1.ミスパーフェクト。
不定期かもしれませんが、とりあえず投稿。
新作です(*‘ω‘ *)
――天城美鈴は、甘え下手な女の子である。
「次の問題だが……天城、解いてみろ」
「はい」
数学教師の指名に、凛とした声で答えた女子生徒。
異国の血が入っているらしく、長い髪の色素は薄く美しい輝きを放っていた。瞳の色は青く、眼差しには力強さが感じられる。顔立ちはとかく均整がとれており、トップモデルだと嘘をつかれても気付かないだろう。
学業成績もよく、運動神経も抜群。
そしてクールな立ち居振る舞いから、彼女に付いたあだ名は【ミスパーフェクト】というものだった。非の打ち所がない様に、ピッタリな二つ名だろう。
「……正解だ。さすがだな、天城」
「いえ」
「戻って良いぞ」
「分かりました」
教員と短くそう言葉を交わして、天城は自分の席――俺の席から見て右斜め前だ――に戻った。その際に、こちらの視線と彼女の視線がぶつかる。
何気ない日常の出来事。
以前までなら、互いに特別気にしない一幕だった。だが、
「…………むぅ」
今日はちょっとばかり、様子が異なっていて。
天城は俺を見て小さく抗議の声を発し、あからさまに眉をひそめた。その理由は後々に説明するとして、今はなにかリアクションを取った方が良いかもしれない。
そう考えて、俺は小さく笑みを浮かべて手を振ってみた。すると、
「…………っ!」
どうしたことだろう。
彼女はほんの少しだけ頬を赤らめて、そっぽを向いてしまった。
そのまま着席して、広げた教科書に視線を落とす。勉強熱心な天城のことだ。きっと気持ちを切り替えて、勉学に集中し始めたのしれない。
そう考えていると、自分のスマホが通知アリを示す光が灯っていることに気付いた。俺は誰からだろうと思い、教員にバレないように確認する。
【あとで、お話があります】
文面は、ひどく簡素なものだった。
名前を確認しなくても、これだけなら誰からか分かる。
けれども念のため、そのトーク画面に表示された名前は――。
【天城美鈴】
斜め前の席で、すまし顔で黒板を見るミスパーフェクトのそれだった。
その心中は読めない。だけどきっと、他の生徒が考えるような優等生然としたものではないように思われた。だから、どこかおかしく感じてしまう。
――まぁ、とにもかくにも。
ミスパーフェクトこと天城美鈴は、ただただ甘え下手である。
俺がそのことを知ったのは、数日前のこと。
これといって特別でもない放課後、買い食いをするために寄り道をした時のことだった。
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続きが気になる
更新がんばってマジでさ……。
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