言はヤバいっすよ」と、気のない様子の江古田。
「貧困と犯罪に関する考察は基本のキでしょう? 大塩平八郎の乱、知っている? 大正の米騒動の時にも当時の巡査が加わってるし」
「いやーっ。いまの警察官の給料と待遇はいいっすよねえ。いろいろ目を瞑るくらいは貰ってますから」
やっぱ時代は警察官っす、と江古田は笑った。
「警察官の採用人数を増やすために、社会を不安定にしようとするみたいだな」と御茶ノ水がつっこんだ。
その後の陰謀論の話題は、兵庫県庁舎の新庁舎建設費一千億円から、日本一心の会を経て、東京都庁舎の独特の外観から生じている漏水問題と、新規建替え費用とほぼ同額の改修費用へと変わり、福島第一原子力発電所での原発事故は、廃炉作業などでの中抜きをする為に、人為的に起こされたのだということになった。
小さな陰謀論から、大きな陰謀論まで、こよなく愛する女である三島桜。その原発事故の処理費用の中抜きの予想割合は、三茶と同じの三十五パーセント。江古田の二十五パーセント。御茶ノ水の十五パーセントと続いていた。この数字は、そのまま研究会の部員たちの日本政府への信頼度でもある。
一年遅れで開催された、あの悲惨な開会式・閉会式の『2020年東京オリンピック』での中抜きは、五十パーセント近いというのが、三島の予想だった。同じように五十パーセント近い中抜きの『EXPO 2025 大阪・関西万博』では、絶望的な赤字になる可能性も高い。
一九六十年代のオリンピック・万博と違って、中抜きありきのオリンピック・万博は、失われた三十年の悪化どころか、外国人労働者の導入、永住者・帰化人の受入による公共施設や公共サービスなどのインフラストラクチャーの破壊を遥かに飛び越えた日本没落の象徴のようだ。
日本に同化することがない在留者・永住者・帰化人の通うインターナショナルスクール・教育機関などが増えると、その地域の社会全体が崩壊するであろうことは、欧米の難民問題の現状から明らかだった。