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代紋TAKE2

「タイムスリップものの大傑作『代紋TAKE2』を読んでないとな? それって、SF・推理小説研究会の部員として、どーよ?」


「いやいや、ハルピンパイセン。読もうとしたんすけど、一巻のあの絵柄はキツいっす。オールナイトのファーストガンダム視聴会並の苦行っす」


 ハルピンセンパイと呼ばれた三茶の揶揄(やゆ)に、餃子耳の新入部員江古田は、「マジっすよ」と小さく手をふった。


 (「代紋TAKE2』はタイムスリップものの傑作で決まりなのかよ)


 『幻の関東軍解体計画 リットン報告書を奪取せよ』を読んでいた人文学部歴史学科二年生の御茶ノ水は、声に出さずにつっこみを入れていた。


 御茶ノ水は、あの落ちは許せない派だったからだ。ちなみに、最終巻までの画力の著しい向上は高く評価していた。


 研究会OBの三茶は、大日本帝国科学大学人文学部危機管理学科の助教。江古田は人文学部地政学科の新入生。高校二年に引退する大怪我をするまでは、100キロ超の柔道重量級の有望選手だった。


 窓のすぐ下は水道橋交差点。私立大学である大日本帝国科学大学は、学部ごとにキャンパスが東京・神奈川・千葉・埼玉に分散しており、研究会のある部室は、四十五階建ての人文学部水道橋キャンパスの四十階にある。


 そして、今話題にしている『代紋TAKE2』は、頭取の謝罪会見で、SNSのトレンド上位を再度独占している『沼太郎USO銀行の貸金庫事件』から派生したものだった。


 『沼太郎USO銀行の貸金庫事件』とは、沼太郎USO銀行の複数の支店の貸金庫に預け入れられたものが、その銀行の行員によって、利用客の所持する鍵のスペアキーを使った窃盗が行われ、貸金庫という性質上、その被害総額が不明というとんでもない事件のことだ。


 『代紋TAKE2』では、貸金庫に預け入れられたものを巡って、暴力団同士の激しい奪い合いが描かれているが、銀行の貸金庫の安全性を前提にしている。


 日本の民間貸金庫であれ、海外のプライベートバンクであるスイス銀行の貸金庫であれ、貸金庫という性質上、闇バイトによる強盗より安全性を担保できないと、SNSではお祭り騒ぎになっていた。

 

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