1.バカが動く。
ここから、第1章です(*‘ω‘ *)
「なんだ斉藤、こんなものも分からないのか?」
「えへへー、すみませーん」
「……まったく。だったら天城、手本を見せてやれ」
「分かりました」
俺のクラスでは、誰かが問題を間違えると天城に振られる、という流れがある。誰も彼も悪気があるわけではなく、ただ単に『彼女に任せれば大丈夫だろう』という共通認識があるのだ。事実クラスの誰も分からない問題でも、天城は簡単そうに答える。
今までは俺も、その様子を見てただただ感心するだけだった。
しかし、先日の一件があってからは少し違ってくる。
「んー」
休み時間になり、俺はしばし考え込んでいた。
それというのも天城の勉強量、というものについて。鉛筆を転がして合格したような俺とは違うだろうから、想像を絶する数をこなしているのは明らかだった。
そのため、もしもの可能性が脳裏をよぎるのである。
「もしかして、気を抜けない原因になってないか?」――と。
幾度となく言ってきたが、天城美鈴は甘え下手だ。
その原因というのは一つに絞れないが、もしかしたら根を詰めすぎた勉強、というのも一因になっているかもしれない。あるいは彼女の言葉を借りれば、周囲からの期待、だろうか。
天城なら答えられる。
天城なら大丈夫だ。
誰もそれを疑わない状況が、彼女を追いこんでいるのではないか。
だとすれば、俺にできる手助けといえば……。
「よし、決めた!」
そこまで思考してから。
俺は短絡的に、あることを決意したのだった。
「天城に、勉強を教えてもらおう!!」――と。
俺こと、二宮寿人――テストは、常に赤点。
でもまぁ、なんとかなるに違いなかった。
やると決まれば、早速動こう。
そう思って、俺はすかさずスマホでメッセージを飛ばすのだった。
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